20140622

 M君がいるあいだに、私は、上海を題材にした百枚ばかりの小説『芳蘭』を書いて、『改造』の第一回の懸賞小説に応募した。自信がないので、佐藤春夫と、横光利一に見せると、おそらく、これより以上の作品はあるまいと太鼓判をおしてくれたが、ふたをあけると、私の小説は、次点になっていた。懸賞の金で私は妻子をつれて渡欧するつもりだった。この空中ブランコの曲芸がみごと失敗したので私は、小説も放擲した。
金子光晴『どくろ杯』)

 クッソ親近感!



 6時20分起床。いちど5時に起きたが、さすがに眠いししんどいしで二度寝した。胃もたれの感じあり。歯を磨いて顔を洗ってストレッチをしてほんの少しのヨーグルトを食べた。おもてにでると小雨だったので傘をっしながらケッタを漕いだ。途中でコンビニに立ち寄ってサンドイッチと飲むヨーグルトを買った。職場に到着してから飲み食いした。今日もまた激務だった。客入りこそきのうにくらべるといくらかマシだったが、とんでもない数の飯を作って運ばされるはめになった。連日の忙殺っぷりに少しのことでイライラしてしまうあやうい空気のようなものがただよっているのを感じた。日報を書いていたらきのうの売り上げが歴代最高記録を更新したことを知った。どうかしている。19時を過ぎたところでMさんから電話があった。寝坊して一時間遅れるとのことだった。めずらしいこともあったものだと思いながら、どうしてこう忙しい日にかぎってといらだち、それから開きなおってむしろすこやかになった。居残りして働いていてくれたJさんといっしょに着替えて職場のまえで別れた。例の商店街を通りぬけたらスーパーは閉店していた。夕飯は職場で軽くすませていたので帰宅するなり入浴し、部屋にもどってからストレッチをしてコンビニで買った野菜ジュースを飲みながらウェブ巡回をすませ、翌朝の早起きにそなえて日付の変わるかいなやのところで消灯した。フラストレーションがたまりつつある現状をすでに否めなくなりつつあった。職場にパソコンを持っていってお昼休憩の一時間だけでも空き部屋で作業させてもらうという作戦を考えた。そうでもしないとこのままだといずれパンクする気がする。