20131008

10時起床。11時より15時半まで推敲。ようやく大佐のパートを終えてシシトのパートにまで達した。しかしまだまだ先は長い。こうやってじっくり読みなおしてみると、文章の流れを悪くする唐突な一文がさしはさまれているのに行き当たるたびごとに、いやーこれはないだろうと思って修正をほどこしたり思いきって削除してしまったりするのだけれど、しかし書いている当時はそのゴツゴツした文の運びを意図的に造形していたはずで、この一点をとってもやはり推敲というのは悪魔の手管である。二年前のじぶんといま現在のじぶんは他人である。他人を尊重できないじぶんが今日も原稿にとりくんでじぶんの美意識を押しつけている。
昼前に(…)さんから電話があった。(…)さんと(…)さんの不仲についてなにかわかったことはないかというのでおととい朝イチで(…)さんにたずねてみたところ誤摩化されてしまったと告げた。それでも夕刻には(…)さんのほうから(…)さんに今日の夕飯はなにを食べる予定なのかと常日頃とかわらぬ世間話をもちかけるなど接近の努力をしているようであったしそれにたいする(…)さんの反応も上々であったことからこれはこのまま雪解けにむかうんでないかと判断したのだけれどと続けると、それがいっこうに雪解けにむかうようではないのだという返答があって、(…)さん自身思い当たる節はまるでないと語っていることであるしいったいどういうことなのか理解に苦しむという。ひょっとして(…)さんが(…)さんに告ったとかそういうアレなんじゃないすかねとなかば冗談なかば本気でそういってみたところ、ああーそれもひょっとしたらありうるかもしれんなーという反応があり、あるいは(…)さんにたいするひそかな恋心を抱いていたところにそれまで犬猿の仲だとおもわれていた(…)さんと(…)さんがふたりで飲みにいったという話を断片的に聞きかじってしまってそれでふてくされたとかなんとか、さすがにそこまで馬鹿げた深読みを披露する気にはなれなかったけれど、それにしても男女間のトラブルというとほとんど無条件にそちら方面の発想にとびついてしまうじぶんのこのあさましさはなんだろうか、恋愛資本主義にどっぷり肩までつかりきってやがる。バックレした可能性大の(…)くんからあれから連絡はありましたかとたずねてみると、ないねー(子鹿の)(…)さんからもないみたいやわという返事があったので、(…)さんバックレしたんすかと驚きたずねかえすと、あれ(…)くん知らへんだんとあり、日曜日はもともと欠勤するっていう話は聞いてましたけどと応じると、いやきのう月曜日無断欠勤やったんやわとあって、子鹿の(…)さんはもともと日曜日の欠勤がたいそう多くそれも体調不良うんぬんではなくて掛け持ち先のバイトの都合でという話が大半であってそれで(…)さんもそりゃいくらなんでも筋通らんやろと若干腹にすえかねていてわりときつい言い回しの書き置きを残したりしていたのだけれど、それが直接的な原因となってバックレたというわけではなくて(…)さんからの叱責というのはあくまでもひとつの弾みとして機能しただけで、じっさいのところはまず十中八九、輩の(…)さんからのアプローチに嫌気がさして、というか恐怖をおぼえてのバックレだろうなと思ったし、じっさいにそう口に出していうと(…)さんも笑いながらまあそうやろな、そういうことやと思うわと苦笑じみた声であいづちを打って、ごくごくふつうに考えてそれまでまともに口を利いたこともない二十歳も年上の男からいきなりコップを手渡されたりしたらそりゃあ引くだろうしという話で、(…)さんはどうでもいい女のひとにたいしては失礼千万きわまりないふるまいをとるくせに意中の子が相手となると途端に不器用になって腰がひけてやることなすこと傍からみればそれ全部マイナスでしょう、気持ち悪いでしょう、引かれちゃうでしょうという域にうらがえってしまうところがある意味すごいといえばすごいし、そしてすこしだけかわいそうでもある。
作業を終えてくったくたになりながら、ほんとうにもう動けないというくらいに毎回くったくたになるのだけれど、だからといって動かないわけにもいかないのでひとまず洗い物をして炊飯器をセットし、それからぼんやりする頭をむち打ち発音練習に取り組んだ。米が炊けたところでちゃちゃっと筋肉を酷使し、それからありあわせのもので夕食をつくって食べた。布団に寝そべり英語の音読をはじめたところ、予想どおりすぐに睡魔がおとずれてくれたので仮眠を30分とった。アラームを設定したのが19時半だったことはおぼえている。食器を洗ってからシャワーを浴び、ストレッチをし、連日の作業のためかさすがに首から背中にかけてがえらいことになっていてまたいつかのように指先にしびれが出たりしょっちゅう寝違えたりするようになるのも時間の問題かという感じではあるのだけれど、そうなったところで作業をうちきるわけにはいかないくらいいまは切羽詰まっていて、金曜日までにはどうにかして「A」にケリをつけたい、というのもbccksの紙本発注がたしか毎週金曜日締めだったからで、ここで発注をかけたものを再度読みなおすその作業をもって最終チェックとするというこちらの魂胆どおりにことが運んでくれさえすれば、今月中の公開、というかいまはもう公開うんぬんというよりも解放というほうが気分に似つかわしいのだけれど、それが達成される。それを達成したい。二年も以前に手放したものにいまさら長々と束縛されたくなどない。はやく次にむかいたい。あたらしい経験をしたい。
21時過ぎに家を出て(…)にむかった。そこでまた0時すぎまでがっつりと「A」に取り組んだ。シシトが迷宮に達するところまで進んだ。50/65枚である。明日と明後日で残り15枚を片付けて、金曜日は表紙画像の再検討にあてたい。時間がない。英語の勉強も読書もぜんぜんできていない。「邪道」も「偶景」もどうにかしないといけない。とにかく生きるのにいそがしい。このいそがしさと生涯つきあっていかねばならないとは!