20230727

 正午起床。階下におりて歯磨き。父が職場からうなぎ寿司を大量に持ち帰ってきたので食す。うまい。食後、残りわずかだった『Unfinished Reasons』を最後まで読み進める。600ページの本、ほぼ一日で読んだかたちになるわけで、やっぱり哲学書やなんかとちがって、こういうタイプの本はさくさく読めるもんなんだなと思った。『coup d’Etat』リリース後のインタビューで、「心っていうものがもしあるとしたら、そこが痒くなるっていうか、ツーンとする、そういうものを作りたいっていうのはずっとあります」(60)という発言があり、心が痒くなるという表現はなかなかいいなと思った。あと、『HELL-SEE』リリース後のインタビューが、五十嵐隆にではなく中畑大樹に対して行われているのだが、そうなった経緯を説明する前書きがクソおもしろかった。

 このインタビューは、当初、『HELL-SEE』について五十嵐へ取材する予定だったのだが、質問にまったく答えず、目も合わせず、2時間沈黙が続き、業を煮やしたマネージャーが、まだ携帯がない時代、おそらく自宅かリハスタだろうと予想して中畑を捕まえ、会議室に連れてきて行われたものである。到着するなり「ねえ、がっちゃんどうしたの? 喋ろうよ、ねえ!」と困惑しながら諭す中畑だったが、五十嵐は無言。しょうがないので中畑にインタビューを始めたが、五十嵐は会議室から出るわけでもなく、ずっと無言で横にいる。「あーすごく話しにくい!」と言いながら答えてくれた中畑には感謝しかない。

 それから、「(…)他のバンドと同じ土俵に上がるのも無理って気づいた時、変な言い方だけど、ここから俺は、一生懸命投げやりにやろうって決めたんですね。プロっぽくなろうとはせず、そうじゃないって部分で必死にやってましたね」(426)という発言のなかの「一生懸命投げやりにやろう」というフレーズ、「(…)これ言い方間違えると嫌な感じになるかもしれないですけど、いいなって思うコードが鳴ると、1個のメロディしか出ないというか、正解しか出てこないんですよ。その正解って、良い悪いを超越した自分でしかない何かなんですけど、それが変わらず自分の中にあることが、ギリギリ僕を支えてくれてた」(519)という発言などが印象に残った。
 その後、母と弟と外出。まず(…)図書館にて『ヤンキーと地元』(打越正行)を借りた。それから(…)メガネへ。おととい選別した二本をあらためてチェックする。店に到着する前は、丸めがねで下半分のフレームがなくて黒と金の二色からなるほうを買うつもりだったのだが、あらためてかけてみたところ、もう一本のレトロでクラシカルなやつのほうがしっくりきて、それはたぶん、今日は柄シャツを着ていたからだと思うのだが、さんざん迷ったあげく、もともとはレンズが大きくてフレームが細いおじいちゃんのかけているような銀縁めがねを買うつもりでずっといたのだし、最初のそのイメージに即して、銀縁ではなくてピンクゴールドであるけれどもイメージに近いほうのレトロでクラシカルなやつを買うことにした。もちろん、チェーンもつける。
 先に購入を決めた母がレンズの調整をおこなったのだが、中・近両用のめがねを購入するということもあり、視力検査的なアレにかなり時間がかかっていた(赤札堂で過去にめがねを買ったときは、こんなにも丁寧に目の状態をチェックしてもらえなかったと母はいつも言う)。弟はお気に入りのめがねが見つかったらしく、いま使っているやつはかれこれ10年物になるので買い換えるのもいいかなと思っているようすだったが、ただ視力が現状それほど悪くなく、裸眼で運転もできるレベルであるらしいので、なにがなんでもいますぐ買い換える必要はない。しかるがゆえに、これから年末にかけて(…)のところでまず働いて金を得て、新作の入荷されるというそのタイミングにあわせてふたたび店をおとずれて買えばいいのではないかといった。
 母のレンズの調整が終わるまで店内で『ヤンキーと地元』を読んで過ごした。それからこちらの視力検査。三年前にサングラスをこしらえたときとくらべて、それほど視力が悪化していないとのこと。これはちょっと意外だった、もっとずっと悪くなっていると思っていた。パソコンを使う時間は長いですかというので、日によっては10時間くらい使うこともあるというと、その影響のようなものはやはり確認できるとのこと。ただ目そのものはけっこう健康らしい。これははじめて知ったのだが、本当に目が弱っている人というのは、たとえどれだけ度数のきついレンズを使っても視力が1.2や1.4まで回復することはないのだという。その点、こちらは適当なレンズを使いさえすれば、1.5までちゃんと見えるようになっているので、その意味で健康であるとのこと。それから現在普段使いしているめがねについては、装着しても0.7程度しか見えていないとのことで、これだと教室の後方にいる学生の顔や空港の案内板などがぎりぎり見えるか見えないかくらいでしょうとこちらの生活を踏まえて指摘されたのだが、マジでドンピシャでその通りだったので、うわ! プロってすげーな! と思った。ただパソコンで仕事をしたり本を読んだりするときは、あたらしいめがねではなくいまのめがねを使ったほうがいいとのこと(この話はマジで参考になる! 要するに、読み書きのときはいまのめがねくらいの度数のほうがいいということだ!)。あと、いまは健康診断のオプションで眼底の写真をCTみたいな機械で撮影することもできるらしく、もし気になるようだったら帰国時にそういう検査を定期的に受けるのもいいのではないかという話もあった。それでいえばそもそもこちらは人間ドッグみたいなものを受けたことが一度もない。大学でいちおう年に一度、健康診断があるにはあるけれども、あれはたぶん必要最低限のものだ。

 帰宅。ホテイアオイのトリミングをする。鉢を作りなおして10日ほどしか経っていないのだが、すでにひげ根がのびにのびて水底に達するほどの長さになっていた。旺盛すぎる。途中、母のいとこである(…)がうなぎ寿司を回収するためにうちにやってきたので、軽くあいさつ。
 夕飯。土用の丑の関係で父の出勤時間がいつもよりはやく22時には家を出る必要があるとのことだったので、食後(…)を(…)まで連れていくのはなしにして、代わりに母とそろって近場を散歩することに。(…)は庭を出た先の花壇で小便をし、家の前の道路でうんこをすると、それ以上は歩かずすぐにうちに引き返した。
 ソファで一時間半ほど眠った。(…)からLINEが届いた。日中、新聞の折り込みチラシでトミカがめちゃくちゃ安くなっていることに気づいた母がこちらにそのチラシをよこしたので(元値が1300円ほどするやつがなぜか150円になっている)、写真を撮って(…)に送っておいたのだが、その返信を兼ねたやりとりの過程で、(…)のところが二人目を妊娠中であることを知った。となると、来月の川遊びはどうなるのだろうと思うわけだが、(…)のところは奥さんも含めて参加するつもりでいるらしい。しかし最近は地元であっても35度オーバーの日々が続いているわけであるし、さすがに盆前ともなれば多少は楽になるかもしれないがそれでも妊婦と赤ん坊連れでは熱中症の心配などもいろいろあるわけで、ちょっとでもやばそうであれば川遊びはキャンセルにしようと話した。(…)の新築でだらだら過ごすだけでも十分楽しめるはず。
 入浴。ストレッチ。『ヤンキーと地元』の続きをひたすら読み進める。中断後、きのうづけの記事を投稿し、2022年7月27日づけの記事の読み返し。夜食は冷食のパスタ。今日づけの記事も途中まで書き進めたのち、歯磨きしながらジャンプ+の更新をチェックし、間借りの一室にあがってから書見の続き。