20230801

 8月だぜ!
 11時半起床。階下に移動し、(…)のマッサージをしてやり、歯磨きしながらスマホでニュースをチェック。めだかの餌やりをすませ、弟のこしらえた塩焼きそばを食し、食後のコーヒーを飲みながらきのうづけの記事の続きを書いて投稿する。ホテイアオイだけを浮かべた鉢を庭の日当たりの良い場所に移動させる。花が咲くのを期待している。
 ウェブ各所を巡回し、2022年8月1日づけの記事を読み返す。

 ペロシの件が気にかかる。今回の件が直接のひきがねにはならなかったとしても、中国がいずれ台湾に侵攻するのはほぼまちがいない。そのときはロシアの教訓をいかして電光石火で侵攻するだろう。そしてモーメンツには「おかえり台湾」というメッセージや「偉大な祖国」をたたえるスローガンや、あるいは人民解放軍の軍人をたたえたり戦死者を哀惜したりするさまざまな画像や動画が飛び交うことだろう。現地での非人道的行為は西側諸国によるフェイクだとされ、勇気ある軍人の内部告発もすぐに検閲、アカウントは凍結されて告発者は精神病院行きになるだろう。大学では記念式典が開かれる。そしてその式典に教師として出席することがなかば強制的に求められるだろう。いまいましく思いながらも協力をせざるえなくなったこちらはその式典上で強いられた拍手をしながら、じぶんはいま南京大虐殺を象徴的に反復しているのだと気づくだろう。
 と、そんなことを入浴中に想像してしまった。

(…)『ブロッコリー・レボリューション』(岡田利規)の続き。最後まで読み終わる。全部で3つのパートにわかれているこの作品であるが、1から2に移行するのをきっかけにぐっと雰囲気が変わる。政治社会問題にコミットするレオテーの登場によって、「きみ」のノンポリお花畑っぷりが残酷なまでに浮かびあがっていくのだが、それを指弾する語り手であるところの「ぼく」は「きみ」にDVをふるい「きみ」がバンコクに渡るきっかけを作った人物であるというねじれがある。「ぼく」が「きみ」について語ることは常識的には不可能であるのだが、その不可能をそう語り得てしまうという文の形式的力を借りてひとまずそう語ってしまっている(そしてその不可能が可能であることの根拠は完全に宙吊りにされている)のが、2の最後に「ぼく」による「妄想」であると言明されてしまう。これは悪手だろ、そんな常識的な落とし所や理由をとってつけるのは絶対にダメだ、とここは強く反発したが、そこで作品が終わらずに3がはじまり、いちど「妄想」でしかないものと言及された「きみ」の物語がふたたび単なる妄想として処理するわけにはいかない解像度で語られはじめる——そのおかげでこの「妄想」の一語もなんとか相対化されたかなという印象を受けた。
 それにしても「三月の5日間」にしても「わたしの場所の複数」にしてもそうだが、岡田利規はマジで時代の空気を掴むのがうますぎる。「時代の空気」だなんてクソみたいな印象批評的クリシェをおおまじめな顔して使いたくなるくらい、実際、911にテレビ画面越しに遭遇する若者も、ハンバーガーショップで仮眠をとるフリーターも、それから「ブロッコリー・レボリューション」の2における(ほとんど「無敵の人」を思わせるような、一触即発の暴発性をぎりぎり抱えこんでいる男性としての)「ぼく」(これには併録されている「黄金期」の男もあてはまる)も、マジでこの時代の人物であるなという、みずみずしさというよりもなまなましさを感じざるをえない。こういう時代時代の人物、ふるまい、言動、習慣を、リアルタイムでここまで高い解像度でつかむことのできる作家は、マジで岡田利規しかいないんではないかと思う。

 2013年8月1日づけの記事も読み返し、「×××たちが塩の柱になるとき」に再掲。暦があたらしい月に入ったこともあり、先月の執筆記録などをまとめたが、「実弾(仮)」の進捗状況としては、6月末時点で639/1035枚だったのが683/1040枚になっていて、あまり進んでいるとはいえない。当然だ。執筆していたのはほぼ上旬のみなので。

 今日づけの記事もここまで書くと時刻は14時。8月入りしたことであるし、ぼちぼち重心を資料集めから授業準備と執筆に切り替えるべきだろう。いつもより遅く帰宅した父が焼きそばをレンジでチンしたのだが、熱くなりすぎた皿に指で触れたあと、その指を耳たぶに持っていったので、クソ笑った。いまどき耳たぶで指を冷やそうとする人間がいるのか!
 授業準備にとりかかる。先日ボツにした第28課の改造。全体像に目処がつく。
 母の運転で図書館へ。もろもろ返却するとともに、『パパイヤ・ママイヤ』(乗代雄介)を借りる。本当は『それは誠』を借りたかったのだが、たぶん芥川賞の候補に入ったからだろう、貸し出し中になっていた。
 (…)メガネでめがねを回収。思っていたよりも度が弱い。しかし書見してみるには、ちょっときつすぎる感じ。以前店主さんが提案してくれたように、書見および書き物をするときはこれまでのめがねを使ったほうがよさそう。ピンクゴールドのチェーンも同時に購入。帰宅後、さっそくチェーンの位置を調整する。レンズに近いほうにつけるつもりだったのだが、いろいろ試してみた結果、むしろレンズから離れたほうにチェーンをつけたほうがかっこいいことに気づいた。あと、キャップをかぶるときはやっぱり以前のフレームのしっかりしためがねのほうがいい感じ。あたらしいやつを使うにしてもそのときはチェーンを外したほうがいいかもしれん。
 夕飯食う。食後、(…)を連れて(…)へ。河川敷で花火をしている若者がいた。空にはラピュタのような巨大な雲がとんでもない質感で積み重なっており、そのなかをときおり水平に走る稲光があった。
 帰宅。『震災後のことば 8・15からのまなざし』(宮川匡司)を読む。「実弾(仮)」用の資料として『震災日録――記憶を記録する』(森まゆみ)と『震災裁判傍聴記』(長嶺超輝)を借りたついでに、おなじ本棚にささっていたものを吉本隆明古井由吉の名前にひかれてなんとなく手にとったもの。別におもしろくもなんともない。ソファで30分寝る。
 入浴。ストレッチ。ふたたび授業準備。第28課、ほぼ完成。細部はまた直前に詰める。夜食は父が職場から持ち帰ってきた焼きそば。食後、間借りの一室にあがり、『震災後のことば 8・15からのまなざし』(宮川匡司)の続きを読み進めて就寝。