私の田舎では、外で自殺した仏は家の中には入れない、というしきたりがあったものです。
(「遠くからの声」佐伯一麦)
日記:59分/執筆:0分/読書:4時間38分/授業準備:55分
『川路重之作品選集』がとどいた。書き忘れていたが、一週間ほど前に、抄訳版『特性のない男 ウルリッヒとアガーテ』(ローベルト・ムージル/白坂彩乃+大川勇・訳)もポチってとどいたのだった。
日中はひたすらすべりまくる目で『スーフィー イスラムの神秘階梯』(ラレ・バフティヤル/竹下政孝・訳)の続き。推敲地獄の後遺症——Fくんからは先日のメールで、フローベールの悪霊に取り憑かれていると評されたのだが、Fくんのなかでフローベールって悪霊扱いなんかと考えると、けっこう笑える——で、マジであたまに入ってこない。ブレインフォグってもしかしたらこんな感じなのかもしれない。出国がおそらくいい節目になるだろう。
夜は(コンテストではなく授業でやるほうの)スピーチの準備。Claudeといっしょに授業の流れを考える(といっても95%くらいこちらの提案だったが!)。とりあえずオリジナル原稿を用意してその録音はこちらが担当、原稿と録音を配布し注意点を細かく説明したのち、全体練習→ペア練習(そのあいだに教師は教室巡回)→その日の授業の最後もしくは次回の授業の前半を用いてランダムに選んだ五人が発表という流れでいいんではないかという結論に達した。あとはもう出たとこ勝負だ。学生の反応を見て臨機応変にやるしかない。
Y.Tは今日、午後から幼馴染のH.Sさんといっしょに地元のショッピングモールに出かけた。午前中は家庭教師のバイトがあったのだが、それが終わったところで電話があった。教え子は母の友人の娘である小六の女の子であるのだが、Y.Tが昨日買って部屋に置いておいたお菓子をその子が盗んだのだという。熊丹の祖母が怪我をしたのでそちらにかかずらっているあいだ、教え子は母親の迎えをY.Tの部屋で待っていた。で、Y.Tが部屋にもどったところ、本をかばんのなかにガソゴソとあわてたようすで詰めていたのではてなと思ったのだが、教え子は本のページが破れてしまったからとかなんとかそういう言い訳を口にした。で、教え子が去ったあと、きのう買って部屋に置いておいた菓子類がすべてなくなっていることに気づいた。教え子は手癖が悪い。母親の金を数千元盗んだことも過去にある。それも一度ではなく何度もあるという。一度など母親が娘をこらしめるために、わざと警察に通報し、娘を警察に連れていったことまであったというのだが(つまり、犯人が娘であると気づいていたにもかかわらず、気づいていない体で警察に通報し、母子そろって事情聴取を受けたということだろう)、それでもなお今回というわけで、やっぱり手癖はなかなか……と、これまでに見知ってきた窃盗常習犯らの顔が脳裏をかすめる。Y.Tは相手の母親に訴えようとしたが、(Y.Tの)母君からそれはやめてあげてほしいと制されたという。家庭教師の日程はまだ終わっていない。その子を直接叱ったらというと、もとよりそのつもりだという反応。Y.Tはかなりキレていた。Y.Tは食べることが、なかでもお菓子を食べることが大好きなのだ。教え子は手癖が悪いだけではなく、過去に母親に手をあげたことすらあるという。なかなかの問題児なのだ。



