20230724

 10時半起床。Amazonから柵が届いていたので組み立て、玄関に設置する。これで(…)は玄関をのぼりおりしなくなるはず。歯磨きし、めだかに餌をやり、トースト二枚食す。きのうづけの記事の続きを書く。
 (…)にあるリサイクルショップ(…)に父の運転で向かう。元々は弟もついてくるはずだったのだが、徹夜でゲームかなにかしていたらしく、起きてこない。代わりに母がついてくることになった。帰りにコスモスというドラッグストアに寄ってほしいのだという。最近地元で店舗を増やしつつあるドラッグストアらしいのだが、とにかく冷凍食品が安いらしい。父がいうには冷食の安さで客をひいて、ついでに本丸で買い物させようという戦略なのだろうとのこと。押し入れには着なくなってひさしい衣類がたくさんあったので(ほとんどのシャツがいま着るとピチピチで、京都時代のじぶんはなんて痩せていたのだろうとびっくりする、栄養失調でぶっ倒れるほどであったのでそりゃそうだという話であるが!)、どうせ捨て値にしかならないがまとめてもっていくことに。
 (…)に向かう道中、道路沿いの車屋を見かけるたびに、あれビッグモーターか? とふざけて口にする(実際、かなり大きな支店が一軒だけあったが、売り物の車はならんでいるものの、客の車はまったく見当たらなかった)。セブンイレブンに立ち寄る。7万円×2回をおろし、父と母の分もまとめてコーヒーと軽食を買う。車窓越しにあたらしくできたメシ屋などをながめつつ、「実弾(仮)」の資料として、風景を記憶にしまいこんだりスマホでメモをとったりする。弟から(…)はすっかり変わった、古着の売り場面積がずっとせまくなって、代わりにフィギュアやトレーディングカードの売り場面積が増えたと聞かされていたが、実際、間取りもふくめてかなり変わっており、扱っている古着の品数もずっと減っている印象。これはわざわざ(…)まで出張る価値もない。買取カウンターに荷物をあずけ、店内を適当にぶらぶらし、便所でうんこをする。買取金額は110円だった。リュックサックひとつ、セーター一枚、シャツ三枚、ほかにいろいろあったはずなのだが、おいおいブックオフよりえぐい商売しとるなと思った。母はじぶんもバッグをもってこればよかったといった。もう使わなくなったCOACHのハンドバッグなどがあるのだというので、ブランドものを売るのであればこんなところで買い叩かれるよりもメルカリで売ったほうがずっといいんじゃないかといった。
 ワイドパンツ三つとセットアップを試着した。セットアップのサイズ感はぴったりだったが、なんかだせえなァという感じだった。6000円弱だったけれどもこれはきっと買うだけ買って着ないパターンだなと想像されたので、冷静に却下することに。ワイドパンツは灰色のスラックスみたいなやつだけしっくりきたので買うことにした。値札を見るのを忘れていたのだが(ノーブランドのコーナーに吊ってあったものだったのでどうせ安いだろうというあたまがあった)、レジで支払う際になってたった1700円であることが判明して、あ、いい買い物をしたな、となった。母は800円のスカートを買った(こちらがおごった)。父はなにも買わなかった。
 帰路、コスモスに立ち寄る。両親とは別行動し、中国に持っていく常備薬ほかをまず購入することに。歯ブラシ、フッ素含有量の多い歯磨き粉、フロス、日焼け止め、(…)のお菓子などを手にとったのち、薬品コーナーで、風邪薬、咳止めシロップ、のどぬ〜るスプレーも手にとったのだが、まとめてレジに持っていったところ、風邪薬と咳止めシロップを同時に売ることはできないといわれた。保健局だかどこかだかの指示にもとづき、同時に販売することのできない医薬品というものがあるのだと白衣の中年女性がいうので、あ、オーバードーズをさせないためだな、ブロンだからダメなんだなと察した。察しつつも、じゃあ精算を別々にして売ってもらうことはできませんかと食い下がってみたところ、おなじレジの奥にいた若い白衣の男性が出てきて、どうも彼のほうが立場が上で、察するに薬剤師じゃないかと思うのだが、どうしてもという特別な理由がある場合は販売できますという話があったので、ふだんは海外で生活している、いまは一時帰国中である、これらの薬はいますぐ服用するものではなく常備薬として購入するものであると事情を説明したところ、それであれば問題ないという反応があったので、なるほど、このあたりたぶん現場のさじ加減ひとつなのかなと思った。あとで両親に話したところ、おまえはそんななりをしているから悪い遊びに使うと思われたのだろうと父がいった。ひげはぼうぼうだし、サングラスだし、耳たぶにでかい穴が空いているし、派手な柄シャツを着ているし。冷食もまとめて購入して店を出る。
 帰路、郵便局に寄ってもらう。(…)の実家近くにある郵便局。ひとまず30万円を口座にあずけて通帳記入する。前回出国時に100万円あずけておいたのだが、やはりずいぶん減っていた。
 帰宅。きのうづけの記事を投稿し、ウェブ各所を巡回する。夕飯はサガミでとるという話だったので、夜は(…)を(…)に連れていく必要があるしはやめにいったほうがいいだろうということで、わりとすぐにふたたび出かけることに。店に到着したのは17時台だったのでガラガラ。エアコンのあまりきいていない座敷席に入る。韃靼蕎麦と手羽先がおすすめであるというので、メニューを選ぶのもめんどうくさいのでその通りにしたが、蕎麦は天ぷら付きのものにした。食いたかったというのもあるし、ここでそばと天ぷらの写真を撮っておけば、来学期の授業の小ネタにもなるなと思われたので。韃靼蕎麦も手羽先もうまかった。天ぷらはまだあまり味がわからなかった。
 帰宅。めずらしく(…)が玄関まで出迎えにきていて尻尾をふっていた。後ろ足が弱ってからというもの、そういうこともめっきりなくなっているのだが、家族全員が夕飯時にいなくなってちょっと不安だったのかもしれない。ドッグフードを食わせる。鶏胸肉も食わせる。サプリと肝臓の薬ものませる。メシを食っているあいだ、前肢の踏ん張りがきかず、足と足の間隔が徐々にひらいていくので、後ろから助ける。食卓のある部屋ととなりの和室のあいだにはとても低い段差があるのだが、(…)はそこを越えるときですらはずみをつけてジャンプしようとするし、飛び越えたあとになぜかうさぎのように両方の後肢をそろえて二度三度ぴょんぴょんとする。そういうようすを見ているだけでしんどい。気が重くなる。
 庭に出たがったので一緒に出る。(…)はすぐに小便とうんこをした。庭に出る際、共用のゴムサンダルを履いていたのだが、足の裏の接する面に隙間があるタイプのもので、たとえばそのゴムサンダルで小石の上を歩いたりすると、知らないあいだに隙間に大量の石がはさまったりする。しかし今日はさまったのは石ではなかった、(…)のうんこだった、うんこを踏んでいることに気づかなかったのだ。当然、足の裏や指にまでうんこはついている。最悪やげ! といいながらおもてにある流し場に移動して足とサンダルを洗った。
 こちらと弟をいったんおろして閉館間際の図書館に行っていた両親がほどなくして帰宅したが、そのまますぐに(…)を連れて(…)にいくことに。段差のある玄関からの出入りは今日からとりやめにして、代わりに庭から出入りすることにしたのだが、(…)は習慣に対するこだわりが強いやつなので、いくら「ドライブ!」とか「散歩!」とか声をかけてもなかなか庭には出ようとせず、玄関のほうにばかり行こうとした。ようやく庭に出ようとしたものの、なだらかに作り直したはずのスロープで足をすべらせて倒れこんでしまい、そういう姿を見るたびにひやっとする、いまのでとうとう前肢までダメになってしまったんではないかとおそろしくなる。(…)はだいじょうぶそうだった。おなじスロープで母もまた足を踏み外して転びそうになった。そうか、母もそう遠くないうちにもしかしたら介護の必要になる生活を送ることになるのかもしれないのだなと思った。先日、両親がコブクロのコンサートに出かけているあいだ、弟とふたりで黙々と食卓でカレーを食っていたのだが、そのときふと、両親の死後の食卓とはこんなふうかもしれないなと思ったのだった、というか両親が仮に死んだとして、その場合こちらはいちいち里帰りなどするのだろうか? そのときもまだ中国で働いているのだとすれば、日本で年に一度は野暮用をすませる必要もあるだろうから帰国するだろうし、帰国するのであればほかに滞在先もないから実家に居候することになるのだろうが、たとえば京都でふたたびバイト暮らしをしていた場合、年に一度か二度、いちいちこうして地元にもどってくるのだろうか? たぶんもどらないだろう。
 (…)に向かう車内で母が、最近(…)が目に見えておとろえてきている気がする、(…)が帰ってくる前まではまだこれほどひどくなかったと思うといった。こちらとしても、この一週間にかぎっても(…)の足の衰えが目に見えて悪化しているという印象をひそかにもっていたので、寝たきりになるのもそう遠くないかもしれないと受けた。こちらが出国するまでにそうなったとしても決して驚きはしないと思う。それくらいひどくなっている。考えるだけで気が滅入ってくるが。
 それでも(…)に出向くこと自体はやはりよろこんだし、到着したら到着したでわれさきに車からおりたがる。今日は小便を二度し、そのうち一度などはめずらしく片足をあげた。びっくりした。そんな力がまだ残っていたのだ! ハンドサインのじいさんは今日も姿をみせた。会わない日がない。あのひといくつくらいやと思う? と母がいうので、確実に八十は超えとるやろと応じると、あの年でも犬おるから世話せなあかんって気ィ張ってあんだけ元気なんやさと父がいった。たしかにそれはある。
 帰宅。(…)が家でもしょっちゅう転びかけたり、立ち上がることに苦労したり、せまい廊下でうまく方向転換できなかったりする、そんな姿を見ているだけでもつらい気持ちになってくる。マッサージをしてやる。それからソファに横になって三十分ほど仮眠。途中、救急車のサイレンが聞こえた。どうも団地内でだれか運ばれたらしい。玄関におりようとしたのか、(…)が柵を横倒しにしてしまう物音がしたのでそれで目が覚め、母とそろって玄関にいき、もうここにおりてはいけないと(…)にいいきかせた。(…)はかわりに脱衣所のほうにいった。そうしてバスマットを前肢で何度も何度もほじくりかえした。庭と同じでそうやって地面を掘り返し続ければ、いずれひんやりと冷たくてきもちのいい土があらわれると思っているのだ。
 浴室でシャワーを浴びた。デカビタを飲みながら2022年7月24日づけの記事を読み返し、そのまま今日づけの記事にとりかかった。途中、玄関に車の停まる気配がした。と、弟が自室からおりてきて外に出た。(…)が来たらしい。一ヶ月遅れの誕生日プレゼントとしてハーゲンダッツをもらったといいながら弟が家にもどってきたので、仕事もぼちぼち再開かとたずねると、そういう話は出なかったとのこと。本来は6月ごろからはじまるという話だったのだが((…)作りにあたってもっとも基礎的な仕事というか準備のようなものがその時期からはじまるらしい)、その時期に(…)一家がコロナにかかってしまった、それで6月からの仕事という話はどうもポシャったというかなあなあになってしまったようで、たぶん弟はそのことをよろこんでいるが、おそらく盆明けあたりにまたあらためて召集がかかるのだろう。

 今日づけの記事をここまで書くと、時刻は23時だった。冷食のパスタを食し、歯磨きをしながらジャンプ+の更新をチェックし、『野生の探偵たち』(ロベルト・ボラーニョ/柳原孝敦・松本健二訳)の続きを読み進める。間借りの一室にあがったあともしばらく書見。