20130309

 私たちは、権力とは何か、それはどこから由来するか、とは問わない。そうではなく、いかにそれが実践されるか、と問うのだ。権力の実践は、まるで一つの情動(affect)のようにあらわれる。力は、それ自体、他の様々な力に影響を及ぼし(力はそれらと関係する)、他の様々な力から影響を受ける能力によって定義されるからだ。煽動し、喚起し、生産することは(あるいはまたこれに似たリスト上のあらゆる用語は)、様々な能動的情動を構成する。そして、煽動されること、喚起されること、「有用な」効果を生産し、獲得するよう強いられることは、反動的情動を構成する。反動的情動は単なるはねかえり、能動的情動の「受動的反面」ではなく、とりわけ、影響される力が、抵抗力なしには存在しないことを考えるなら、むしろ「還元することのできない対極」なのである。それぞれの力が(他の様々な力に)影響を及ぼす能力と、(やはり他の様々な力に)影響を受ける能力を同時にもっている。だから、一つ一つの力は権力関係をともなう。そして、このような関係と、関係の変化にしたがって、様々な力を配分するのは、力の場全体なのである。自発性と受容性は、今や、新しい意味をもち、影響をおよぼすこと、影響をこうむることとなる。
ジル・ドゥルーズ宇野邦一・訳『フーコー』)



6時半起床。鼻づまりのせいで途切れ途切れの3時間睡眠。8時から12時間の奴隷労働。客足多し。これから観光シーズンになるにつれてどんどん忙しくなる。今日も宿泊予約が可能かどうかたずねる電話が三度あった。一見さんであることの明白な客も多い。4月の花見シーズンは大変なことになるだろう。昨年の紅葉シーズンは実際たいそう忙しかった。客が出前をとった計4000円以上になるちらし寿司と天とじ丼と茶碗蒸しと吸い物とのセットが半分以上残ったまま下げられてきたのでぜんぶ食ってやった。乞食なみの食欲やなと言われた。つまみ食い含めて満腹続きの勤務時間だったので帰宅後は夕食を抜くつもりだったのだが、結局なんだかんだでそれなりに食ってしまった。身体を作るためにはいちどある程度太ってしまったほうがいいというか太るくらいの量を食べなければならないというし、まあこれはこれでいいのかもしれない。今日は朝から(…)さんの機嫌がたいそう悪く空気もぴりぴりしているようなところがあったが、こういうときこそ何も気づかぬふりを装いわざと無神経におしゃべりしてみせつつ、しかし要所では配慮のしるしを見せるみたいなことをして空気の流れを良くしなければならない、と、こういう小細工を無自覚的に弄してしまうのはおそらく両親の不仲をとりもとうと一心不乱だった幼少期の名残なんだろう。と同時にまたそんなおのれのふるまいを自覚したとたんにその種の小細工をいまだに弄しているじぶんが一気に馬鹿馬鹿しくなってむしろ空気の悪さに拍車をかける方向にいそしむことで心理上の帳尻合わせをしようとするひねくれた傾向もある。(…)さんは職場を去るまぎわにチョコをくれた。ホワイトデーのためのブツもそろそろ用意しなければならない。
ごくごくふつうに一日を過ごすことができる。本だって読める。時間が許せば書くことだってできるだろう。けれど油断すると自己嫌悪に駆られる。ディプレッションのきざしを感じる。0か100かの極端な取捨選別に傾きがちな傾向が、なにか極端な解決策を求めている。きのう今日と眠るまえにスカイプにログインした。彼女はいない。いたところでどうするのか。いまさら何を話せばいいのか、何を弁明するつもりなのか。

蒸発した野望が試験管の底で揺れて
発見されるまえの日射しがうろたえた寝顔に点を打つ
だれも信じない夜
知らない記号がきみと悪魔を見てる