20130406

わたしが行なうのは義務だからではない、
人が義務として行なうものを、わたしはいのちの衝動として行なっている、
(いったいわたしは心臓を義務だから鼓動させるのか)
ウォルト・ホイットマン/酒本雅之・訳『草の葉(中)』)

ひとときが君を訪れたこと一度もないか、
これらかずかずの泡沫、富、流行を一つ残らず、
これら貪欲な実業の目的――書籍、政治、芸術、情事を、
あとかたもなく投げ捨て、砕き尽くして、さっと降りそそぐ神聖なひとすじの光が。
ウォルト・ホイットマン/酒本雅之・訳『草の葉(中)』)



6時半起床。だるい。8時から12時間の奴隷労働。(…)さん欠勤。昨日から連休をとって家族旅行に出かけているというのだが、よりによって目的地が(…)であったりする。ゆっくり過ごすことのできる絶好のチャンスにかぎって手持ちの文庫本が二冊ともほぼ読了寸前であるという不幸(岩波文庫のキャサリンマンスフィールド短編集とR・D・レイン『レイン わが半生』)。間の悪い男だ。しかたがなしに英語の勉強をする。
(…)さんからまた金を貸してくれと頼まれた。まったくもってだらしのないじいさんである。一万円貸してくれというので五千円だったらいいと受けた。使い道を詮索するほど無粋ではないが、おおむねパチンコかブロンだろう。
勤務を終えて更衣室で着替えているとき、腕時計の文字盤が指し示している針の時刻と小窓にのぞくデジタルの時刻が食い違っているのでどうしてだろうと思っていろいろいじくっているうちに、どうもデジタルのほうは世界各地の主要都市の時刻にあわせることができるらしいということに気づいた。小窓はLONすなわちロンドンの時刻を表示していた。ポケットの中につっこんでいるうちに偶然そう切り替わってしまったらしい。なるほどと思った。そしてそのままにしておいた。
春の嵐にもかかわらず忙しい客の入りだった。職場を後にするころには小雨だったので運がいいやと思って意気揚々とケッタをこぎすすめたのであったが、残すところあと五分の帰路にて突然の豪雨に見舞われてしまい全身ぬれねずみ。ひどい雷鳴。部屋の前でビニール傘をたたんでいると背後から声をかけられ、ふりむくと頭の濡れた大家さんがいて、おかずを食べないかという。ぜひいただきますと答えると、それじゃあいらっしゃいといって歩き出すのでそのあとをついていき、勝手口から台所にお邪魔し、いつものお皿に肉じゃがやらかしわの煮付けやらイワシやらをてんこもりによそってもらった。大家さんの部屋から自室までのわずかな距離を歩くだけで、皿の中の料理に雨がたっぷりとふりそそぐはめになるほどの豪雨だった。
筋肉を酷使した。夕飯をかっ食らった。熱い湯を浴びようとおもったらなぜか大家さん宅に通ずる扉が封鎖されていた。体を清めたい気分だったのでタイへ行く前に日本で買っていったギャツビーのあの体を拭くためのウェットティッシュみたいなやつの残りもので簡単にすっきりしようかと思ったのだけれど肝心の中身は水気がぬけてカスカスになったラスト1枚があるだけだったので、別れしなに(…)にもらった同種の製品(ただしこちらは海外製のものでやたらとnaturalが強調されている)の封を破くことにしたのだけれど、こちらのティッシュは不明なnature成分によるネチャネチャ感が半端なく、ぎゅっと握るだけで奇妙な泡らしきものがすみずみににじみだす。この泡なにかに似ているなーと思ったのだけれどアレだ、アワフキムシの巣だ。
昨日付けのブログの続きを書こうとするも眠くてならず、途中まで書いたところで布団に倒れこんだ。