20131113

一度だれかに、話の挿入っていうのはよく使われる催眠術の手法、トランス誘導法だって聞いたことがあるの……一番表層的なレベルのね。シェラザードが空想物語を話したって聞かされたら、わたしたち少なくともその彼女は実在の人物かなって思い込みやすいでしょう。
グレゴリー・ベイトソン+メアリー・キャサリンベイトソン星川淳吉福伸逸・訳『天使のおそれ』より「メタローグ:秘密」)



10時半起床。さみーね。起床してまもなく膝頭のあたりにかゆみを感じたのでのぞいてみると赤い発疹がわずかに認められた。昨夜薬を服用したのは深夜の1時をまわっていたはずであるのにもう効果が切れつつあるのかとげんなりしながら歯を磨きストレッチをして朝食の用意を整えて食らった。薬を飲むころには両腿を中心にまたもや伝説のムー大陸が浮上していた。思っていたより長引くかもしれん。原因不明の慢性でないことだけを祈る。
きのうから暖房を入れはじめた。灯油を買いに出かけたいのだけれどこの腰でポリタンクたっぷりの灯油を運ぶとなるとまたややこしいことになりかねないのでしばらくエアコンで我慢することにする。暖房や冷房を入れるたびごとに長いあいだ暖房や冷房ぬきで暮らしていたじぶんのど根性にびびる。けれども結局ああいう無茶がたたって自律神経が狂ったわけだからやはり精神論だとか根性論などというものは誉められたものではない。
12時より発音練習&音読。17時まで。がっつりやった。やりきってやった。ぶつくさやりながらスーパーに買い出しに出かけた。ものすごく寒かった。そろそろコートを出してもいいかもしれない。狂ったような底冷えの到来を思うとげんなりする。それを乗りきれば乗りきったで花粉にいじめぬかれる春がある。夏は暑い。秋は心身ともに狂う。平静なき暦を渡りあるくうちにやがて死ぬ。
ニット帽をかぶった女の子を見かけるとそれだけで和む。マフラーもよい。秋物の帽子が売りだされていたロフトの一階で目につくものを片っ端に(…)にあたえてかぶらせては写真を撮ったのを思い出した。
筋トレだのジョギングだのはさすがに控えておいたほうがいいように思われたので控えることにして例のごとく鶏胸肉の夕食をとった。仮眠をとったのち二日ぶりにおそるおそるシャワーを浴びることにしたのだけれど、とくに問題なくクリアすることができたのでよかった。部屋に戻ってからストレッチをしてそれからブラームスブルックナーを交互に流しながら柄谷行人トランスクリティーク』の続きを読んだ。他者の他者性(死者と未来のひとびと)を前提することで(その終ることなき洗礼にさらされることを含意することによって)はじめて獲得可能となる普遍性。自由であれという命令に服従することではじめて存在しはじめる自由。自由意志とスピノザ的因果性のそれぞれを括弧に入れること、あるいは、それぞれの括弧を外すこと。翻訳不可能な固有名=単独性の現実があらわにする共同体的存在ではない社会的存在=コスモポリタンとしての単独者。おもしろい。
PCからときどきカリカリカリ……という異音がする。聞き覚えのある異音だ。ハードディスクがいかれる前触れの異音。もう何度も耳にしてきた臨終前のつぶやき。
日付をまわるか否かのところで鶏胸肉をたっぷり入れたラーメンを食べた。内腿や腰まわりにまたポツポツと浮かびはじめるものがあったので薬を飲んだ。薬を飲みさえしたらひとまずはきっちりおさまってくれるというのは救いだ。ネットでいろいろサーチしてみると薬も注射もきかない重度の蕁麻疹に悩まされているひとの話などがあったりしてすごく気の毒になる。ひどい場合は内臓にも症状がおよぶらしい。そうなると呼吸がむずかしくなったりひどい下痢になったりするのだという。
ストレスによって蕁麻疹が悪化するのをおそれて今週いっぱいは「A」の推敲を避けるつもりでいて、これを機に『トランスクリティーク』をえいやっと読めばいいやと思ったのだけれど読むのが遅いので今週中に終りそうにないし、読み終えたら読み終えたできのうamazonからとどいた松下清雄『三つ目のアマンジャク』が待ち構えていてこれ1300頁とかあって『トランスクリティーク』の比じゃない。
(…)
どの表紙を採用すべきなのかぜんぜんわからんくなってきた……。
この写真を撮っているあいだに胸から腰から背中から腕から手の甲から腿から膝からふくらはぎからアホみたいな勢いでブツブツがたくさん出てきてちっとも快方にむかっていない。朝食をとって薬を飲んだのが11時半と考えるとだいたい12時間で薬の効能が切れるということになる。これを念頭において行動しないと今後いろいろ厄介なことになるなと思った。もういっそのこと発疹だらけのじぶんの皮膚を接写で撮影したものを白黒変換して表紙にしてやろうかと思った。たしかに亜人ぽいし。