20140422

(…)みんなで母親の遺体を運んでいった森の空き地が目に浮かぶ。三時間も経たないうちに、彼らは母親を地中に下ろした。だから、母親がこの地上で死んでいた時間はこのうえなく短かったことになる。
マイケル・オンダーチェ村松潔・訳『ディビザデロ通り』)

(…)どうすればひとりでいても満ち足りることができるか。自分が知っているすべてから、愛する人々からさえ身を守って。そういう奇妙なやり方で、人々を完全に理解しながら。
マイケル・オンダーチェ村松潔・訳『ディビザデロ通り』)



 10時起床。まぶたの裏がひどく重い。こういう起きぬけはあまり好きではない。歯を磨きストレッチをしパンの耳とコーヒーの朝食をとっているところに大家さんがあらわれ四月分の家賃の催促をされたのでその場で支払った。
 11時半より15時前まで「G」作文。マイナス2枚で計263枚。来る日も来る日も書きくわえる量よりも削りとる量のほうが多いとくる。目標枚数400枚がどんどん遠ざかっていく。ちょっと飽きてきたことでもあるし300枚に減らそうかな。
 懸垂と腹筋をしたのちケッタに乗って買い物に出かけた。帰宅して16時から17時まで発音練習をした。それから徒歩2分の耳鼻科にでかけて飲み薬だけ処方してもらったあと、今度は18時まで瞬間英作文した。玄米・納豆・冷や奴・ほうれん草のおひたし・レタスと水菜とトマトのサラダ・茹でたササミのくっだらん夕食をとった。
 20分の仮眠からさめると20時半だった。シャワーを浴びた。部屋にもどってからストレッチをした。それから喫茶店に出かけた。21時半より0時半まで『ピストルズ』を読み進めた。となりの席の女性二人組の片方の声が勘にさわるほど甲高くけたたましかったのでひさしぶりにイヤホンを装着した。とちゅうでYさんがやってきて、ほかに席が空いているにもかかわらずわざわざこちらの隣席に腰かけたので、いちおうイヤホンをとって簡単にあいさつだけして、それからすぐに装着しなおしてふたたび読書にもどった。やたらと長い時間携帯でニチニチニチニチなにやら打っているようだったので、これひょっとして「A」の感想とか書いてるんでないかと不意に思った。すぐとなりにいるひとにメール送信とかすごくやりそうなひとだから。
 パンの耳をまたもや大量にいただいて帰宅した。冷凍庫がいっぱいだった。ブログを書こうと思ってパソコンを起動したところで携帯ががたがた震えて鳴った。見ると、まさかのYさんからで、まさかの「A」感想文だった。なにもかもがこちらの想定通りだったわけだが、内容までもがこちらの想定していたとおりいささかげんなりするものだった。つづめていえば、タイトルがまず同名漫画の二番煎じであり、世界観が『グイン・サーガ』の二番煎じであり、(映像的な)描き込みが不足しているというものだった。指摘のいちいちが見当違いもはなはだしいことを懇切丁寧に教え諭すような返信を送ったが(脱稿時にくだんの漫画は連載開始すらしていなかった点、RPG的想像力の最大公約数をあえて利用している点とその理由について冒頭で断っている点、「描かずにすますことができる」(映像的な表象を節約-省略することができる)小説というフォーマットの核心について自覚的である点)、大学院で国文学を先攻していた五十路のプライドがこれらを素直に受け取ってくれることはまずないだろうなと、そのような想像をこちらに許す彼の人柄や性格などからそう思った。ネットであれこれ書かれるんだったら放っておけばいいだけの話なのだが、直接の知人がなにやら知ったかぶって一丁噛みしてくるのを対処せずに放っておくわけにはいかない。するとその結果としてこちらが疲弊することになる。徒労の感にげんなりすることにもなる。いちから勉強してから出直してこいとあしらうわけにもいかない、このような手合いを相手にするのがいちばんめんどうくさいのだ。だから読ませたくなかったのだ。Tさんはまったくもって余計な宣伝をしてくれた。
 Fくんが「落書き」と称する掌編小説を新規ブログをたちあげて掲載していたので読んだ。磯崎憲一郎のエッセンスをほぼ完璧にとらえていると思った。小説の書き方というものをすでに知っている書き手の書き仕事である。4時消灯。