20130704

12時起床。やたら身体がだるい。扇風機のせいかもしれない。風を直接浴びることのない距離と高度に設置してはいたのだけれど、どうも部屋の壁に反射するかたちでちょうど就寝中のじぶんの身体に流れこむような風の筋道ができあがっていたらしい。唐突に降り出した大雨と雷鳴。バンコクで何度も出くわしたスコールを思い出す。空が曇りだしてなまぬるく厚みのある風が吹きはじめると商店主たちがせわしなく動きだし、路上に放り出していた商品を彼らがあらかた片付け終えたちょうどそのタイミングで助走のない豪雨が盛大に降りはじめる、そんな光景。13時半すぎより17時まで発音練習&Duo。
FenneszのEndless Summerってのはじぶんにとっては完全にEnd of Summerな楽曲で、盆も過ぎてしばらく、ある一日を境に唐突に、日中はまだそうでなくても夕暮れ時の風に翳りのようなものがきざしはじめ、半袖の肌の上をなぜていくものに熱気と湿気がいつのまにやら欠落しているのに気づいてはっとする、そんな瞬間にふさわしい楽曲で、そういう時期になるたびに毎年のようにききかえしているような気がするのだけれど、そのせいか、あの電子音を耳にするだけでたやすくせつなくなって胸が苦しくなる。まだまともに夏もはじまっていないというのに、ときどき、酩酊しているときなど特にそうなのだけれど、(…)の去ったあとの九月の変わり目を思って、するとやはり、せつなくなる。去年帰国してから一ヶ月間、実家に滞在していて、だらだらと小説を書いたり、英語を勉強したり、ときどきどこか近場に家族で出かけたり、とても平坦な一ヶ月間を過ごしていたはずなのに、いま思い返そうとすると、なぜかあれらの時期とEndless Summerと、それからほのかにきざす希死念慮みたいなものが融合しているように思われて、加えてお盆の印象もあるものだから、Endless Summerにはどうにも彼岸のイメージが結びついてしまっている。
整骨院。夕飯。仮眠。21時より0時までさらにDuoる。例文のほとんどを暗記していたところで会話の最中、つまりリアルタイムで必要な単語に咄嗟にアクセスできる瞬発力がともなっていなければ、まったくもって意味がない。残された時間でそのための回路を強化する必要がある。とかなんとかいって勤務日を省いて残り何日残されてあるのか数えあげてみたところ、まさかの十日間で、これはやばい、調子こきすぎた、もっとはやくDuoに着手すべきだった。しかし後悔先に立たず、遅刻者たるじぶんがおもむくころにはすでに宴もたけなわ、すべての祭りは後の祭り、祝祭の幕切れにひとり立ちほうける。
そういえばまだ報告していなかったと思い出したので、というか大家さんの一件にしろわりと事後報告なところがあるじぶんに気づいてちょっとダメかもしれんと思ったりもするのだけれど、母親に電話して盆にマジで(…)さん連れて帰ることになりそうだからよろしくと伝えた。するとなにひとつ抵抗のないオッケーで、むさくるしい男ばかり三人も産み落としてしまったその反動からなのかどうなのか、男ばっかりの兄弟やし娘が来たらお父さんよろこぶわみたいな言い方をしていたけれども実際のところ母親がまあいちばんはしゃぐんだろうなということはいぜん付き合っていた恋人を実家に連れていった経験からも明らかで、たぶんまた着れなくなった服をプレゼントしようとしたりアクセサリーの類を女同士で飾りつけあったり飾りつけあったその姿をたがいに眺めあったりするんだろうし、そういうのを傍目からぼんやりと見守るじぶんの姿も容易に想像できる。(…)やたらとあなたのお母さんにクレイジーなヨーロピアンだって思われないかしらって気にしとったわと告げると、もーどもならん次男の嫁さんになってくれるんやったら誰でもかまへん、誰が来てくれてもうれしいわって伝えといてとあったものだから、そういうアレで連れてくわけちゃうっての、万が一ほんなことになったらこっちがいちばん困るっての、と応じ、じいちゃんにもあらかじめ言うといてな、いきなり連れてったらびっくりして死んでまうかもしれんし、と続けると、まあじいちゃんは毛唐がどうのこうのいうような世代ではぎりぎりないしな、大丈夫やに、というすごい返事があって、そういえば(…)さんな、と、ここで兄嫁(何度でもいうがじぶんの中学時代の同級生である)の名前が出たので、たしか9月に出産の予定やったよな、と先取りして質問すると、それがもうちょっと産まれるかもしれへん感じでな、いま予定よりもはやくむこうの実家に帰って安静にしとるんやわ、お母さんといっしょ、あの娘小柄やろ、ほやしやっぱり大変なんやわ、このあいだちょっと様子見にいったんやけどお腹もうパンパンになっとってな、水瓜みたいやった、とあって、そういや兄嫁のベイビーもひょっとしたら見れるかもしれんっていうたら盛りだくさんの夏になりそうねとかいってテンションあがっとったわあいつ、というと、母は笑って、まあうちはいつでもかまへんし、あんたら二階の部屋つかえばええし好きなだけおんない、とあった。それから水子の兄のことを若干気にしつつ、じぶんは予定よりもどれだけ早生まれであったのかとたずねてみると、一ヶ月とちょっと、という返事があった。体つきは残念なくらい華奢だし、言葉の遅れもひどかったみたいであるし、んでもってこんな性格であるし、ほとんど失敗作みたいなじぶんであるが、それでもまあどうにか生きてて今、こんなことになっていることの不思議を思う。通話を終えるまぎわ、いまから一ヶ月間ひたすら中学英語の勉強だけしとけ、という弟にたいする伝言を母に託した。
入浴。夜食。ブログ。(…)さんへのメールを作成して4時過ぎに就寝。PCがフリーズしたので夜中にひさびさにエアコンを起動した。