20230825

 10時に自然と目が覚めた。歯磨きしながらスマホでニュースをチェックし、トースト二枚を食し、食後のコーヒーを飲みながらきのうづけの記事の続きを長々と書いて投稿。ウェブ各所を巡回し、2022年8月25日づけの記事を読み返し、2013年8月24日づけの記事を「×××たちが塩の柱になるとき」に再掲。

 フローリングに掃除機をかける。雑巾で拭き掃除もする。ある程度きれいになったところで(毎度毎度ある程度ですませてしまうところが自分らしいのだが!)、掛け布団のシーツを含むもろもろを洗濯。それからクローゼットの中を多少整理して掃除する。服が多すぎる。買うだけ買ってほとんど着用していないものも多いし、もう学生らにあげようかな。
 授業準備。授業の大枠自体はほぼすべてできあがっているので、今日からは詰めの作業。来月4日以降の授業を日付順(予定順)にひとつずつ詰めていく。
 15時半になったところで作業を中断。タジン鍋食す。食後ひととき休憩したのち、(…)で買い物。いつものおばちゃんから処理水の件をぶっこまれるかなと思ったが、そんなことはなかった。快递に荷物が届いたという通知が二件あったのだが、時間が時間だったので、店はすでに閉まっていた。キャンパス内にある瑞幸咖啡も夏休み中は夜まで営業していないようす。
 帰宅。シャワーを浴びる。先学期水漏れ対策として修理した床のタイル一枚がべこべこに浮いている。指先をひっかけて持ちあげようとすると、そのまま剥がれてしまうありさまで、これ結局ここからまた水漏れするんでないのと思う。そうなったらまた業者が入ることになるのか。めんどうくさい。ストレッチをしたのち、抜き書きノート用に淘宝でルーズリーフをポチる。ついでにめがねの洗浄液も。
 授業準備を再開する。(…)さんから微信が届く。およそ一年半ぶり。石川で借りたお金を返済したいという申し出。「今までの二年間、色々があって、結構病院にお金をたくさん使ってしまったので、貯金少しもなかったです」というのだが、金なんて貸したっけ? いわれてみれば、手持ちの資金がけっこうかつかつだった彼女の懐事情を見て、給料が入ったらまた返してくれたらいいよといっていくらか貸したような気がしないでもないのだが、そんなことはすっかり忘れていた。(…)さんによれば二万円らしい。微信では送金できないようであるし、口座番号を教えてほしいというので、もうプレゼントということでいいよと返すと、「返さないとずっと気が済まない感じがしますよ。実はこの二年間先生に連絡してないのもこのせいです」とのこと。彼女からは右も左もわからない時分に本当にいろいろと助けてもらったわけであるし(こちらが赴任した当時一年生だった学生だ!)、その分の謝礼みたいなもんだと思ってもらえればいいというと、そういうのが欲しくて先生の手伝いをしていたわけではない、「先生のことが友達だと思ってるから、先生にお金を返したいです」とあったので、じゃあぼくもきみのことを学生ではなく友達だと思っているからこそおごりということにしようと応じる。(…)さんは現在広東省でひとり暮らし。(…)さんからだったか(…)くんからだったか、以前、(…)さんは親戚のところで世話になることになったと聞かされたおぼえがあるのだが、親戚が勤めていた職場を紹介されたということらしい。「インターネット通販のアフターサービスの仕事」で、紹介してくれた親戚はすでに会社を去ったということだが、そこで(…)さんはひとりで働いて自活しているとのこと。日本語を使う機会はまったくない。周囲には友人もひとりもいないというので、だいじょうなのかとたずねると、病気の治療費で両親のお金をたくさん使うはめになってしまったから、いまは両親にたよらずなるべくひとりで生活したいという。双極性障害については「前よりたぶん、良くなったと思います」とのこと。彼女とおしゃべりすると毎回この話になってしまうわけであるが、周囲に友人がおらず仕事以外の時間で暇しているのであれば、小説でも書いてみればどうかといった。少なくともこちらがこれまで受け持ってきた学生の中で、彼女はダントツに文才のある学生のひとりであったし、読んでいる本の趣味もよかった。だから毎度毎度しつこくこうして提案してしまうわけであるが、(…)さんは「普段すごく短い独り言みたいなものを書いている」が、小説となるとむずかしいという。バルトの『偶景』ではないけど、記憶の中にある印象的な出来事や場面を断章形式で少しずつ書いていって集めれば、それだけでかなりおもしろいものになるんではないかといった。実際、彼女から聞いた農村時代の思い出話はどれもこれもおもしろかった。なにより、日々の由無し事から印象的な瞬間を取り出して言葉にする能力と感受性が彼女にはあるとこちらは確信している。(…)さんはずっとじぶんもなにかを書きたいと思っていたといった。「しかし、いつも書きながら、自分の書き出した言葉を見るとすごく気持ち悪い気がするようになってしまいます。そして、書けなくなるんです」とのことで、完璧主義で潔癖主義なんだなと思う。しかしその気持ちはよくわかる。書き出してはボツにすることをくりかえしていた時期がこちらにもかなり長いあいだあった。去勢の問題だと思う。諦めることをまだ学んでいないということなのだと思う。
 しかし以前より調子が安定しているようで安心した。借りていた金を返したいと言われたときは、まさかまた自殺でもしようと考えているんではないかと勘繰ってしまったわけだが(身辺整理かと思った)、たぶんそういうわけではないのだろう。
 やりとりを交わしつつ22時過ぎに授業準備を中断。今日は日語基礎写作(一)と日語会話(三)それぞれ三週分の教案を完成させた。思っていたよりも時間がかかる。
 卒業生の(…)さんがモーメンツにサーモンの刺身の写真を載せていた。コメントは日本語で「さよなら」。まあ食べ納めという意味なんだろうなと思っていたところ、続く投稿に父親らしき人物とのやりとりのスクショが載せられていたのだが、小鬼子料理なんて二度と食べるんじゃないという相手のメッセージに対して、父のいうことにはたしかに道理があるというメッセージが付されていて、大学で日本語を勉強してインターンシップで三ヶ月か半年日本に滞在経験がある彼女でもこれなんだもんなとげんなりした。差別用語を用いる父親のメッセージをなんの遠慮もなく公開したうえでそこに賛意を重ねて表明するという。
 夜食はインスタントラーメン。YouTubeで「【ナイツ塙】テレビじゃ絶対話せない師匠の超過激エピソード【鬼越トマホーク】」(https://www.youtube.com/watch?v=U-84s7T7K_I)というやつを見て、クソ笑った。(…)で働いていたころを思い出した。ナイツ塙が漫才協会でわざわざ会長をやっているのもこういうエピソードが面白いからなんだろうな。ある種の怖いもの見たさ、それから本当にどうしようもないひとたちに対してそれでもどうしようもなく生じてしまう愛の仕業なんだろうなと、かつてのじぶんの経験にひきつけて勝手に解釈した。
 歯磨きしながらジャンプ+の更新をチェック。中国の専門家が微博にて処理水放出は問題ないとした意見がアカウントごと封鎖されたという情報をさっそく得る。やっぱりゼロコロナ全盛期と似ている。