20130910

8(日)
労働。帰宅すると(…)が寿司を購入して待っていてくれた。フライトの経由先であるバンコクでの宿泊手続きやら大学の新セメスターの登録やら調べものやらの細々としたアレで一日中パソコンとにらめっこしていたという。飯食ってイチャついて眠くなるまでおしゃべりして就寝。
 
9(月)
労働。カウチサーフィンで知り合った日本人男性と上賀茂神社にちびっこたちの相撲を見に行っていた(…)であるが、しきりに疲れたと連呼するのでどういうわけかとたずねると、どうも信じられない距離を徒歩で移動したらしい。顔も胸元も真っ赤に日焼けしている。おまけにくだんの日本人は英語が全然だめだめだったという。去年の夏のおれくらいだったとたずねると、まったくそのとおりという返答。イエス、それは間違いなくつらい。おまけにシャイだし優柔不断だしわたしようやく典型的な日本人に会った気がするわ、あなたはわたしにとってとてもノーマルだけれどでもこの社会においてはどうだか知れたものじゃないわね。
 
10(火)
朝食パンケーキ。プリンターのインクと(…)のヘアバンドを購入するべくビブレに徒歩で出かける途中、ロンドンのボーイフレンドは浮気しているに違いないとまくしたてるので、どうしてわかるのかとたずねると、定期的に送信されてくるE-mailの日常報告があまりに抽象的すぎるからだという。今日は友達といっしょに出かけただとか友達と一緒に飲んだだとか、その友達っていったい誰なのって話なのよ、彼には大学外にたくさんの友人がいるらしい、それは知ってる、けれどその友人のひとりとしてわたしは知らないのよ、もう知り合ってから二年も経つのに! わたしもうロンドンに戻りたくないわ、彼にも会いたくないし住む家だって探さなきゃならないし大学の授業もまたはじまる、ほんとうに気が滅入ってくる。(…)のボーイフレンドはLSDが大好きで、おなじ好き者同士で集まってはしょっちゅう喰らっているらしいのだが、どうもその方面のツレと浮気しまくっているんじゃないかと、これは女の勘よと(…)は強調していう。ねえ、どうして男ってのはみんな浮気するわけ?(おまえがそれを言っちゃうわけと思いながら)いくらかの男は、だろ。そうね、で、あなたは浮気しないの?少なくともこれまでしたことはない。あなたのそういうところすごくいいと思うわ。おれもそう思うよ。でもときどき執筆と浮気するわね。それは浮気といわない。彼女がベッドで裸で待っているのに平気で無視して書き物するじゃない。たまたま気づかないだけだよ、集中しすぎているんだ、声をかけてくれればいい。それって惨めよ。以前付き合っていた娘にも似たようなことをいわれたことがある、あなたはわたしよりパソコンのほうが好きなのねって。わたし彼女の気持ちすごくわかるわ。なか卯で衣笠丼を食し、アジア系の雑貨店を冷やかしたのち、帰宅。(…)がカフェの手伝いに昼過ぎから出かける予定だというのでそのつもりで動いていたのだが、帰宅するなり今日はどこにも出かけたくない、ひとりで本を読みたいと言い出し、ドタキャン。冴えわたった自己中の有無をいわさぬ発露を、巻き込まれた当事者目線よりやや離れた位置からはじめて傍観。なるほど、こういう思考回路なのかと思う。いずれにせよこちらはPC片手に当初の予定どおり単独行動させてもらうだけだというつもりでいたのが(そうして(…)自身あなたはやくカフェにでも出かけていきなさいよと茶化すようにこちらをうながしていたのが)、出かけるまぎわになって結局ちょっとイチャついていきなさいよという命令に転じ、一昨日交わした約束をいきなり破り去るようにいう。この点についてことを終えたあとで一悶着生じたが、わたしは矛盾だらけなの、そのときそのときの気分にだけ従うだけだから、あなた知っておいたほうがいいわよ、これが女なんだから、という(…)の言葉にもはや怒る気力もなく笑いながら沈没し、目覚めれば18時半。夕食をとり、大家さんを題材にした(…)さんのドキュメンタリーをそろって視聴し、そうしてまたすぐに眠った。