20130709

12時起床。8時に予告どおり大家さんがカレーをもって部屋にあがってきたので受け取るだけ受け取ってすぐに二度寝しようとしたのだけれど蒸し風呂のごとき部屋の暑気ゆえに寝付けず、しかたがないので受け取ったばかりのものを食って満腹中枢を刺戟し、満腹中枢の近くにある睡眠を司る何とかいう領域をそれによって重ねて刺戟することで睡魔を招き寄せ、結果、二度寝した。そして12時に目覚めた。起きたはいいもののどうもやる気が出ず、だらだらと過ごして15時から整骨院に向かった。帰宅すると勝手に部屋の戸を開けて室内に侵入していた(…)の姿があり、さてそれじゃあ行きますかということで地下鉄にむかったのだけれどすさまじい猛暑で、これ毎年思うのだけれどいったいいつもどうやってこの度し難い暑気を乗り切っていたのだろうか。それもこれまで冷房なしでやっていたんだから余計に信じられないというか、そりゃ自律神経もいかれますわ。地下鉄では実家にもどる途中だという(…)さんとたまたま出くわした。京都は外国人が多いなと思った。
服屋をめぐりにめぐった。今日こそ夏服を買うと決めていたのだが、なかなかしっくりいかないもので、それでも最終的には八分丈の赤いパンツと半袖の柄シャツを買った。どちらもバーゲンのおかげでずいぶん安く買うことができたというか、ふたつあわせて7000円程度ですんだんではないか。服屋めぐりの途中で小腹が空いたのでラーメン屋に入った。学生時代のころ(…)とちょくちょくこうして服屋めぐりの後にラーメンを食ったのを思い出した。買い物をするたびに思うのだが、ショップスタッフが邪魔くさくて仕方ない。ゆっくり手にとってじっくり観察したいこちらの意向などすべて無視してやたらとどうでもいいうんちくばかり垂れ流してきてけったいなことこの上ないというか、ノルマやら歩合やら色々事情があるのはわかるけれどもとりあえず黙ってくれよと、ひとりでゆっくり選ばせてくれよと、おまえが何買ったとかどうでもいいんだよと、そういうアレでたいがいイライラしてしまうところがあって、イライラを顔に出しすぎだと後で(…)に駄目出しされもしたのだが、とにかくあまりにしつこく話しかけてくる連中にたいしては、ちょっとゆっくり見させてもらっていいですかね、と剣呑に言い放つという対応をもって接することにした。これが効果覿面で、こちらの言葉にたいしてほとんど反射的に打たれたと思われる肯定的な相づちの「はい!」こそ寄越されるものの、言外に含められたこちらの意を遅れて汲むわずかに張りつめた間を経さえすれば、すっかりおとなしくなってくれてこちらから話しかけないかぎりは話しかけてこないという快適な主導権を握ることができて、この戦法はたいそう重宝する。
ひさしぶりにたくさん歩きまわって疲れきって、地下鉄に乗って最寄り駅まで戻って近くにあるラーメン屋に入って本日二軒目のラーメンで、食って、帰宅してまもなく柄シャツの入った袋がないことに気づいてあせって、ラーメン屋か、電車か、それとも試着室か、いずれにせよどこかに置き忘れてきたにちがいないとなってひとまずラーメン屋に猛ダッシュしたのだけれどなくって、とてもかわいい女の子がひとりで食券を買っている現場を目の当たりにして、おおーと思ったのは別にどうでもいいといえばどうでもいいのだけれど、これたぶん試着室に置き忘れたっぽいなと思いながらの帰路、猛烈な腹痛と便意に見舞われて漏らしそうになりながらアパートのトイレにぎりぎり駆け込み、脂っぽいラーメンを食べるとちょいちょい腹を下す傾向がある。部屋にもどってネットでショップの電話番号を調べて電話して用件を伝えると案の定おあずかりしていますとのことだったので今週中には取りにいきますんでと伝え、(…)が今週の金曜日に地元である花火大会にあわせて帰省するとかいう話で夕方17時のバスに乗るからそれまでだったら時間があるとのことだったので忘れ物を回収しがてら今日まわりきることのできなかった他の店にその日行こうということで段取りが決まり、さて今からどうしますかと部屋でごろりと横になったのがたしか21時かそこら、とりあえず例のごとく逃現郷にでも行きましょうかとなって部屋を出た。アパートの敷地内でたまたま大家さんと出くわしたのでちょっと出かけてきますわと挨拶して通りに出たのだけれど、何気なくアパートのほうをふりかえってみると大家さんが部屋の戸の陰に半分だけ身体を隠してもう半分をあらわにしたまま、立ち去りつつあるこちらをじっと不動の姿勢でながめていて、ひとけのない夜にまなざしをこちらに据えたまま戸の陰に立ちつくす幽鬼じみた老婆とその足下から長細くのびる影がすべて均一に青白く染め抜かれている光景を目の当たりにした(…)が、やばい、こわい、なんでこっち見とん、マジでこわい、え、なにあれ、ちょーほんまこわい、と真剣な顔であせりはじめ、元々その手のアレに弱い男であるのだけれどそれにしても異様な恐怖を感じているようで、いやーあれはやばいって、絶対(…)泊めたらあかんわ、あれはほんまにやばい、としきりにおそれっぱなしであり、その恐怖は結局一晩中彼の心のしこりとなって居残り続けた。
逃現郷に歩いて向かう途中に下痢ラ豪雨のきざしを感じたので(…)を置いてけぼりにして薬物市場まで駆け足で行ってぎりぎりセーフだった。具合の良いエアコンのもとで涼みながらアイスカフェオレを飲み、だらだらと主に英語の話などをしたりしてたぶん1時半ごろまで滞在した。あんた年々イラチになってない?といわれたので、ちょっと反省した。イライラした表情を目にする頻度が多くなっているという。なんとなく、いまの職場で働くようになってから以前ほど怒りや苛立ちといった攻撃的な感情や反応を抑圧しないようになった気がする。善くも悪くも。
馬鹿のふりをしている賢者よりも、馬鹿のふりをしている賢者のふりをしている馬鹿のほうがよほど多い。
薬物市場で夜食を買ってから部屋にもどって酔っぱらってそうこうするうちに寝た。Tがいつ部屋を出ていったのか、まるで覚えがない。