20130615

6時半起床。8時より12時間の奴隷労働。(…)さんの代わりに新しく仲間入りした(…)さんと初顔合わせ。温厚そうな女性。おばさんよりはおばあちゃんに近いが、本人を前にしておばあちゃんと呼ぶのはためらわれる、そんなむずかしさのある年齢。休憩中にかわされるえげつない会話の数々を前にしてもにこにこ笑いだったので、たぶんこのひとなら続くだろうと思う。今日は(…)さんが(…)さん相手にひたすら美人局をしないかと持ちかけていた。といっても、かれこれひと月以上前から折りを見ては打診しつづけているのだが。ターゲットはとある界隈の大御所で、超がつくほどの大金持ち、そしてお人好し、妻子有りだが現在別居中で、本人曰く「女性を守ってあげたい」願望の持ち主らしい。本気で落とそうとおもえば楽勝で落とせるのだと(…)さんは鼻息を荒くしてくりかえす。「でも好きになっちゃ駄目ですよ、そうなると話がややこしくなるから」「そんなの無理!」。
その(…)さんから明日は(…)さんの誕生日だと告げられた。(…)さんの予定がどうなっているのか確認はとれていないものの、とりあえず明日はどっかでなんかしようかと、そういう前提で事を運ぶことになった。
面接に来た女の子がかわいかった。おそらく採用。気がつけば芸大生ばかりである。もっとも彼・彼女らとはシフトが異なるので滅多に言葉を交わすこともないが。おなじ芸大生の(…)さんがインディーズのヴィジュアル系バンドにみついでいるという話をしていて、わたしダメなんですよー男のひとに簡単に尽くしてしまうんですー面倒見てしまうんですー、と、それを耳にするが早いか(…)さんがさっそく「(…)!出番!」とこちらに話をふるので、これまでろくすっぽ話をしたこともないというか挨拶以外の言葉を交わした記憶がほとんどまったくないような間柄であるにもかかわらず、(…)さんぼくと結婚せえへん?とまた行き当たりばったりなプロポーズをした。(…)さんと(…)さんから即、人間のクズとののしられた。こいつふざけとちごて本気やからな、生活費もらえればだれでもええんや。
帰路、新風館ヴィレッジヴァンガードに寄り道。(…)さんの誕生日プレゼントに何を贈るべきかと考えながら店内をめぐってはみたものの、何度も遊んでいるはずであるのにおたがいの個人情報をほとんどまったく知らないというか、こちらが(…)さんについて知っている情報といえばお坊さんであるという一点のみであり、そしておそらくむこうがこちらについて知っている情報といえば小説家であるというその一点だけであって、さてどうしたものか。と、思いながらぶらぶらしているうちに、そういえば(…)さんは読書を好むと(…)さんが言っていたなと思い出し、しかし(…)くんの読むようなものでは全然ないともいわれていたので、だからムージルとかベケットなんてのはやっぱり違うということだろうし、なるほど、それだったら漫画なんてどうだろうと、大島弓子やら三好銀やらあとは西岡兄妹カフカ」やらを手にとってはああでもないこうでもないと逡巡したあげく、結局、市川春子の短編集二冊を購入した。妥当だと思う。すでに手元にあるんではないかという可能性だけをおそれている。
帰宅後、きのう(…)さんにいただいた鯖寿司を食して入浴。あたらしい小説を書き出してみようかと一瞬おもったが、すぐにその気が失せた。そうしてなんでかsuper carを聴いている。なつかしい。
拳銃がほしい。死にたくなったらすぐに死ねるというその保証が一種のお守りのようなものとしてこの生の営みにポジティヴに作用する気がする。