20230712

 また(…)さんから微信が届いていた、起きたのは10時半であったがそれより一時間はやくメッセージが届いていてこちらの後遺症が治ったかどうかたずねるものであったが治ったと応じればきっとメシにいこうという話になるのでそれはいやであるしそもそも治ってもいない、治ってもいないのだが学生らと韓国料理屋にいったことは写真付きで先日モーメンツに投稿してしまっているしそれを彼女が見ているのであればじゃあわたしもというあたまになっていてもおかしくはないのだがこちらは(…)さんと別にメシなど行きたくない、ここ数日の(…)さんは友人らしい女性とちょっと露出多めの夏服を着て芝生の広場であったりレストランであったりで過ごしている姿の自撮りを頻繁に投稿しておりこの朝もすでに似たような写真をだれか暇なひとはいる? わたしたちのところにおいて! 美女の写真を撮ることができるよ! みたいなメッセージ付きで投稿していてマジで絶対に行きたくない、学生との付き合いであればたとえその子がどれほどこちらと共通点のない人間であったとしてもメシくらい誘われたら食う、いびつな愛国心であたまのおかしくなってしまった小粉红だろうとそれはそれでかまうまいという鷹揚な態度で接する覚悟はできている、しかし学生でもない人間となれば話は別であって特に(…)さんなんてこちらと共有できるものなんて日本語ぐらいしかない、そもそも彼女はこちらとまったく正反対の趣味嗜好の持ち主である(…)さんとウマが合っていたような人物なのであってこちらと合うウマなどだったらないでしょう、ウシもシカもイヌもクソもないでしょうという話であるのだからマジで勘弁してほしい、実際前回こちらははっきりメシの誘いを断っているわけでふつうであればあの断りを前にしたら数日日を置いてまた誘おうというあたまにならないのではないかと思うのだがそのあたり言語の壁のせいかもしれない、こうしてふたたび誘いがあったわけだがそれはともかく、今日の最高気温は39度であるわけでなにが好きでそんななか外になど出かけなければならないのか、こんなクソ暑い日にもかかわらず部屋でじっとしていることもできずモーメンツまで動員して今日という一日をいっしょに過ごす相手を探そうと必死になっているそのはしたなさ、という言葉を用いるのはさすがに酷であるしこちらの価値判断がおおいに前提された言葉遣いになってしまうわけであるがとにかく(…)さんはひとりで過ごすことができないタイプでだからやっぱり(…)さんとよく似ている、それだったらこちらではなくもっと社交好きの馬鹿を誘えという話なのでこちらとしてはひとまず返信をひかえておくことにした。
 トースト二枚を食してコーヒーを用意して「実弾(仮)」第四稿にとりかかったのだが昨日にひきつづきシーン35で、あたまからケツまでいちおう通してみたのだがまだまだちょっと弱いなという感じであるのでもうしばらくこのシーンに付き合う必要があると思う。作業は12時半から15時半過ぎまで。
 ひとときだらけてキッチンに立ったのだが本来であればその前に(…)に出向いて食パンを買う必要があるのだった、すっかり忘れていた、米を炊いてタジン鍋に肉だの野菜だのぶちこんで食している最中にであったか、あるいはそのちょっと前だったかもしれないが(…)から微信が届いて来月中国に入国したあとのことであるが24時間以内に(…)の警察署に届け出を提出しなければならないという話で以前はそんなことなかった、コロナ以降外国人に対する移動制限というか移動制限ではないのだが居所をマークするための仕組みみたいなものがマジでめちゃくちゃ厳しくなっているという印象を受けるのだがそれはともかく、戻ってくるのは22日であるのだが北京経由で(…)に到着するころにはすでに21時かそこらになるのでその日は空港近くのホテルで一泊する、その翌日高铁で(…)にもどるにしてもそもそも北京で入国する時間というのが13時台であるので24時間以内というルールに間に合わないのではないかと疑問に思ってその旨書き送ると23日の17時までに警察署に行けばだいじょうぶという話であって17時というのはたぶん警察署の営業(?)終了時刻なのだろう、いずれにせよこれで23日はなるべくはやい時間帯に(…)を発つ必要が生じたわけでクソめんどくさい。
 (…)さんに対する返信もちゃんと書き送ったのだった、というか13時半ごろにまず嗅覚も味覚もまったくもどっていないという虚偽の返信を送ったのであるがそんなことおかまいなしにいま近くにいるよと現在地のマークがついた地図機能へのリンクが送られてきてそれによるとどうやら万达の近くにいるふうだった、そのあたりにある美容師で髪の毛を切っているといって散髪中の写真まで送られてきたのだがマジで興味ない、だからそこでまた返信をいったん切っておいてそれで15時だか16時だかに明後日(…)を出発しますと彼女が近所まで来ているという事実にはいっさい触れず無難な返信を送ったのだった、(…)さんはコロナの予防接種を受けたといった、こちらも一時帰国中にこれで三度目の接種ということになるのだろうがワクチンを接種しようかなと考えている、たしか感染後にワクチンを接種するこのパターンが最強であるみたいなデータがあったはず。
 コロナでいえば夕飯を食っている最中だったかに母親からLINEが届いて(…)がコロナに感染したというものだった、とうとうあの田舎にまでコロナの魔の手がという感じであるが(…)だけではなく兄も感染したらしくて兄は出張でたびたび東京に出向く、たぶんその際にもらってきたのだろうという話で症状はどうであるのかとたずねると(…)は高熱、兄は下痢と嘔吐と発熱らしくてふたりともこちらよりよっぽど症状重いやんけという話であるのだがもう数日はやくこちらが帰国していればいろいろ便宜をはかってやることもできたのにと思った、現状(…)と(…)の母君と(…)もおなじうちで過ごしているわけだが仮にこちらが帰国しているタイミングであったら抗体持ちの身体をいかして(…)らに代わって看病してやることもできた、そのあいだ(…)らは(…)のほうに滞在していればよかったのだ、母によれば(…)もコロナに感染したのだがこちらと同様いまだに嗅覚がもどらないらしい、症状は千差万別であるし後遺症もほぼロシアンルーレットであるしマジでこんなにうっとうしい病気もないよなと思う、こちらは当然これまでコロナのことをいわゆるただの風邪呼ばわりしたことなど一度もない、あんなわかりやすい防衛機制をためらいなく口にできてしまえるほどヤキはまわっていない、兄はアルファ株の時点ですでにそう口にしていた。

 Macのアダプタが死ぬほどボロボロなのでところどころビニールテープで補強しているのであるけれどもその補強部もまたずいぶん汚れていて一部ほこりなどがこびりついていたので出国前にこれだけきれいにしておこうというわけで古いビニールテープをはずしてあたらしいビニールテープを巻きなおした。それからシャワーを浴びてストレッチをしてコーヒーを飲みながらきのうづけの記事の続きを書いて投稿したその流れでいつものようにウェブ各所を巡回して2022年7月12日づけの記事と2013年7月12日づけの記事を読み返した。後者に以下のような記述があった。

12時をやや過ぎたころに(…)がやってきたのでビッグスクーターのケツに乗っけてもらうかたちで当初の予定どおり四条に出かけたのだけれど本当にもうアホかというくらいの猛暑で、ここ一週間ほど最高気温が35度を切った日がないのだけれどそれにしても京都の夏とはかくも地獄めいたものであったか。

 そうだった、(…)がこちらの部屋に滞在していたあのひと夏はマジで異常に暑くて最高気温が35度をオーバーするカンカン照りが一週間連続で続いたのだった、そのことを思い出すと同時にその程度の天候であればここ(…)では平常運転でしかない、むしろ40度に達してからが本番なんだよなと思うくらいにはやっぱりここは南国なのだ、異国なのだ。ところで地元の週間予報をいまチェックしてみたのだが’最高気温が30度に達していない日もぼちぼちあって信じられない、めちゃくちゃすずしいじゃないか!
 2013年7月12日づけの記事には(…)で酩酊したついでにいろいろ書き残しているのだがその中に以下のようなものがあって笑った。いつからか下痢に見舞われることを下痢ラ豪雨と日記上で書き記すようになっているのだがその初出がまさか10年前のガンギマリノートだったとは!

バンド名候補
・下痢ラ豪雨
→そもそもバンドなどしないのでは?

 今日づけの記事も途中まで書き進めたのだが書き進めているあいだはずっとTohjiの“Super Ocean Man”を流していてこの曲はめっちゃいいな。それからあらためて荷造りをしたというか漏れがないかどうかチェックした。冷食の餃子をこしらえて食って歯磨きをすませてジャンプ+の更新をチェックしてからベッドに移動して『異常論文』(樋口恭介・編)の続きにとりかかり、「四海文書(注4)注解抄」(酉島伝法)と「場所(Spaces)」(笠井康平・樋口恭介)を読んでいよいよ本命の「無断と土」(鈴木一平+山本浩貴(いぬのせなか座))に着手したのであるけれども半分も読まないうちにこれは掛け値なし文句なしの大傑作であり確実に歴史に残ると思ったしこれを残せない歴史であればそんな歴史は必要ない、そういうわけでもともとははやく眠るつもりであったのに興奮して冴えてしまった。
 冴えてしまった理由はもうひとつあって2時半ごろに(…)さんから微信が届いたのだった、彼女と(…)さんはインターンシップに参加するために日本入りしたわけであるがどうやら上海から深夜の便にのっていままさに東京に到着したところらしかった、それでシャッターのおりた切符売り場の写真をとともにどこで切符を買えばいいのだろうかとこちらに質問をよこしたのだった、中国とちがって日本は深夜電車が走ることはないし切符売り場も夜のあいだは閉まっている、近場のホテルに泊まるつもりであればタクシーを利用してもいいが日本のタクシーは中国とちがって料金が高いのでおすすめしない、始発まで待つのであれば空港内に有料の仮眠スペースがあるはずだというとロビーの椅子で寝ますというのできみたちは若いからそれでもいいと思うと応じたついでにどうせだったら中国でも評判の世界一きれいな日本のトイレでも見学しておけばいい、それからいまは緊張して腹も減らないし喉も渇かないかもしれないが水分だけ忘れずしっかり補給しておいたほうがいいし東京はコロナの感染者も多いしきみたちもそろそろ抗体値が低下しているころあいであるから電車にのるときはマスクをつけておいたほうがいいと助言したうえで困ったことがあったらいつでも遠慮なく連絡するように(…)さんにも伝えておいてくださいと続けた。
 ひとつ書き忘れていた、ミラン・クンデラが94歳で死んだらしい、クンデラは『存在の耐えられない軽さ』をまだ読書をはじめてほどないころに一度読んだきりであるので印象という印象がほぼない、訃報を受けるたびにSNSではじぶんがいかにショックを受けたか言明するゲームがはじまるが連中の大半はその日も変わりなくカツ丼の大盛りを食っているし語尾にwwwと草を生やしているやつは全員オニヤンマみたいに真顔だ。