20130504

夢。弟と解体現場を歩いている。もうひとりふたり匿名的な人物がいたようであるがはっきりしない。それらの人物が弟とそう親しくないということは彼らの姿が消え去るなり弟の口がなめらかになったことからも明らかである。弟はつい先日、就職面接を終えたばかりらしい。高校時代のじぶんの担任がかかわる職場であるという情報はすでに知っている。若干不安に思いながら面接はどうだったのかとたずねると、まあ落ちることはないって感触やったわと飄々とした返答がある。
夢。職場にて(…)さんとふたりワイシャツの下に着る肌着をたたんでいる。それが仕事らしい。やがて部屋にあがって掃除をしていたらしい(…)さんがおどけた仕草で降りてくる。スタッフの待機する控え室がそのまま関西空港のロビーにつながっている。そのロビー方面にあるらしい便所へ(…)さんが向うのを見計らってジュースを盗み飲みする。(…)さんは妹さんに電話をかけてしきりに「銀ぶり」が食べたいと口にしている。夜の帰り道、認識上の丸太町通を東へむかっているうちに実家のそばに到着してしまう。隣家の前にたたずむあやしい小太りの男のそばを通過するさいにばっちりと目があう。お客さんだと思ってあわてて会釈する。それから利用客数をチェックする書類に正の字の一本を書き足す。
夢。気心の知れているらしい匿名的な友人らとともに食堂に入り(ドストエフスキー罪と罰』の中に出てくる大衆居酒屋だという認識がかすかに働いている)、厚みのある天板がごろりとさしだされている無骨なおおぶりの木製のテーブルに腰かける。同席した四五人のうち、ひとりは(…)さんに似ている(以後、彼らと言葉を交わしながらつねにそのひとりが眼鏡を外した(…)さんなのではないかという疑問がよぎりつづけることになる)。むかし関与していたバンドの結成何周年記念だかのライブに出演することになったのだじぶんが話している。バンドはすでにメジャーデビューしており(それは現実に存在するロックバンドで、名前は聞いたことあるけれど音源そのものにあたってみたことはほとんどないしそれほど興味もないというような、たとえばフジファブリックとかサケロックとかそのあたりではなかったか)、じぶんは結成当初のメンバーであったらしい。同席している連中は別のバンドの関係者らしくこちらの話にしきりにうなずいたり相づちを打ったりしている。最近ネットで調べてみたところどうもじぶんが所属していた時代に作曲した楽曲をいまでもライブで演奏しているようだ、ふつうその手の楽曲というのは封印しがちなものだろうに、そういうこだわりはまるでないらしく、それがかえってさっぱりみえる、ゲスト出演してもかまなわないという気持ちにさせる、と語る。
夢。黒沢清の新作だという映画を観ている。殺風景な部屋の壁際に、身体の右半分と左半分がそれぞれ男性と女性になった人体と、顔だけが女性で身体が男性という人体が、それぞれマリオネットのような関節のぎこちなさで宙に浮遊しながらこちらをながめている。両者ともに男性と女性の継ぎ目があらく、CGによるコラージュの精度に難ありといわざるをえない出来映えになっているが、それは意図的なものであるに違いないという確信がある。あまりの不気味さとおそろしさに全身に鳥肌がはしり、こんなにも映画でびびるのは初めてだという歓喜のようなものさえおぼえる。i-padをのぞきこむと、『ファイナルファイト』のプレイ画面が展開される。コーディーかガイのいずれかが落とし穴に落ちる場面(じっさいのゲームにそんな場面はない)が延々と反復されるのに、この引用はゴダールばりではないかと感心する。ゲームのプレイ画面が実写に切り替わる。ガイ役とコーディ役の俳優の周囲をとりかこむ撮影スタッフらの姿がみえる。落とし穴に落ちる場面を撮影する予定らしいのだが、当の落とし穴にむけて走り出そうとするそのまぎわにガイ役だかコーディ役だかのいずれかがその場からいきりなり姿を消す。それは死である。しずまりかえったスタッフのうちのひとりがやがてぽつりと、プレイヤーを電源を切りやがったんだ、と口にする。
4時起床。夢の名残か何なのか、うっすらとした吐き気をおぼえる。前夜かたづけずに眠ってしまった英語の調べものをこなしながらも食欲がわかない。胃に不具合を感じる。1時間ほど作業したところでこれはダメだと二度寝して7時前。体調はよくならない。たくさん夢を見たのはそれだけ眠りが浅かったということだろう。そしてその眠りの浅さはほかでもないこの体調不良に由来するものだ。前回胃をやってしまったとき同様、フレスコでバナナとポカリを購入し、これをして朝食兼昼食とすることにする。
8時より12時間の奴隷労働。朝礼「おはようございます!土日祝といえばこの男!(…)でございます!」。朝から職場の胃薬を飲む。これでずいぶん楽になったはいいが、午後からはうってかわって頭痛に悩まされた。こめかみのあたりがひどく熱を持っている気がする。単純に風邪でもひいたのか(朝昼の気温差が激しいここ数日である)。しかし熱はない。夕刻にバファリンをいただいて飲んだところ、効果覿面だったのでびっくりした。
(…)さんが60歳からのhow to sexみたいな記事につられてなけなしの金で週刊ポストを購入していたのが笑えた。いぜん新聞の広告欄にその見出しが出ているのを見つけて(…)さんが(…)さんこれどうですかねとすすめてみたところ、んなもんダメや週刊誌なんて嘘ばっかりや、と一顧だにせずな態度であったのに、結局これである。しかも数件のコンビニと書店をめぐったあげくの購入だったらしい。肝心の中身については、おめーこれスワッピングパーティーいうたかてな!紹介しとるとこぜんぶ東京ばっかやないか!ワシちょっと編集部に電話したろかいなコレ!とお怒りであった。
帰宅後はやや少なめの食事をとり、風呂にも入らず酩酊し、深き眠りの淵をめざした。朦朧とする頭でなにやら書きのこしている。

きみにあいたくて胸がもう冷たい極寒の途中で情けが立ち枯れるその巣立ちそのかもめゆく旅の果てばかりが角をなしドミノは不可能となる逆説きみは法則になっておれは蝋燭になってふたりを結びつけるものだけが鉄則だそこにもまた亀がひそむきみの故国のことをしりたいおれは家族のことを知らない勝手なやさしさで罪もない初対面を防備するやがてうずしおが明日の行方さえも運びさってきみはゆるさないきみはただひとりおれの読者だからおれはきみの国の王なのだろう