20131128

わたしは、世界の広大な精神組織を論ずるのにひどく手を焼き、そのさまざまな部分を論ずるのにも難儀しているが、十分な注意をもってすれば、その広大な組織がいかに考えるかを語ることはできるような気がするのだ。それが何を考えているのかはまったくわからなくとも、それが命題どうしをどうつないでいるのかは探ってみることができる。
グレゴリー・ベイトソン+メアリー・キャサリンベイトソン星川淳吉福伸逸・訳『天使のおそれ』より「織地のなかの構造」)



10時起床。高校の教室でケンカをする夢を見た気がするがはっきり覚えていない。相手はたぶんふたりいた。一方は拳銃を持っていたような気もする。椅子をふりまわして頭を割ってやった。パンの耳2枚とバナナとヨーグルトとクリームチーズとコーヒーの朝食。
(…)に同居の誘いを入れてみようかと思った。あの才能を田舎でこのままくすぶらせておくのはあまりにもったいない。おなじニートだったら弟をよびよせるのもアリかもしれないと一瞬思いもしたが、身内だといろいろとやりにくいことも出てくるだろうことを考えるといまひとつ気がのらない。弟が弟でなかったら呼び出しをかけていたんだろうが。弟のこともどうにかしてやることができればいいのにとおこがましくも思うことはけっこうある。印税の入るような身分になったらあいつに金をわけてやってもいい。こっちは月8万あればどうにかなる。残りは身内のよしみとしてくれてやってもいい。
11時半より「A」推敲。17時終了。もう無理です。もうこれ以上は闘えません。限界です。これ以上やっても無駄。駄目。無理。気が狂うだけです。死にます。
頭の洗濯をするためジョギング。出かける一時間前くらいにカロリーメイトを食していたからなのかじつによく身体が動いた。空腹で走ることが多いのでたまにこんなふうにしっかり腹に物の入った状態で走ってみると食事というものがいかにたいせつなのかよくわかる。調子にのってハイペースで走っていたら中盤から一気にバテて帰宅すると若干吐き気を催した。歩いて三分とかからない近所に新しいカフェがオープンするようであるのだけれど夜は何時まで営業なのか気になる。遅くまでやってくれるのであればありがたいのだけれど。カフェだの喫茶店だのは夜にこそおとずれるべきであって昼は自宅待機にかぎる。外で作業するか否かを判断する基準は簡単で、まず昼に自室での作業がはかどらなかった場合、この場合は仕事がはかどらなかったという印象の居残る部屋なんてさっさと飛び出して気分転換に外でカタカタやるほうが絶対にいい。あるいは昼に自室での作業がはかどった場合でも、麻痺のきざしが感じられるようであればやはり場所を変えていったん蓄積されたものをリセットしたほうがよろしい。夜遅くまであいているカフェがもっと増えてくれれば本当にありがたいのだけれど。ファミレスは電源が使えないしネコドナルドがガキンチョがうるさいし薬物市場の椅子は腰痛持ちにとどめを刺すつくりになっているしで、現状通うことのできる場所がひとつしかない。手持ちのコマは最低ふたつは欲しい。でないと店の定休日に外での作業が必要になった場合困ることになる。というかすでに何度も困ったことになっている。
吐き気のおさまったところでひげを剃りシャワーを浴びた。それから玄米、納豆、もずく、鶏胸肉と春菊とえのきと豆腐をタジン鍋で水炊き風に適当に蒸したやつをかっ喰らった。20分の仮眠をとったのち逃現郷に出かけた。おもては殺人的な寒風が吹いていた。22時より1時まで「A」の推敲にとりくんだ。やばかった。キレッキレの三時間。ブレイクスルーに次ぐブレイクスルー。おかげで日曜日締めのサンプル本発注も間に合いそうである。あと集中力を極限までとぎすませることによって何百回と読みかえしてあるはずの手垢だらけならぬ目脂だらけの一文一文をそれでいてはじめての目で読みなおしてみせるというスキルを習得した。難点としてWPを異常に消費するというのがあるのだけれど、しかし難所を推敲するにあたっては必須ともいえる麻痺対策にもってこいのスキル、それができればどれだけいいだろうとずっと希求していたとんでもないスキルの習得が不意にかなってしまったわけで、これちょっとした進化のようなものかもしれない。なにかこう、平常時とは完全に異なるあたらしい脳みその使い方へとスイッチするコツのようなものを覚えた感触がたしかにある。明日になってもこのコツを忘れていなければいいのだけれど。
店を去りぎわに(…)さん(…)ちゃんと少しだけおしゃべりした(考えてみれば日曜日(…)とわかれてからだれとも口を利いてなかった。大家さんとさえだ!)。世の中には主夫と結婚したがっている女性がわりとたくさんいるとふたりがいうのでいるんだったらさっさと紹介してくださいとたのんだ。(…)ちゃんがわたしも主夫と結婚したいですというのでぼくと結婚してくれへんかなと間髪入れずにがっついたのだけれどぜんぜん見込みなしな反応だったのであーあとなった。こっちとしても簡単にひきさがるわけにはいかないのでとりあえず来週までに返事おねがいねと念押ししたのだけれど、なんかキャバ嬢から無理やり電話番号を聞き出そうとしているおっさんみたいな構図になってしまっていた気がする。だめかな。だめだろうなきっと。今年は欲しいものがぜんぶ手に入る年のはずなんだけれど。うまくいかないもんだ。看護婦や女医さんは主夫と結婚したがっているひとが多いという話を聞いたのでそうかその路線かと思ったのだけれど、そもそも相手目線に立ってみてじぶんと結婚することで得られるメリットというのはなんだろうかと考えたのだけれど、金なし!地位なし!名誉なし!ルックスがよろしいわけでもなければもはやそれほど若いわけでもなし!参った!という結論が出た。でもちゃんとしたキッチンがあればそれ相応に料理はできるし、洗濯だっていつも大家さんにほめられる(「まああんったはほんっとにいっつもきれいにぴんっと干してェ、お母様のお仕込みのおかげやといっつも思うとるんですえ」)。掃除はまああまり得意じゃあないけれどもそれがじぶんに割り当てられた職分であるといわれたならたぶんしっかり習慣に組み込めるはずだし、それになにより酒は飲まない煙草は吸わないし博打も打たないという省エネ人間であるというか、ノートパソコン一台与えときゃそれで一生カタカタやって遊んでいられるような人間であるわけだし浮気だってたぶんしないしとても扱いやすいんでないかとも思う、というかこうやって書き出してみるとそこまで最悪の物件でもないんでないかという気がしてきた。まあだれかにかこってもらおうだなんて夢みたいな考えはさっさと捨てて年末ジャンボにすべてを託せという話なのかもしれないけど。408万当たってくんないかな。奨学金の返済がなくなるだけでぐっと楽になるんだけど。