20130413

 人が生まれたときには、実に口の中には斧が生じている。愚者は悪口を言って、その斧によって自分を斬り割くのである。
中村元・訳『ブッダのことば―スッタニパータ』)

 渇した人が冷水を求めるように、また商人が大きな利益を求めるように、暑熱に悩まされている人が木蔭を求めるように、かれらは急いで(尊師ブッダのまします)山に登った。
 尊き師(ブッダ)はそのとき僧衆に敬われ、獅子が林の中で吼えるように修行僧(比丘)らに法を説いておられた。
 光を放ちおわった太陽のような、円満になった十五夜の月のような目ざめた人(ブッダ)を、アジタは見たのであった。
中村元・訳『ブッダのことば―スッタニパータ』)



6時半起床。5時半ごろにいちど緊急地震速報で目が覚めた。どんな音だったかもうさっぱり覚えていないが、ふだんマナーモードにしっぱなしの携帯が鳴ったのでなにごとだろうとぼんやり思った記憶がある。携帯を手に取り、地震なのかと思ったところで、あるいはそう思う前であったかもしれないが、部屋がかすかに揺れたような気がして、でももういいやと思って二度寝した。それから一時間後にあらためて目覚めると、弟からメールが入っていた。震度3だか4だかあったらしいと朝食をとりながらネットをチェックして知った。
8時間より12時間の奴隷労働。かなり揺れたからびっくりしたよ派(…)さん(…)さんと、揺れたかどうかは知らないが緊急地震速報で目が覚めた派のじぶんと(…)さんと(…)さんと(…)さんでまっぷたつ。昼頃(…)さんが鴨川で捕まえてきた川エビのはいった袋をもってあらわれた。先日より職場のおもてに置いてある鉢に水を張ってメダカとエビを飼いはじめたのだ。かわいい。人手がまるで足りずに忙しい日々を慰めてくれるわれらがマスコット。メダカは近々産卵する。
変わった職場(業界)の変わった同僚たちを描くタイプの漫画なり映画なり小説なり、そういうものがひとつのジャンルというか形式としてすでにある程度の市民権を得ているように思われるけれども、いまのこの職場のこの面々ほどそういう類のものにうってつけのアレもないだろうなと思う。日陰者らの百科全書的全景。曲者たちの大饗宴。それでいて奇蹟的におだやかに過ぎ去る時間。客足の途絶えた日中など、洗い物をしながらこのひとときが愛おしいと感じることすらある。青山真治サッドヴァケイション』のあの運送屋みたいなものかもしれない。ドロップアウトしたものたちの最後の受け皿。よくもまあこれだけの面子がそろったものだ。明るく陽気な落伍者たちの日々。けれどもその手の物語がおりなす常道として、この穏やかさはけっして長続きしない。不吉にひかえる未来の印象が、それゆえますますいまの結晶化に拍車をかける。
年を経てからしみじみと思い返す視点にいま、なぜか、はっきりと立脚する瞬間があった。
帰宅後、筋肉を酷使し、熱い湯を浴び、頂点に達しつつある眠気と張り合いながらDuoったのち、1時過ぎに床に着いた。