2014-07-01から1ヶ月間の記事一覧

20140703

(…)私が三日置、四日置にこの老人をたずね、それほど興味もない彼をいびってたのしむのは、私としては、あまり屢々、例のないことであった。しかし、私の性質の底の底には、幼いころから記憶を辿ってみると、たしかにそういういやな根性ももっていないわけ…

20140702

(…)あとの人生がぬけ殻としかおもえないような栄ある死が私をあくがれさせたが、いまおもえば、そんな私は、私にもそんなおもいがあったのかとおもうほどまだ若かった証拠である。 (金子光晴『どくろ杯』) 7時半に起きた。歯をみがき顔を洗い部屋でスト…

20140701

(…)秋田はその晩から疲労のためらしく、発熱して、下の部屋の畳敷の、洋箪笥の前にねころんだまま、しばらくうごかなかった。鼻や、喉頭や、胸が、がらごろ、ひゅうひゅうと、荘子の大小の木の洞が風に鳴る形容のように、ひどい音を立てて、彼のからだに嵐…