20240518

 世界に不幸があふれていることは知識としては当然知っているけれど、それらの知識だけで気持ちが動揺することはない。しかしそれを堤防が決壊するようにリアルに感じてしまう媒介が誰にでもきっとあって、あのときの子猫の映像が私にとってはその媒介だった。
保坂和志『小説、世界の奏でる音楽』 p.296)



 10時前起床。きのうに引き続き、今日もまた眠りが浅かった、朝方に三度か四度目覚めた。なんでや? 暑さのせいか? エアコンをつけっぱなしにすると寒い、しかし切ってしまうとむしむしする、そういう時期にさしかかっているのか? となるとWさんに教えていただいた伝説のアイテム「アイスノン」をぼちぼち宝物庫(れいとうこ)から取り出す頃合いなのかもしれない。
 朝食はトーストとヨーグルト。その後、「実弾(仮)」作文。11時半から15時半まで。シーン44を片付ける。問題なし。
 きのうづけの記事の続きを書いて投稿し、ウェブ各所を巡回する。

 17時に徒歩で女子寮前へ。C.IさんとR.Mさんと合流。門前にいる女子学生から「先生!」と声をかけられる。めがねをかけていなかったので最初ちょっとわかりづらかったが、一年生2班のO.Iさんだった。髪の毛もなんだかいつもより黒々と濡れてみえたが、のちほど彼女がモーメンツに投稿していた自撮り写真に、二日も髪の毛を洗うことができていないのでぎとぎとだという文章が付されていたので、最高気温がすでに30度以上あるのに二日もシャワーを浴びないなんて考えられないなと思った(と同時に、じぶんはいつからこんなふうにきれい好きになったのだろう? どれだけ疲れていてもベッドに入る前にはシャワーを浴びたいと考えるようになったのはいつからだろう? とも思った)。
 歩き出す。メシをどこで食うかはふたりとも考えていないという。だったら麻辣香锅にしましょうと提案する。口頭試問は無事終わったという。あれは形式主义にすぎないから楽勝である、と。地下道を抜けて旧校区へ。もう一度公務員試験を受けるつもりはあるのかとC.Iさんにたずねると、いまはそのつもりはないという返事。むずかしすぎるからという返事。きみは将来パン屋かケーキ屋になればいい、后街でカフェでもひらけばいいんだと、お菓子作りが趣味である点を踏まえていうと、いやだいやだという。でも他人との交流が得意でしょう? 社牛でしょう? というと、そうじゃないと否定する。そのわりにはぼくが(…)にもどってきたばかりのとき、日本語もまだ全然話せないのに、「せんせー! さんぽー!」と積極的に声をかけてきたじゃんというと、ふたりとも笑った。
 店へ。前回C.RくんとK.Kさんと一緒に来たときはボウルにぶちこんだ野菜も肉も少なく物足りなかったので、食べたいものをガンガンぶちこむ。69元。会計は全額こちらがもつ(下手をすればこれが最後の食事になるかもしれないので!)。二階のテーブル席に着席。ひさしぶりのぎくしゃく感もはじめのうちはないこともなかったが、じきにいつものノリになった。ふたりとはこれまでいったい何度いっしょにメシを食い、何時間いっしょにぷらぷら散歩したかわからない。彼女らと出会う以前にこちらが親しく付き合った学生といえば、だいたいクラスで浮いている子が多かった印象があるのだが(精日分子、精神疾患持ち、性的少数者、芸術的・哲学的感性のもちぬし……)、C.IさんとR.Mさんはなんというか、こういう表現が大雑把すぎることを理解したうえであえて用いるのだが、本当に「ふつうの子」なのだ。だから、いまから二年ほど前になるのか、当時二年生だった彼女らのクラスの授業を受けもちはじめてほどなく、最初に授業外での交流をもとめてきた学生がそんな「ふつうの子」である彼女らふたりであったとき、え? このタイプから最初に声がかかるの? とびっくりしたものだった。
 食事をとりながらいろいろ話す。C.Iさんは生まれも育ちもずっと(…)なので、卒業後もやはりできれば(…)に住み続けたいらしい。R.Mさんはどこでもいいというあたまのようだったが、家族としてはやはり(…)省内にとどまってほしいらしく、となると(…)あたりで仕事を探すのが妥当ではないかと考えているようす。R.Mさんは『細雪』や『若草物語』とおなじ四姉妹で、彼女は長女にあたるのだが、いちばん上の妹は現在高校一年生。二年後には高考だ。ルームメイトらの話題も出る。R.Sさんは卒業後日本に渡って仕事をする予定でいる。彼女にはインターンシップ中に仲良くなった日本人がいた、LINEも交換してVPNもインストールして中国に帰国後もやりとりを続けるつもりだった、しかし中国にもどってほどなく相手から連絡先を消されてしまったという。ああこのパターンかと思った。うちの学生らの中にはインターンシップ中にようやく知り合うことのできた同世代の日本人との交流をたいそう楽しみにしている子らも少なからずいるわけだが、先方にとっては定期的に入れ替わる職場の外国人スタッフのひとりでしかない、そういうわけで電話帳の整理癖がある人間はたびたびそんなふうに相手の連絡先を消してしまうのだ、そしてそのことにうちの学生らは少なからずショックを受けるのだ。日本人はよく連絡先を消しますかとたずねられたが、どう答えればいいかわからず、そういうひとも中にはいるだろうねと受けることしかできなかった。
 今後はルームメイトらとはなればなれになると考えるとさびしいねというと、ふたりともうんうんうなずく。ルームメイト同士の関係がたいそうよろしいとはきいていたが、四年間一度もケンカしたことはなかったのかとたずねると、S.EさんとケンカしたことがあるとC.Iさんがいう。R.Mさんも同様。のみならず、ルームメイト全員が少なくとも一度はS.Eさんとケンカしたことがあるというので、すげえ想像しやすいわと思った。S.Eさん、めちゃくちゃだらしないし、いい加減だし、他人の気持ちを全然考えないところがあるのは、さほど交流経験のあるわけでもないこちらでも容易に見てとれる。彼女は途中から寮を出て、外でアパートを借りてひとり暮らしをしていたわけだが、あれもやっぱりルームメイトとの関係が悪化してのことだったのかもしれない。以前その点についてたずねてみたところ、そんなことはないという返事がふたりからあったのだが、しかしこの食事中、きのう撮影した卒業写真の数々が共有されたのでながめていたところ、こちらが彼女ら寮の面々といっしょに撮影している一枚にS.Eさんの姿がないことに気づいた。となるとやっぱり関係はよろしくないのではないか? 実際、S.Eさんについては「无语」だとC.Iさんが口にする瞬間もあった。
 C.IさんのところにC.Sくんから連絡があった。こちらと「国際交流」している写真がほしい、と。要するに、これまでいっしょにメシを食ったり散歩したりしたときの写真をもっていないかという問い合わせだ。たくさん残っているでしょうと三人で話しながらおのおのスマホをチェック。一昨年のこちらの誕生日にみんなでちょっといいレストランでメシを食ったときと擂茶を食べにいったときはどちらも10人以上の大所帯だったと写真を見ながら話す。
 食事を終えたところで万达にむかう。C.Iさんは最近iPhoneを買ったのだが、それの具合がおかしいので、修理を依頼したいらしい。どうせだったらT.Yくんたちも誘って一緒に散歩したいとC.Iさんが男子学生らに電話をかけたが、あいにく男子らは男子らで外食中であるとのこと。先生明日は時間がありますかというので、時間はないけれどもこの機会を逃すともういっしょにメシを食うこともできないかもしれないなァというわけで、だいじょうぶだよと応じる。で、明日の夕飯&散歩も決まった。
 (…)公园の手前にある交差点でR.Sさんと遭遇。見たことのない女子学生三人と横並びで歩いている。たぶん彼女が日本語学科に「転籍」する前の友人だろう。なにをしていたのとたずねると、麻雀をしていましたという返事があったので、おじさんみたいだなとからかう。先生たちはこれからごはんですかというので、ごはんはもう食べました、いまから万达ですと応じる。きのうの写真撮影のときにも気づいていたが、R.Sさんは金髪になっていた。二年生のときは本当に、なんというか農村のおぼこい女の子という感じだったのに、というかそれでいえばうちの女子学生の半数くらいはそうであるのだが、それでも卒業するころにはすっかりお姉さんになっている。しかしそれでいえばC.IさんとR.Mさんのふたりはちょっと例外かもしれない、ふたりとも入学直後と髪型や服装もほとんど変化がないし化粧も全然していない。
 (…)公园を抜ける。ひさしぶりなので道をまちがえていつものルートから逸れてしまう。ベンチに男がひとりで座っている。かたわらには茶色のトイプードルがいる。Cを思い出してなつかしくなったので、声をかけてなでさせてもらう。8歳だという。頭上の樹木が薄いピンクの花をつけている。花びらがちょっと変わっている。あざみのように細いかたちをした花びらが、アザミよりももっとやわらかくふわっとした感じで咲いている。R.Mさん曰く、薬になる花らしい。服用すると、リラックスすることができるとのこと。別の一画では白い花が地面に咲いているのを見た。香りがとても強い。「卒業の花」だとC.Iさんがいう。卒業シーズンに咲く花なのでそんなふうに呼ばれているのだ、と。
 韓国語の先生がとんでもない大金持ちであるという話をする。50歳の大金持ちから結婚をせまられたらどうするとたずねる。R.Mさんはすぐにダメだといったが、C.Iさんはちょっと迷っているようす。だったら45歳の大金持ちは? というと、かっこよくて大金持ちだったらいいかもしれないとのこと(R.Mさんはひきつづき断固拒否)。ふたりとも中国人らしくしょっちゅう金がほしい金が大事という話をするので、仮にいまから万达で彩票を買って大金が当たったらなにがしたいとたずねると、R.Mさんは旅行という返事。C.Iさんはパン屋を営業したいというので、やっぱりパン屋に興味があるんじゃないか! とR.Mさんとそろって笑う。じぶんで店番をしたいわけではないとC.Iさんがいう。じぶんは経営者という立場でふんぞりかえっていたい、そしてときどきパンを食べたくなったときに店にいって無料で好きなだけ食べるのだというので、こういう発想もやっぱり日本ではあまり見られないもんだよなと思った。日本でパン屋でもケーキ屋でもあるいはカフェでもいいのだけど、そういう店をやってみたいというひとがいるとすれば、それはイコールじぶんで店に立ちたい、接客したい、あるいは調理したい、客の反応をじかに見たいというひとが大半なのではないか? もちろん、がっつりビジネス! という感じでやるひともいるんだろうが、でも個人経営のカフェなんて典型的だと思うのだけれどあれはどちらかというと金よりも時間というか、いや勤め人よりも仮に時間を要する仕事だったとしてもじぶんのペースと裁量で物事をすすめることができることによろこびを見出すというか、一種スローライフ的な価値観をもっているひとらがやるものだと思うのだけれども、こっちではそういう価値観をもっているひとが日本にくらべて圧倒的に少ないという印象をつねづね受ける。日本でももちろんそういう生き方を選択しないひとが大半であることはまちがいないけれども、でもそういう生き方そういう価値観を理解できるひとはたくさんいるだろうしある種のあこがれをもって語られることも多い気がする。それに対して中国ではそもそもそういう価値観をまったくもちあわせていないひとが多い(都市部の若者であれば事情はおそらくずいぶんちがってくると思うけど)。
 土曜日なので万达はたいそう混雑。広場には屋台がところせましとたちならび、仮設ステージ上ではドレスアップした少女らがダンスパフォーマンスのリハーサルをしている。店の中に入ってすぐのところにもおなじくドレスアップした少女らがたくさんいて、保護者らがその少女の顔に派手な化粧をしてやったり服装の乱れを整えてやったりしている。S.Sくんの働いている車屋をのぞいてみるが姿はない。C.IさんのiPhoneは専門店のスタッフによって問題ないことが判明(C.Iさんがバグだと認識していた現象はデフォルトだったらしい)。そのまま近くのスポーツ用品店に立ち寄る。このふたりと万达に来るとかならず立ち寄る店だ。ふたりはルームメイトといっしょに来週雲南省へ卒業旅行にいく。それで日焼け防止のための帽子を買いたいのだった。つばの広い帽子をいくつも試着するふたりを保護者然として見守る。途中で店がなぜか停電する。フリスビーやブーメランが売っているのを見てちょっとほしくなった。
 三階にも帽子を売っている店があるというので移動。道中、アニメ&漫画グッズがあったのでそこものぞく。商品の半分以上が日本のアニメグッズ。『葬送のフリーレン』『SPY×FAMILY』『呪術廻戦』あたりがやはり目立つ。あと、全然知らんかったのだが、『ブルーロック』というアニメも人気らしく、なんだったら先の三作品よりもグッズの数は多かったかもしれない。ほか、『鬼滅の刃』『新世紀エヴァンゲリオン』『ハイキュー!!』あたりも安定して人気。初音ミクのグッズも多かった。R.Mさんは『DEATH NOTE』の缶バッジを買おうかどうか最後まで迷っていたが、結局買わなかった。
 アニメといえば、『君たちはどう生きるか』をいっしょに観る約束をしていたのに、先生は二年生といっしょに……とR.Mさんから抗議を受けたので、でも公開当時きみは大学にいなかったでしょうというと、C.Iさんはいなかったけれどもわたしはいた! とのこと。すんません。
 三階に移動。C.Iさん曰く「女の子の天国」という店に入る。女性用の衣類、アクセサリー、化粧品などがところせましと陳列されている。客は当然ほぼ全員が女性。先生恥ずかしいね〜と茶化されながら同行。ここでも旅先にもっていくという帽子をチェック。しかしめぼしいものは見つからず。
 一階にもどる。途中、アイドルか俳優かわからないけれども有名人らしい男性のポスターが貼ってあるのを指さして、あのひとは有名なの? とたずねると、香港の俳優であるという返事。それに続けてすぐにふたりして笑いながら、「中国の香港の」「中国の一部である香港の」と言い直そうとするので、数年前から閲読の授業が一部日本語での愛国教育になっているわけだが、たぶんそこで学習した表現なんだろうなと察した。
 しかしひさしぶりに万达の三階フロアをぐるっとまわってみて思ったのだが、マジで店の入れ替わりが激しい、数ヶ月単位でぽんぽんぽんぽん店が入れ替わる。アニメ&漫画グッズの店も「女の子の天国」も、前回ここをおとずれたときはなかった。こちらが赴任した当初から残っている店なんて実際数えるほどしかないんではないか。
 瑞幸咖啡の近くにある売店でレモンジュースを買う。そのまま帰路をたどりはじめたが、どぶ川のほとりでR.Mさんが疲れたといって生垣に座りこんでしまう。それで休憩することに。C.Iさんはトイレにもどった。われわれの近くには幼い男児とその母親らしき人物がならんで座っていたが、ふたりともスマホをいじっていた(男児はゲームをしていた)。R.Mさんはけっこう疲れているふうだったので、特に言葉を交わすことはせずこちらもVPNを噛ませてTwitterをのぞいた。途中で蚊に喰われた。そういやそんな季節だった。どぶ川に無数の波紋がたっているのを見て、あれ? 雨が降ってんのかな? と思ったが、さざなみの一部をネオンや街灯の光が照らしているようすがそう見えるだけだった。
 蚊がいるねとR.Mさんに声をかけた。そこからふたりでまたぽつりぽつりと会話を交わしはじめた。集合写真を撮影しているとき先生はどんな気持ちでしたかとたずねられた。ちょっとさびしかったねと応じた。さびしい? とややびっくりしたようすでいうので、ほら、うちの学生って卒業後はみんな(…)以外の街に行くでしょう? だから卒業したらなかなか会う機会もない、それに四年生になってようやくこんなふうにいろいろ会話できるようになったと思ったらもう去ってしまうわけだから、毎年そうだけど、せっかく日本語が上手になっていろいろ交流できるようになったというそのタイミングでいなくなってしまうからというと、ああという反応。今年の一年生はどうですかというので、ここ数年でいちばんやばいかもしれないと率直に応じる。高考の点数もきみらとくらべてかなり低かったらしいと話しているうちにC.Iさんがもどってくる。
 往路をひきかえすかたちで(…)公园を抜ける。広場ダンスをしているおじさんおばさんの数が、たぶん土曜日の夜だからだろう、やたらと多い。雲南省といえば少数民族だという話から、回族であるC.Iさんに伝統衣装のようなものはあるのかとたずねる。あるという返事。イスラム教の信仰があるひとたちはいまでも白い帽子をかぶっている、と。C.Iさんはそういう衣装を身につけたことはあるのかという質問には、一度だけあるという返事。大学入学前に通っていた少数民族の学校で「民族体育」という授業があった、そこで伝統的な衣装を身につけて伝統的なダンスをしたとのこと。スマホの中に写真が残っているという話だったが、古すぎて見つけ出すことができなかった。噴水広場にはなぜかバスケゴールがひとつとバスケコートが片面だけ新設されていた。周囲は柵もなにもない湖であるしこんなところでバスケをしてもボールが水の中に落ちちゃうでしょうというと、なにかの宣伝のために一時的にセットされたものかもしれないという反応。実際コートには近づくことができないようにロープが張り巡らされていた。(…)市政府のPR動画かもしれない。湖に囲まれたバスケコートで長身のイケメンたちがバスケをするところを撮影、それを抖音だの快手だの小红书だの微博だのに投稿するつもりでいるのかもしれない。抖音と快手の違いについてたずねてみたところ、後者はもともと不良がよく使っていたという返事。しかし最近では特にそういう棲み分けみたいなものはないとのこと。広場ではたくさんの未就学児童らが保護者といっしょに遊びまわっていたが、時刻はすでに21時前で、そういえばこれも中国に来て最初に驚いた光景のひとつだった。こっちの子どもって夜遅くまで外で遊んでいるよね、あれくらいの年齢だったら日本では21時までには絶対寝なければならないと思うんだけどというと、わたしたちが子どものころははやく寝ていましたという返事。
 南門を経由して新校区に入る。ふたりともこちらを寮まで送っていくという。足はだいじょうぶなのとR.Mさんにたずねると、さっき座って休憩したから問題ないとの返事。途中、K.Kさんと遭遇する。中国語での簡単なやりとりを交わす。去っていったところで、K.Kさんだいじょうぶかなと口にする。ぼくの閲読の試験、彼女だけ不合格で追試を受けなければならないんだけど、彼女は日本語は全然できないでしょ? だから簡単な問題にしてあげようと思って連絡をとったんだけど返事がないんだよと続けると、そうです! とR.Mさんが「返事がない」ところに反応して言う。S先生も言ってたよ、卒論に関する返事が全然ないってというと、彼女はまだ卒論が完成しておらずそれゆえに今日もクラスでひとりだけ答弁に参加していなかったという。場合によっては留年するかもしれない。仕事はがんばってるみたいだけどね、スピーチ教室みたいやつというと、「ちょっと変な仕事」「あやしい」という反応。性格もすっごく変わりましたと、文脈的におそらくネガティヴな意味で続けてみせるので、あれか? もしかしてけっこう自己啓発入ってるやつなのか? と思った。たしかにK.Kさんがしょっちゅうモーメンツに投稿しているスピーチ教室の宣伝はいかにもそれっぽいキラキラ感がある、新興宗教めいた幸福感いっぱいポジティヴなバイブスいっぱいなアレなのだ。K.Kさんは日本語がまったくできない、たぶん「先生」という単語しかわからないとC.Iさんは言った。
 第五食堂そばの果物店に立ち寄る。マンゴスチンとペットボトルのウーロン茶を買う。マンゴスチンはいまが旬らしい。寮の前でふたりと別れて帰宅。きのうG.Tさんにもらったコーラの残りを飲み、チェンマイのシャワーを浴び、四年生のグループチャットに「卒業生への手紙」を投げる。以下、全文。

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 ほどなくしてお礼の言葉だの写真だのがとどく。R.Sさんからはグループチャット経由ではなくダイレクトに写真が送られてきた。感謝の言葉に続けて「今後とも時々連絡を送ってもよろしいでしょうか」とあったので、あ! もしかして今年も大学院試験を受けるつもりなのかな? だからいろいろ質問をしたいのかな? と察し、もう一度院試に挑戦するつもりはあるのかと質問したところ、正直にいうとありますという返事。このままでは悔しいのだ、と。その言葉を聞けてよかったと返信すると、先の手紙を踏まえて「私も社会にあるモデルには全然合わないと思っています」というので、卒業後もこれまでのように質問に答えたり作文を添削したりするからいつでも遠慮なく連絡しなさいと伝えた。
 二年生のR.Uくんからイラストが完成したので見てほしいと微信エヴァのアスカを鉛筆で画用紙に描いたもの。最近ルームメイトのC.Tくんもいっしょになってふたりでよくイラストを描いているようだ。
 1年前と10年前の記事を読み返し、冷食の餃子を食し、今日づけの記事を途中まで書いた。作業中はずっと「Pointless 5 feat. PUNPEE」(スチャダラパー & STUTS)を流していた。
 以下、今日とどいた写真の一部。
 
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