20140508

(…)友はまた京都にいた時代、電車の窓と窓がすれちがうとき「あちらの第何番目の窓にいる娘が今度自分の生活に交渉を持って来るのだ」とその番号を心のなかで極め、託宣を聴くような気持ですれちがうのを待っていた――そんなことをした時もあったとその日云っておりました。
梶井基次郎「橡の花」)



 10時半起床。さわやかで快活なめざめだった。レム睡眠とノンレム睡眠のスイッチする絶好のタイミングでめざましが鳴ってくれたのかもしれない。毎日こんなふうだったらいいのに。じぶんのようでもあるし第三者のようでもある人物が(つまり一人称視点と三人称視点の混在した映像を視聴していたとふりかえることもできるわけだが)、じぶんとその周囲の人間に危害を加えようとする連中をひとりひとりを圧倒的な暴力でもって順番に潰していく夢を見た。相手の胸に手のひらで触れるだけで放射状の傷跡が皮膚に刻印されてひざから崩れおちていくのだった。
 歯を磨きストレッチをしたのち、パンの耳2枚とコーヒーの朝食をとりながらウェブを巡回した。それから昨日付けのブログの続きを少しだけ書いて投稿すると、12時だった。15時半まで散漫な集中力で「G」にとりくんだ。マイナス4枚で計259枚。どんどん削られていく。読みなおしの末尾にいたるころには230枚程度にまでしぼられているかもしれない。これを400枚に達するまで続けるというのはなかなかつらい。できれば300枚で手を打ちたい。それさえしんどいかもしれないが。
 ダンベルを用いて腕と肩と首を鍛えた。熱気のこもった室内で身体を動かすとたやすく汗ばむ季節である。それから自転車にのって鴨川に出かけた。きのうと同じベンチに腰かけて瞬間英作文をぶつくさやった。ボーダーコリーを二頭連れた女性を見かけた。この二頭連れはたびたび見かける。それとはべつにまた一頭ボーダーコリーを連れている女性がいた。五月の芝生を背景にあの白黒模様はすごく映える。とても画になる。鴨川には16時半から18時半まで滞在した。夜は喫茶店で作文の埋め合わせをしようと考えたが、Yさんと顔を合わせることになったらいろいろ面倒だろうなと思うと、若干気のひけるところがあった。ごくごく率直にいって「A」の感想として送られてきたメールを読むかぎり、Yさんは小説の読み方というのをまったくわかっていない。にもかかわらずじぶんは文学に通じている人間だという自負がおおいにのぞく。ゆえに勘違いはなはだしい「助言」をよこしてくるわけだが、それがいかに見当違いであり的外れであるかを指摘するメールを前回送信した。それをきっかけにおのれの身の程をわきまえてくれたらいうことはないのだが、気遣いから遠回しなほのめかしというかたちをとって送ったくだんの指摘をまえに、あるいはひょっとするとほのめかされているところまで彼の読みは行き届かないかもしれない。そうなるとこちらの気遣いはすべて裏目にでることになる。相手をますます増長させるだけの結果になりかねない。すると議論は避けられないだろう。いちおうは年長者であるし恥をかかせたくはないので、力量の差をはっきりと「自発的に」察していただければと思うのだが、しかしあの性格だとそれもむずかしそうである。なんせ、知ったかぶりたがる。こういうめんどくささ、兄にすごく似ている。
 鴨川をあとにしてからそのまま図書館に出かけ、ガルシア・マルケス『族長の秋』と佐藤博『awakening』を借りた。それからスーパーにたちより食材を購入し、帰宅してから玄米・インスタントの味噌汁・納豆・冷や奴・もずく・茹でた豚肉・はくさい菜と赤黄パプリカとトマトのサラダを食した。20分の仮眠をとったのち風呂に入り、部屋にもどってストレッチをした。服をきがえて自転車に乗り、喫茶店にむかった。
 店に到着すると22時過ぎだった。Qさんの姿はなく本来は昼間に入っているはずの男性がカウンターのむこうで立ち働いていた。 あとでたずねてみると、木曜夜は今後こういうシフトでやっていくのだという説明があった。0時すぎまで「G」をいじくりつづけた。枚数は変わらず259枚。読み直しも全体の半分を終えた。修正した断章の数は74である。単純計算して合計150といったところだろう。この数が200に達したところで区切りをもうけるというのもありかもしれないなと思った。当初の予定では1時まで滞在させてもらうつもりだったが、ラストオーダーであるところの0時に達したところでほかの客の姿がなくなってしまったため、さすがにこれは立ち去るべきだろうというアレから席をたった。するとMちゃんに呼びとめられた。どうやらパンの耳がまたもや大量にあるらしかった。冷凍庫の半分はまだ埋まっている状態なのにはたしてこれをすべて持ち帰ったところで置き場はあるのだろうかと苦笑した。ほかにだれもいない三人きりの店内でほんの十分ほど、書き物の余熱を発散させるアイシングのようななんでもない世間話を交わしたのち、店を出た。腰が鈍く傷んだ(ひさしぶりのダンベルのせいだろうと思ったが、これを書いているいま降りだした雨のせいかもしれない)。
 帰宅してからピザトーストを二枚焼いて食べた。それからここまで一気呵成にブログを書きつけると2時近かった。紙本が一冊売れていたのでおどろいた。 二、三日前にかたちだけデータの更新をすることで販売サイトのトップページに「A」が表示されるようにしたのだけれど、それが功を奏したのかもしれない。週にいちどくらいは空更新しようと思った。