20131030

神は僕とともにいる。それなのにどうして神のことを考える必要などあるだろう? 神は思考しない者たちとともに行くのだ。
(ローベルト・ヴァルザー/若林恵・訳「ヤーコプ・フォン・グンテン」)



10時半起床。12時より「A」推敲。類語検索をかけていたときに偶然見つけたこのページ(http://thesaurus.weblio.jp/content/立つ)の意義素の欄のいちばん下の項目でクソ笑った。これおそらく検索ロボットかなんかを用いた自動生成アーカイヴだからこんなことになってしまうんだろうとおもうのだけれど、ためしに「種畜サービス」で検索をかけてみるとここ(http://ejje.weblio.jp/english-thesaurus/content/立つ/01428203-v)がヒットして、そもそもこのページからしてが「役立つ」という日本語を「立つ」=standの類語として判断しておりその結果として先の奇蹟が達成されたらしいと見当がつくのだけれど、いずれにせよ「立つ=勃つ」が「種畜サービスに役立つ」ことはある意味で間違いではないのでおおいなる神のいたずらがここに極まれ理。ハレルヤ!
推敲途中で赤ペンのインクがきれてしまったので作業を中断し、図書館に本の返却をしがてら薬物市場に立ち寄って無印の三色ボールペンを購入したのだけれど高いなコレは。図書館で推敲を続けようかとも思ったのだけれどほぼ満席だったためにあきらめ、ならばひさびさに鴨川かと一瞬考えはしたもののすでに14時をまわっていたし日の暮れる早さと川辺の寒さを考慮するとグッドプランとはとうてい思えない。ゆえに生鮮館で食材の買い出しだけすませて帰宅したのだけれど、いちど中断してしまった作業を再開するのはなかなか簡単な話ではない。どうにも集中できそうにないので生鮮館で購入した鮭とほうれん草のクリームコロッケ一個50円を二個食ってから布団に寝転び、池田亮司をヘッドフォンで流しながらこのあいだダンボールをがさごそやっていたときに見つけたテリー・サザーンをぱらぱらとめくりはじめたのだけれどわりとすぐに眠気をもよおしはじめ、あーこれ、このタイミングで仮眠とっちゃう流れなんかなー、いやでも仮眠はできれば夕食のあとのほうがいいんだけどなー、でも眠いないま、どうしようかなー、もう眠っちまおうかなー、いやでもなー、とぐずぐずしているうちに眠りに落ちてしまったらしく、目が覚めると17時半でおそらくは二時間ほど眠りつづけた計算になる。とちゅうで三度か四度めざめるチャンスはあったはずなのだけれど、信じられないほど眠くて起き上がることができなくて、わりといつでもどこでも眠れるし起きれるしの図太い神経の優遇にあずかっている人間であると自認するところもないわけでもないのけれど、しかしこのときの起床はじつに困難であった。いちど目覚めると職場でちょうど(…)さんが買い物から帰ってきたところで、おー客入ってるやんけ、というので、ああ、まあまあっみたいっすねと、ついさっきまで居眠りしていたのがばればれの声でモニターのほうを見遣りながら応じたのだけれどそれは夢で、なんだ夢かと思ってもういちど寝たらまた夢を見て、烏丸通の近所が港湾になっていた。その港湾に船が一隻停泊していて、夜で、その船の周辺にうまい飯屋があると(…)さんが言っていたのを思い出してそれじゃあいっちょ行ってみるかとひとりで出かけたのだけれど、飯屋ではなくて船に乗りこんでしまって、しかもそのなかで飯屋を探しはじめてしまって、じっさいにあのかごやだっけか、よく見るチェーンの天ぷら屋さんがなかに入っているらしくその案内の出ている階段があったのだけれどそうじゃないだろと、いまは天ぷらの気分なんかでは全然ないだろうと、それで船からおりることにしたのだけれど船と岸のあいだが思いのほかひろくて、これちいさい子供であったり比較的どんくさいひとなんかは足を踏みはずしてぼちゃんといってしまうんでないのと思いながら分厚く重たい扉をひらいてその先の岸辺におりたのだけれど、そのさいに分厚く重たい扉が自重に負けて勝手に閉まろうと動きはじめて外に出ようとするこちらの動きをはばもうとする恰好になって、もうひとつタイミングが遅れたら扉に衝突してそのまま船と岸辺の間の奈落に落下してしまうところだったあぶねーと思いながら岸辺に立つと、じぶんの後ろに続く匿名的な女性がひとりいて、女性はずいぶん小太りでどんくさそうだった。ゆえに岸辺におりているこちらが外から扉をひっつかまえた恰好で女性にどうぞとうながした。女性は船から岸辺におりると早足で堤防を歩きだしあっという間に見えなくなった。烏丸通は消えてなくなっていた。
郵便ポストに奨学金の返済通知が届いていた。返済猶予はたしか計五年がリミットでそれ以上は不可能なのだけれどすでに三年か四年は使っているはずで残機少なし。ただ、まだ500万近く残っているんでないかと考えていた返済額がじっさいはあと408万となっていて、これくらいだったらなんとかなるんでないかという気がしてきた。とはいえ猶予カードはむろんぎりぎりまで切らしてもらうつもりでいるが。月収8万に22000円の月賦は致死量である。
飯を食ってからふたたび推敲をはじめて、ひとまず原稿への朱入れに区切りがついたのでふたたび、みたび、よんたびごたびろくたび、もう何度目になるのかぜんぜんわからないけれどもワードワイルを開いて加筆修正にとりかかっていたところに大家さんがやってきて、あたらしくやってきたという住人を紹介された。ひげ面の男前だった。暗がりで補正された印象もおおいにあるのかもしれないけれども、どことなく降谷健志に似ていたような気がしないでもない。これで現状空き部屋はふたつになったわけで、1号室から7号室まで順にたどると、(1)KJ(ジブラに公開処刑される前)(2)空き(3)ノーベル文学賞確定済み天才小説家(成功者のシンボルことアーロンチェア所有)(4)キチガイ通り魔クレーマー(マリーンカット)(5)仲間思いのラガーマン(仲間を馬鹿にされると自前のビッグスクーターで相手をひき殺しにかかる)(6)Tさん(農業をやっているらしいのだけれど詳しくはしらないしほとんどしゃべったこともない)(7)空き、となる。6番だけが年上で、あとはぜんいん学生さんということらしいし年下である。
風呂に入ったのちふたたび1時より推敲を開始したのだけれど完全に麻痺ってしまいどうしようもなくなったので布団に入ってテリー・サザーンをながめながら寝た。昼間買い物から帰ってきたときに不意にコメディを書きたいと思い立ち、たとえばタモリにたいして延々と語りかけるだけで100枚とかおもしろそうじゃないのと考えてとりあえずテキストファイルを開いてみたものの「タモリ、いやタモさんよ、森田一義よ。英断を下せしもの、昼日中の忙殺者よ。きさまの」とここまで書いたところでやめにした。