20130830

朝早く(…)の手落としたらしいカメラが顔面にヒットしてめざめた。前夜の怒りをひきずるところが多分にあったのか舌打ちが出た。それから二度寝した。次にめざめると10時ですでに彼女の姿はなかった。自転車もない。となればようやくひとりでどこかに出かけてくれたものらしい、そう見当をつけた。ここにきてはじめての別行動である。丸一日のフリータイムである。整骨院にいった。今日が最終日である。長い期間お世話になったので沖縄土産でも買ってあらためてあいさつにいこうと考えている。航空券と保険をプリントアウトした。それからエロ動画を観た。じつにひさびさだった。酩酊した。これもやはりひさしぶりだった。ケミカルなコーヒーとケミカルな菓子パンとケミカルなチョコレートを食した。なにもかもがひさしぶりだった。ふらふらになりながら地下鉄で京都駅まで出てヨドバシカメラの上階にあるスポーツ用品店で水着をチェックした。カプリチョーザでパスタを食した。ヴィレッジヴァンガードで立ち読みして大垣書店鈴木翁二の漫画を一冊購入した。地下のスーパーで寿司を買って食った。ベンチを移動しながら鈴木翁二を最後まで読んだ。すばらしかった。傑作だった。帰宅するころには20時をまわっていた。(…)の姿はなかった。一時帰宅した痕跡もなかった。夜遊びしているのならかまわない。カウチサーフィンで知り合っただれそれの部屋に転がりこんでいるのならそれもかまわない。ただ道にまよって帰ってこれなくなっているのではないかという懸念はある。しかしこの手の懸念はこと彼女にかんしてはことごとく杞憂におわるのが常である。踊るのが大好きな(…)のことであるからクラブにでも行っているのかもしれない。そうしてこちらの心配などよそに気分上々で深夜に帰宅するのかもしれない。小説を書こうと思った。「邪道」をあきらめたくなかった。自室で作業にとりかかってもよかったが、(…)が帰宅するはちあわせの瞬間を回避したいという逃げ腰な気持ちがあったので、喫茶店にむかった。ひさびさにひとりで来たねと(…)さんにいわれた。あれーまた書きはじめたのと(…)さんにいわれた。仮に(…)が道にまよって四苦八苦していたとして、ほうほうのていで帰宅した彼女の目に最初にうつるのがパソコンをまえにカタカタしているじぶんの姿だったとすると、あなたはわたしの帰りが遅いことなんてまったく心配しないで書き物に夢中なのねと、また例のごとくいさかいの生じかねないので、きみを探しに出かけていたのだと弁明も立つ出先での執筆に決めたのだった。0時30分にきりあげた。帰宅するころには1時をまわっていた。部屋の照明を落として(…)はすでに眠りについていた。一言も口をきかずに一日が終わった。