20130512

6時45分起床。起き抜けに鼻をかんだところものすごく粘度の高い青洟がたくさん出たのでびっくり。8時より12時間の奴隷労働。先日にひきつづき声がガラガラにかれまくっている。率直にいって業務にさしさわりの出るレベルである。変声期でもこんなに声の嗄れたことはなかった。(…)くん今日の声ものすごくカッコイイんやけどと(…)さんにいわれて悪い気がしない。(…)さんにもしぶいブルースシンガーみたいな声になっとるでといわれたので、ジョン・リー・フッカーの曲名は忘れてしまったけれどなんとかいう曲をワンフレーズでたらめ英語で歌ってみたら見事に声が裏返った。
明日の夜にでもちょっと出てこれないかと(…)さんから誘われたのだけれど、ただでさえ時間のないところに病院に行ったり警察署に行ったりしなければならないとなればさすがにちょっとアレなので、無理かもしんないですと答えた。
帰宅後、ふたたび法律の勉強。手つかずの領域の知識というのはびっくりするくらいすんなりと頭に入るものだ。深く掘るためには広く掘らなければならないというゲーテの言葉を思い出す。フローチャート式にありとあらゆるパターンをシミュレーションしてあとは相手の出方次第というところまで詰めたところで切りあげて適当に酩酊しながら飯を食ったり音楽を聞いたり「ボケて」の画像で笑ったりなどした。「ボケて」のお題のひとつにCDディスクの裏面かなんかの画像があってそれにたいする回答として「意見が多すぎてわけがわからなくなった円グラフ」というのがあったのだけれど、これって要するにじぶんが考える個性やオリジナリティ(と呼ばれているもの)そのものであって、ひとつひとつの素材(意見)はすべて既知であるもののその組み合わせの割合と配置がそのひと固有の顔や声を形成するにいたる。すなわち神は細部に宿る。あと、土煙をあげる未舗装の路上を浅黒い肌の男がふたりのりしたバイクが走っている画像がお題に出ていたのだけれど、それを見た途端、ものすごい解像度とリアリティでタイの熱気を思い出して、うわーこれすげえとなったものだからそのまま旅先で撮影した写真をいちまいいちまいスライドショーしていったのだけれど、たぶんジャングルトレッキングの初日、カレン族の前になんとか族の村に滞在しているあいだにとった写真をながめているときだったと思うけれど、(…)との関係が最悪といっていいほどぎすぎすしたものになっていたその当時の心境までもが半端ないレベルで反芻されてあやうく死ぬほど落ち込むところだった。あのときはじぶん以外のツアー参加者が全員西洋人という強烈にアウェーなシチュエーションで手持ちの武器はといえば(…)以外にはまともに通用しないでたらめ貧困英語だけ、その(…)はといえばあなたなんてもう知らないレベルの突き放しっぷりだったし疎外感のあまり泣きそうになったものだったが、二日目から陽気でイカれたジャパニーズという道化に徹することで奇蹟の逆転劇を生じることになったというか、絶望を裏返しにして花ひらく悲しき道化に変身することで逆境を切り抜けるというそのやりくち自体がなつかしくて、ああおれこんな子供だったなー、むなしさを誤摩化す空騒ぎばかりしてたなーと、そういうところにまでこの夜、気持ちは遡行した。