20130522

しかし、賽は投げられた。行け。早く。私に残された少しばかりの悪が私を裏切らないうちに。
福永武彦「未来都市」)



12時すぎ起床。腐れ大寝坊。(…)さんからの電話でめざめる。夕方から(…)さん宅でバーベキューをすることになっているということは要するに今日いちにち夕方以降はまったくもって使い物にならないということであり、であるからこそいつもよりやや早めに起きるなどして少しでもタスクをこなしていくべきだろうに、そんなときにかぎっていつも寝坊してしまうというのはいったいどういう了見か。13時過ぎより発音練習&音読。16時にいったん切り上げて通院。待ち時間内に瞬間英作文。18時前に薬局を後にして(…)さん宅へ。すでに(…)ちゃんの姿もある。炭に火をつけるなどして19時、(…)さんがあらわれて勢揃いしたので肉を食べ始める。記憶混濁。1時ごろにはたぶんアパートに戻っているはずなのだが、はっきりと覚えていない。とちゅうスーパーで半額品のたこやきを買ったはずだ。一時間か二時間ずっとしゃっくりが止まらなかったのも覚えている。醤油のふたを閉め忘れていた元カノにキレた(…)さんがじぶんの目の前で醤油の蓋の開け閉めを100回やらせたとかいう頭のおかしい話を聞いたのも覚えているし、酔っぱらった(…)さんがいきなり河原町かどこかの交差点に飛び出して交通整理をはじめたとか、公園にたむろしていた中高生のところへ真冬にもかかわらず上半身裸でつっこんでいったとか、そんな話も聞いた。それは覚えている。ただ帰り道の記憶がほとんどない。それ以前の記憶もあやしい。ガレージから室内に戻って以降の記憶がぜんぜんはっきりしない。思い出した。(…)さんが木屋町に行こうと駄々をこねだしてタクシーを呼んだ。(…)さんという(…)さんの学生時代の同級生も途中から一座に加わっていた。その(…)さんを疎んじた(…)さんが迂回でも婉曲でもない、きわめて直接的な、もはや示唆ですらないうながしによって、その(…)さんを帰らせた。自転車に乗ってスーパーに立ち寄りたこやきを買った事実は覚えているもののその具体的な細部がいっこうに見えてこない。(…)さんと飲みにいった(…)さんの話を聞いた覚えもある。出産以降奥さんのことを女として見れなくなったみたいな言い方をさんざんしていた(…)さんであったが、実際はむしろその奥さんのほうから相手にしてもらえなくなったその結果としてのセックスレスらしくて、そりゃあまあ浮気もするだろうよと炎に照らされたみんなの顔が真剣になった。焼けたピーマン。真っ黒にこげついた海老。自販機で買ったジュースとお茶。誰のことも思い出さずにずっと笑っていた。車に轢かれて死にたかった。