20140504

 それはただそれだけの眺めであった。どこを取り立てて特別心を惹くようなところはなかった。それでいて変に心が惹かれた。
 なにかある。本当になにかがそこにある。といってその気持を口に出せば、もう空ぞらしいものになってしまう。
 例えばそれを故のない淡い憧憬といった風の気持、と名づけてみようか。誰かが「そうじゃないか」と尋ねてくれたとすれば彼はその名づけ方に賛成したかも知れない。しかし自分では「まだなにか」という気持がする。
梶井基次郎城のある町にて」)



 6時半起床。布団のそとにでると寒気を感じた。たっぷり寝汗をかいたらしかった。歯を磨きストレッチをし、パンの耳とコーヒーの朝食をとった。電気グルーヴスチャダラパーを聴きながら職場にむかった。
 労働。地獄の四連勤二日目。さすがの観光都市だけあって満員御礼だった。かわりに昼間の来客は少なかった。それでも夕方になると予約や料金にかんする問い合わせの電話がたくさんあった。整った顔立ちのギャルがやってきて料金システムについて説明するようにたのまれたのでひととおり説明した。どこもかしこも満室で今晩泊まるところがなくて、とギャルはいった。連休中の京都はだいたいそうなりますからね、と同情した。外見の印象とはうってかわって物腰はつつましく口調の正しい女性で、距離感をわきまえた愛嬌の持ち主だった。従業員と客という関係で続けていたはずの対話がほんのすこし脱線した瞬間があった。知らぬまにため口で返答していたじぶんのふるまいにはっとした。声も顔も倍賞美津子に似ている中年女性を相手に料金の説明をした。目元をがっつりと縁どったたれ目のギャルとその彼氏らしい若い男の相手もした。男は高校時代の同級生でありいまはヤクザをやっているYにすこし似ていた。Yから殺気をとりのぞいてもういくらか人当たりをよくした感じだった。空いた時間に『アレゴリーの織物』を読みすすめた。読みすすめるにつれて少し面白くなってきた。裏口の戸を開けたままにしておくと風がよく通って気持ちよかった。窓や戸のあるところまではずいぶん離れているにもかかわらず机上の書類がヒラヒラと踊るほどの厚みで吹き抜けていった。鼻をたくさんかんだ。薬がのこっているうちは服用を続けることにしようと思った。
 帰路、スーパーに立ち寄って半額品の弁当を購入した。帰宅してから納豆と冷や奴とインスタントの味噌汁といっしょにかっ喰らった。シャワーを浴びてからストレッチをし、抹茶プリンを食べた。ブログを書いて茶を飲み眠った。0時半消灯。