20130324

 私には分からなかった。破壊されるものが何であるか、私にはよく分かっていた。しかしそのあとに何が建設されるか分かってはいなかった。誰一人として確信をもってそのことを分かっているものはいないのではなかろうか。古い世界は、現実のものであり、堅固である。私たちがその中に住み、この瞬間常にそれと戦っている――この世界は現に実在しているのである。未来の世界はまだ生まれていない、夜を織り出す光から出来ている、捕えどころがなく、流動しているものである。強い風にもてあそばれる雲である――愛、憎しみ、空想、運命、神……。この世の最も偉大な予言者でさえ、人びとにスローガンしか示してくれない。そしてそのスローガンが漠然としていればそれだけ予言者も偉大なわけだ。
ニコス・カザンザキス/秋山健・訳「その男ゾルバ」)

 私は自分が幸福であることがよく分かった。幸福を体験している間は、それを意識することは難かしいものである。幸福が過ぎ去ってしまってから、それを振りかえってみて、はじめて、しばしば驚きの気持で、自分たちが幸福であったことに気づくものである。しかし、このクレタの海岸で、私は幸福を体験し、同時に自分の幸福を意識していた。
ニコス・カザンザキス/秋山健・訳「その男ゾルバ」)



4時半起床。目覚ましより5分ほど早く鼻づまりで目が覚めたのだが、起き上がってみるとなぜか上着を着ていなかった。夜中に暑い!となって脱ぎ捨てた記憶のないこともないような気がせんでもないようなそうでもないような。5時半より「偶景」作文。3つ追加で計159枚。良いものが書けた。というかひさしぶりに書くという行為に耽ってみて思ったのだけれど、やばい。やっぱり書くというのは良い。没頭からの覚めぎわに獲得されるじわじわとした手応えがたまらない。これだ!という気がする。光が射すようだ。
8時から12時間の奴隷労働。税金滞納で銀行口座を凍結されていた(…)さんがそれにもかかわらず昨夜(…)さんと祇園で豪遊してしまったらしく手元に一円もない状態になってしまって、それ自体は毎月のことといえばそのとおりなのだけれどしかし奥の手であるカードさえもが限度額に近いとかなんとか、そこにくわえて完全なる二日酔いで朝から夕方までずっと調子悪そうにしていたものだから見ておれず、これでポカリでも買って休んでくださいと五百円玉を恵んであげた。
仕事を終えて帰宅後(…)と自室で落ち合い悪企み。四つん這いの姿勢で咳をした拍子に首から背中にかけての筋を思いきり違えてしまい、地獄の痛苦である。これは絶対に長引く。最悪だ。ジョギングがまた遠ざかる。夕飯には宅配ピザをとって食べたクソ美味かった。痛みに耐えられず布団に横になったら一瞬で眠りに落ちた。たぶんまだ日付はまわっていなかったんでないかと思う。
3時半ごろ部屋を出ていこうとする(…)の気配で目が覚めた。わりとはっきりと冴えるところがあったのでコンビニに出かけて牛乳だけ買った。それから違えた首筋に塗る湿布を塗布し、ウェブ巡回してごにょごにょやっているうちに6時かそこら、布団の上で楽な姿勢をとりながら本を読みはじめたところですぐにまた眠っちまった。