2013-11-01から1ヶ月間の記事一覧

20131128

わたしは、世界の広大な精神組織を論ずるのにひどく手を焼き、そのさまざまな部分を論ずるのにも難儀しているが、十分な注意をもってすれば、その広大な組織がいかに考えるかを語ることはできるような気がするのだ。それが何を考えているのかはまったくわか…

20131127

観察者としてのわたしは、数学者に似た立場に置かれている。単独のものについては何もいえないし、それが存在することを経験から確証することさえ不可能だ。わたしにわかるのは、ものどうしの関係についての何かだけである。もしわたしがテーブルは「堅い」…

20131126

父 (…)冥王星は独立の存在としてみれば無生物だ。が、もし冥王星と「わたし」とのあいだに相互作用があったら、冥王星と「わたし」とを部分として含んだもっと大きな全体のもつ特性を調べてみることにも十分意味がある。このより大きな全体は「生命」をも…

20131125

父 (…)たとえば人と人とのあいだでもそうだし、人と環境とのあいだもそうだ。そこにはAとBが両方なくちゃいかん。Aが人でBが人でもいいし、Aが肝臓でBが結腸でもいい。結腸での適応が起こるには肝臓を変えなくてはいけないんだが、肝臓の方を変えると、ま…

20131124

23日 夢。酩酊している。照明の落とされたせまくごみごみとしたアパートの一室にいる。スナックやラウンジの入っているビルにあるような、各階に入っている店の名前が記された看板の縦に連なっているものが、真っ暗な部屋のなかのがらくたの山にうずもれてぼ…

20131122

「自分に変えることのできないものは受けいれる静かな心と、変えうるものは変える勇気と、その二つのちがいを見分ける知慧と」 (グレゴリー・ベイトソン+メアリー・キャサリン・ベイトソン/星川淳+吉福伸逸・訳『天使のおそれ』「メタローグ:中毒」より…

20131121

サミュエル・バトラーの辛辣な冗談に、もし頭痛が陶酔のあとじゃなくて先にきてたら、アル中は一種の美徳になって、厳格な神秘家たちが一生けんめいそれに精進するだろうっていうのもあるぞ。 (グレゴリー・ベイトソン+メアリー・キャサリン・ベイトソン/…

20131120

知覚のプロセスを理解するとき、差異という概念が二度からんでくる。第一に、(地図―現地関係でいうならば――訳注)現地に潜在ないし暗在した差異がなければならない。そして第二に、その差異が知覚システム内でひとつの出来事に転換されなければならない。す…

20131119

すべてのデジタル情報は差異にかかわったものである。地図―現地関係(もっとも広義にとらえてどんな種類のものでもよい)において、現地から地図に載るのはつねに、必然的に、差異の知らせである。もし現地がのっぺりと均質であれば、地図には何もしるされな…

20131118

世界が抱えている主な問題は、自然のはたらき方と人間の考え方の差異(ちがい)の結果である (グレゴリー・ベイトソン+メアリー・キャサリン・ベイトソン/星川淳+吉福伸逸・訳『天使のおそれ』より「自然と養育のメッセージ」注釈) 13時過ぎ起床。ひっ…

20131117

わたしが問題にしているのは、もっと深いレベルで、遺伝現象、形態形成、適応といったものの基盤にある指示言語その他のなかに、何か問いに似たようなものが現われる可能性がないかどうか、ということである。こうした深い生物学的レベルにおいて、「問い」…

20131116

父 (…)いいか、「時間」には二種類あるんだ。 娘 パパのいい方って、時間にカッコがついてるみたいにいうのね。 父 ん? まあそうだな。わたしのいうのは人間のもってる二つの観念のことだ。それが両方とも「時間」と呼ばれる。もうちょっと専門的にいうと…

20131115

父 (…)C・S・ルイスの『悪魔の手紙 Screwtape Letters』に出てくる古参の悪魔で、甥っ子に向かって彼の受持ちの人間をどうやって堕落させるかというアドバイスを書き送る。そのアドバイスっていうのがこうだ。そいつにいつも過去と未来のことを考えさせて…

20131114

娘 つまり、パパのやったのはいまどきのセラピスト連中がやろうとしてるようなことだっていうわけ? 患者に、コンテクストの枠づけ直しや再定義を迫るっていう。 父 ヨブの話もそういうとらえ方でとらえられるのがおわかりか? 神は嵐のなかから、ヨブ自身の…

20131113

一度だれかに、話の挿入っていうのはよく使われる催眠術の手法、トランス誘導法だって聞いたことがあるの……一番表層的なレベルのね。シェラザードが空想物語を話したって聞かされたら、わたしたち少なくともその彼女は実在の人物かなって思い込みやすいでし…

20131112

かなりよく知られた話にこんなのがある。茶色い紙でおおいをした大きな檻をもってバスに乗り込んだ男の話だ。男は相当酔っ払っており、その檻をどうしても自分の席のとなりに置くんだといって乗客を困らせた。乗客たちが「檻のなかに何がいるんだい?」と聞…

20131111

10日・11日 曇りときどき雨の夜8時、仕事を終えて更衣室で着替えているときにふと腰回りにミミズ腫れのようなものが走っているのを見つけた。勤務中やたらかゆいなと思っていたのだけれど、どうやらまたもやダニのやつに噛まれたのかもしれない、仕事着のス…

20131109

一般に、魔術的方法というのはその形式からして科学と宗教の両方に似ているようだ。魔術とは、いずれかの堕落した「応用」形態かもしれない。雨乞いの踊りとか、人間と動物との関係を扱ったトーテム的儀式とかを考えてみよう。こうした儀式において人間は、…

20131108

(…)金属の薄板を一点で支えておいて、その表面に細かい粉をふりまき、バイオリンの弓で縁のどこかを弾く。それによって発生した振動が板全体に不均等にひろがるため、粉は振幅の最大となる部分を避け、振幅の一番小さな部分に集まってくる。この結果現われ…

20131107

ヘラクレイトスの弟子のクラティロスというのが、師匠に「万物は流動し」、「同じ川に二度足を踏み入れることはできない」といわれてこれを試みた。おそらく皮肉な戯画(カリカチュア)だとは思うが、クラティロスはことばを使うのをやめて、指でものをさし…

20131106

ある男が自分のコンピュータに向かってこうたずねた。「お前はいつか人間みたいに考えられるようになると思うか?」すると、コンピュータがしばしジージー、ブンブンやってから吐き出した紙にはこう書いてあった。「そのことで、ある話を思い出したんですが……

20131105

(…)われわれの大部分は学校で名詞とは人や場所や物の名前だと教わったが、本当は、名詞とは文章の他の部分とさまざまな関係を結べるものだと教わるべきだった。そうすれば、文法全体を物ではなく関係という観点から定義づけることができたはずなのだ。 (…

20131104

聖トマスによる「大罪」の定義は、潜在的にいって論理階型分類(ロジカルタイピング)に匹敵するほどの洗練をみせていた。大罪とは、「目的因のごとく」、それを犯すことが他の者たちにさらにその同じ罪を犯させるような罪をさす。 (グレゴリー・ベイトソン…

20131103

フランツ・カフカは『ヤーコプ・フォン・グンテン』を読んで「良い本」だとみなした。「もちろんこんな人たちも、外側から見ると、どこでも走り回っていて、僕は自分も含めたうえで何人か数え上げることができますが、でも彼らは価値の低さによってではなく…

20131102

『フリッツ・コハーの作文集』は一種のミメーシス言語であり、それは例えば小説『ヤーコプ・フォン・グンテン』やその他のいくつかの散文作品にも見られる。模倣(ミメーシス)とは他人の意識をわがものとして演じること、別の言い方をすれば自己の意識を仮…

20131101

音楽を聴かないと何かが足りないが、音楽を聴いて初めて本当に何かが足りなくなる。これが音楽について僕に言える最良のことだ。 (ローベルト・ヴァルザー/若林恵・訳「フリッツ・コハーの作文集」) 11月!こっから年末までは光速やでほんま! 10時半起床…