20231204

Why does one feel so different at night? Why is it so exciting to be awake when everybody else is asleep? Late–it is very late! And yet every moment you feel more and more wakeful, as though you were slowly, almost with every breath, waking up into a new, wonderful, far more thrilling and exciting world than the daylight one. And what is this queer sensation that you're a conspirator? Lightly, stealthily you move about your room. You take something off the dressing-table and put it down again without a sound. And everything, even the bed-post, knows you, responds, shares your secret. . . .
(Katherine Mansfield, At the Bay)


  • 8時15分起床。トースト二枚とコーヒー。
  • 10時から一年生1班の日語会話(一)。第7課。例によってやる気のない学生が目立つが、バンバン個人指名していくとやはりそれ相応に脱線の機会がおとずれ、そのおかげで笑いどころもけっこうな頻度で生じる。今日は(…)さんというあらたな突破口を見つけた。日本語能力は全然高くないが、物怖じしない性格らしくガンガン中国語で発言するので、その発言をフックにしていろいろひろげることができる。ありがたい。
  • 授業後、(…)くんが教壇にやってくる。今日の授業で納得いかないところがあったらしいが、口頭でうまく説明することができないようすだったので、じゃああとで微信で送ってくださいとお願いする。で、のちほど届いたメッセージを確認したところ、今日は「あげます」と「もらいます」を習得する課であったのだが、そのなかでこちらが基本的な例文として用いた「AさんはBさんに(物を)あげます/あげません/もらいます/もらいません」のうち、「もらいません」は普通使うことがないのではないか、「もらっていません」というべきじゃないのかという疑問だったので、たしかに「もらいません」というかたちを日常会話で使う場面はそれほどない、しかしそのあたりのニュアンスの違いについては「ています」という用法の解説とともに来学期履修する内容に含まれている、だから現時点では大学入学後に日本語を勉強しはじめた学生らの進度にあわせるかたちで、動詞のます形およびその否定形がこうであるというかたちを機械的に紹介するにとどめたのだと説明。もちろん、こうした質問をよこすということは、それだけ(…)くんが深く日本語を理解しているということなので、その点はしっかり褒めておく。
  • 教壇で荷物をまとめていると、廊下を(…)さんと(…)さんのふたりが歩いているのを見かけたので、ワン! ワン! と犬の鳴き声で呼び寄せた。(…)さんはいない。ひとりで快递に向かったらしい。教室内にスマホの忘れ物があったので、クラスのグループチャットで通知しようと思ったが、そのグループチャットがアドレス帳のなかになかなか見当たらない。ぐずぐずしているうちに持ち主がもどってきた。たぶん(…)さんだと思う。高校二年生から日本語を勉強している女子であるが、今日こちらの質問にまったく答えることができなかった(単純に話を聞いていなかっただけかもしれないが)。
  • (…)さんと(…)さんのふたりとは別れてひとりケッタにのって(…)へ。食パン二袋購入。後ろから(…)くんと(…)くんのふたりがやってくる。これから后街にメシを食いにいくところだという。こちらの後ろ姿を見かけてわざわざ店の中まで追いかけてきたらしい。(…)くんからはのちほど毎朝パンとミルクですかとたずねる微信が届いたので、パンとコーヒーだよと返信。今度ためしてみますとあった。
  • 三年生の(…)さんから微信が届いている。きのうこちらにふるまいそこねた年糕を今日の昼食としてふるまっていいかとのこと。断っても無駄であるし、アホみたいに混雑している食堂に行くのも実際めんどうだったので、授業の準備があるので調理を手伝えないがそれでもいいのであればという条件付きで了承。それで帰宅後、急いでフロアに掃除機をかけた。一年生の(…)さんからこちらのフルネームを答えることができなかった件について、やや茶化した謝罪が届いたので、10000元くれたら許してやるよと返信。
  • (…)さんがやってくる。調理を手伝う必要はないという。以前先生に手伝ってもらったら味が変になったからというので、アホと応じてあたまをはたくふりをする。調理はまかせて掃除の続きをする。それからきのうづけの記事の続きを書く。
  • メシができあがる。(…)さんは昨日一日で年糕を一キロ食ったのでもういらないという。豚肉とニラとたまごと年糕を煮込んだ一品で、これはなかなかうまかった(これが江西省仕様であれば唐辛子を山ほど加えるらしい)。午後の授業はないという。となるとおそらくこのまま居座るつもりだろう、あらかじめ授業準備があると釘を刺しておいてよかったなと思っていると、スマホをながめながら「あ!」という。午後は(…)先生のオンライン授業らしい。いつも寮で受けているのかとたずねると、その時間はルームメイトがみんな寝ているので、ひとり部屋の外の階段で受けているとあったものだから、いやさすがにそれはかわいそうすぎるわというわけで、だったらもううちで受けていいよ、ぼくはぼくでそのあいだ仕事をするからと伝える。大喜びしてくれたのはうれしいが、あらかじめすべて仕組まれていたんではないかという気もしないではない。
  • 食後の雑談は途中で切りあげる。「仕事をなさってください」というお言葉にあまえて寝室に移動し、明日の授業準備を進める。それがすんだところできのうづけの記事の続き。14時半から(…)先生のオンライン授業がはじまる。途中でちょっとのぞかせてもらったが(きかせてもらったが)、わりと簡単な日本語の文章(ラノベみたいな文章だった)を学生らにひとりずつ翻訳させたあと、その細部について解説するというスタイルらしく、今日部分的にのぞいたところにかぎっていえば、学生らがいうほど無意味なものでもないんではないかという気がしないでもなかったが、ま、わからん。
  • 記事を投稿し、ウェブ各所を巡回し、一年前と十年前の記事を読み返す。その最中、オンライン授業を終えた(…)さん——授業の後半は愛犬である(…)の写真や動画をずっとながめていたようだが——から、海老の餃子と黒い鶏肉のスープのどちらが食べたいですかという質問がある。まさかと思っていると、夕飯も作るという。マジかよと思ったが、こちらはこちらで好きに仕事をすることも可能であるのであれば別にいいかというわけで、本当は授業準備はとっくに終わっているわけであるが、仕事をしなければならないので料理を手伝うことはできないがそれでもいいかと確認。必要ないという。それで買い出しだけはいっしょに行くことにしたが、記事の読み返しが中途半端なところだったので、もう少しだけ待っていてほしいとお願い。(…)さんはそのあいだにいったん寮にもどって鍋をとってくるといった。
  • それで記事の読み返しも最後まで片付けた。以下、2022年12月4日づけの記事より。ゼロコロナ政策の転換期にあって、大学内に猛烈に混乱している。

 10時前に自然と目が覚めた。卒業生の(…)さんがモーメンツで不満を訴えていた。彼女は現在よその省に住んでいるようなのだが(おそらく吉林省だと思う)、街中のPCR検査所が(今回の抗議運動をきっかけに)ガンガン撤去されたものの、健康コードそのものは変わらず運用されているため(商業施設やレストランに入るためには48時間以内の陰性証明が必要である)、検査それ自体は結局受けなければならない。結果、残り少なくなった検査所に長蛇の列ができることになってしまい、現在マイナス18度の中で一時間以上並んでいる、と。この手の話はここ数日よく見聞きする。ゼロコロナ撤回に向けての動きとして各地にある簡易検査所がどんどん撤去されているのだが、健康コードの運用方針は以前のままであるので、結果としてかえって不便になっているみたいな。

 作業の途中、(…)さんから微信。「先生、私たちは早めに冬休みになるかもしれません。」と。やっぱりそういう話が出ているのだなと思いながら返信すると、夜には結論が出るらしいという。冬休みの予定はありますかというので、長期休暇はいつもそうであるように授業準備をしたり本を読んだりしてのんびり過ごすよと返信。執筆とはいわない。
 今日づけの記事も少しだけ書く。17時半になったところで中断し、ふたたびおもてに繰り出す。文具屋でコピー用紙を買う。20元。明日の授業で使う資料を印刷して持っていくのに必要なのだ。購入したものをリュックサックにおさめてそのまま第五食堂へ。すれちがう学生らが口々に回家回家と言っている。やはりほかの大学と同様、冬休みが前倒しになるのだろうか。食堂の入り口ではまたしても(…)さんと(…)さんと遭遇する。毎日ここで顔を合わせている気がするねと笑う。
 打包して帰宅。メシを食ったのちベッドに移動して『彼岸過迄』(夏目漱石)の続きを読み進める。眠気をもよおしたところで20分ほど仮眠。(…)からの通知で目が覚める。明日の授業はやはりオンラインになるかもしれないので準備をしておいてくれ、と。詳細は今夜の会議後に決定するとのこと。いや、ついさっき教室授業用に教案を再編したところなんですけど……。
 (…)くんから一日遅れの課題が届く。(…)さんに明日以降の授業もやっぱりオンラインになるかもしれないからさっきの資料は印刷する必要ないと連絡する。浴室でシャワーを浴び、ついでに黒シャツを手洗いする。あがったところでストレッチしていると、(…)から続報が届く。今学期の最後までオンライン授業決定とのこと。学生らは今日からふたたびキャンパス内外の出入り禁止。教師もteacher’s cardなしには出入りできない。
 (…)からはグループチャット経由のみならず個別にもメッセージが届いていた。今学期は当初の予定よりもはやく授業が終わることを知っているか、スケジュール内にすべての授業を終えることができそうか、と。学生のモーメンツ経由でそういう情報を以前ちょっと目にした記憶はある。しかし正式な通知を受け取った覚えはないので、I’ve never heard about itと返信。今月24日までにすべての授業を終えなければならないらしい。

 モーメンツをのぞく。学生らが回家回家とお祭り騒ぎになっている。大学から送られてきた通知のスクショを複数の学生がはりつけていたのだが、希望者は明日から帰省することが可能になった模様。いや、正確には希望者ではなくなんらかの条件にあてはまる学生のみなのかもしれない。モーメンツで騒いでいる学生の大半がよその省出身の学生であるのを見るかぎり、どうも(…)省以外の学生のみオッケーになったんではないかという気がする。

(…)最初にオンライン授業にしますという通知があったのがおよそ三週間前、15日の14時過ぎで三十分後にひかえている次の授業からオンラインでやってくれというめちゃくちゃなアレだったわけだが、その後30日に12月1日から封校解除&5日から教室授業再開の通知が届き、あ、よかったよかった、めでたいめでたいと思っていたところ、今日(4日)、日中にまず明日(5日)はやっぱりオンライン授業継続になるかもという通知、そして夜に今学期の残り授業すべてオンライン&学生の帰省前倒し決定の通知があったわけで、迅速すぎる決定に現場が混乱するのはいつものことだしこちらとしてもまずまず慣れっこだが、ただ今回の一件に関しては、上のほうもやっぱり相当混乱しているんではないかという気がする。

  • 2013年12月4日づけの記事は全体的にすばらしかった。ちょっと小説みたいだった。以下のくだりはくだらなさすぎて笑った。

スーパーではクリームコロッケが一個60数円でバラ売りされていたので2つ購入した。たかだか5分の帰路も我慢できずに2つとも歩きながらかっ喰らってしまった。クリームコロッケ美味い。クリームコロッケは世界遺産だ。クリームコロッケを食うたびに熾烈な精子争いで一位を勝ち取り生まれてきた甲斐があったと思う。

  • 寮の下で(…)さんとふたたび合流。歩いて(…)へ。黒い鶏肉を使ったスープの具材などを彼女の指示にしたがってまとめて購入。スープだけでは足りない、もう一品必要だというので、西红柿炒鸡蛋の材料も同時に買う。スープには「薬味」が必要だという。漢方薬のことらしい。(…)にも売っていることには売っているのだが、大きな袋に入っているものばかりで小売りはしていない。小売りしているものは「薬局」に行けば買うことができるという。薬局ってあの薬局かと確認すると、肯定の返事。知らなかった。薬局でスープに入れるための「薬味」=「漢方薬」を購入することができるのか。
  • それで近場にある薬局に向かったのだが、残念ながらそこには目的の「薬味」はなかった。広東省の薬局であれば必ず手に入るものだが、ここでは手に入れるのが難しいかもしれないと(…)さんがいう。なくてもスープは十分おいしいというので、そのまま帰路につくことに。西門を通過してキャンパスへ。(…)さんは西門の存在も(…)の存在も知らなかったし、北門を通過したのも今日がはじめてだといった。
  • 帰宅。(…)さんがメシを作ってくれているあいだに今日づけの記事もガシガシ書いていく。目処のたったところで隣室に移動し、スープの煮込み待機中である彼女と少々雑談。途中、彼女のもとに身内から電話がかかってきたのだが、方言がマジでひと言も聞き取れなかった、というかそれ以上にびっくりしたのはきのうの塔斯汀における(…)さんと(…)さんの会話もそうだが、こちらの中国語は学部一年生レベルであるにもかかわらずなぜか普通话と方言の違いに気づくことができることで、あれはなんだろう、やっぱり音としてメロディとして全然違うということなんだろうか、その違いが(理解はできないが日頃から普通话の音に囲まれて生活しているこちらには)違和感として感受されるということなんだろうか。(…)さんは10歳のいとこに(…)の散歩をお願いしたという。電話はたぶんそのいとこからの散歩が終わったよという報告だったのだろう。いとこにはご褒美として夜食を外卖してあげたとのこと。
  • メシは二品。黒い鶏肉とクコの実の薬膳スープと西红柿炒鸡蛋。それにくわえて昼飯の残りの年糕も出たが、どれもこれもこちらにあわせて甘い味付けになっていたので、(…)さんはスープ以外あまり口をつけなかった(というかこちらも後半はやや甘い味つけに飽きた、ちょっと広州旅行をしていたときのことを思いだした)。西红柿炒鸡蛋についてはじぶんで作ったこともあるし、ほかの学生に作ってもらったこともある。ほかの学生が作ったのとわたしの作ったのどちらがおいしいですかというので、きみは毎回その質問をするねと茶化す。日本にいたころからなにを食べてもおいしいと言うとよくバカにされた、なんでもおいしそうに食べるのでおごりがいがあると言われたこともたびたびあるのだと、そういう話をすると、だからわたしも先生のために料理をするのが楽しいですという返事。
  • 食後の片付けまでしようとするのでそれはぼくの仕事だと制する。食費もこちらがもつ。キッチンでひとりたちはたらかせていたのだからそれは当然。そのまま女子寮まで送っていくことに。しかし寮の近くにまでやってきたところで后街に行きたいと言い出す。さっきは米を食べていない、米を食べていないと食事した気にならないと続けたのち、いっしょに行きましょうというので、まあ食後の散歩がてらそれもいいかと提案をのむ。しかし南門近くに達したところで大学の外には出ず、そのままキャンパス内をぐるりとめぐるコースをたどろうとするので、うん? となる。やっぱりごはんはいらないということらしい。スマホに次々と(…)の写真を表示してみせる彼女に適当に相槌を打ちながら湖の周辺をぐるっと歩く。
  • 「恋人の道」のベンチはあいかわらず恋人たちによって占拠されている。恋人たちのひとりから「(…)先生!」と声がかかる。びっくりしてベンチのほうをふりむく。暗がりで顔がよくみえない。声が三年生の(…)くんみたいだったので「(…)くん?」とたずねたが、そうではなかった、二年生の(…)くんだった。そしてかたわらには英語学科の彼女がいた。N1の話を少しだけする。合格はできただろうが、高得点の手応えはなかったとのこと。
  • 図書館のほうに出る。そのまま第五食堂のほうに足をのばし、そこからグラウンドに入る。道中、(…)さんはひたすら(…)の写真をこちらに見せる、見せる、見せる! さすがにちょっと疲れる。グラウンドではジョギングをしている姿がたくさんある。一年生と二年生は学期ごとに決まった距離をジョギングしなければならないルールがある。学期末がせまっているいま、そのタスクを解消するためにあわててジョギングをはじめた学生らで混雑しているのだろうとのこと。
  • そのまま女子寮の方面に向かう。これでゴールかと思ったが、セブンイレブンに行きましょうという。今度こそメシが食いたいということらしい。それで地下道を抜けて外国語学院のほうに行き、そこから病院を通り抜けてセブンイレブンの前に出たのだが、いざ店の前に出たら出たで今度はこっちですといって后街のほうにこちらを引っ張っていこうとする。セブンイレブンじゃないの? とたずねると、先生、女の子の気持ちは変わりやすいです、と笑っていう。后街でなにか辛いものがほしいらしい。
  • 夜の后街をおとずれるのはずいぶんひさしぶり。以前は見かけなかった屋台がたくさん出ている。二年生の(…)くんとすれちがう。街角で手相占いをしている老人をはじめて見かけて興奮する。老人のそばには折りたたみ椅子に腰かけている客の女子ふたり。それが三年生の(…)さんと(…)さんだったのでびっくりする。(…)さんが占ってもらっている最中で、(…)さんはすでに占ってもらったあと。一回20元。(…)さんに結果をたずねると、just so soという返事。
  • (…)さんとそろって后街を奥のほうまで歩く。屋台はたくさん出ているが、豚肉は食べたくない、あぶらっぽいものは食べたくない、炒飯は量が多すぎると、なにかと理由をつけて買おうとはしない。それで元来た道をひきかえすことに。(…)さんの占いはまだ終わっていない。(…)さんは自分もうらなってもらうといった。こちらも占ってもらうべきだ、占い師の言葉はすべて録音する、そしてのちほど翻訳して先生に渡すというので、そこまでしてもらう必要はないと答える。
  • (…)さんの番が終わって(…)さんの番になる。最初に生まれた日と時刻を相手に告げる必要があるらしく、(…)さんは母親にわざわざ電話をかけた。占い師はこちらの姿を見るなり、かっこいい男じゃないかみたいなことをいった。服装とめがねのチェーンとひげについてあれこれ褒めてくれているようす。たたずまいだけ見れば、こちらのほうがよほど占い師然としているということだろう。(…)さんが手相を診てもらっているあいだ、(…)さんに結果はどうだったかとたずねると、やはりjust so soという返事。それから翻訳アプリを起動し、「このおじいさんの占いは的中しません」という文章をにやつきながらこちらに見せてみせる。クソ笑った。(…)さんは昨日試験だったといった。試験ってもしかしてN1? とたずねると、N2だという。(…)さんといっしょに受験したというので、N2であれば問題なく合格できるでしょうと受けると、リスニングが少し難しかったとのこと。だから自信はない。ごはんはもう食べましたかというので、(…)さんが料理をしてくれたのでそれを食べましたと受けたのち、きみたちは? とたずねると、ふたりはさっきまで外で映画を見ていたという。だから食事はまだとっていない、(…)さんにいたっては昼からコーヒーしか飲んでいないとのことで、だからだと思うのだが、こちらはコートなしで平気で出歩いているのに対し、彼女はダウンジャケットを着用してなお寒い寒いと震えていた。
  • ふたりは(…)さんの占いが終わらないうちに去った。(…)さんの薄毛がますます悪化していたのでちょっと心配になった。分け目が薄いなんてものじゃない、薄いというより明確にハゲているのだ。彼女もうつ病持ちであるし、もしかしたらここ最近またストレスでメンタルがひどいことになっているのかもしれない。
  • (…)さんの占いが終わったところで后街を出る。結果は上々だった模様。将来はお金持ちになると言われたらしい。これまでに占いを三度か四度受けたことがあるが、毎回お金持ちになると言われるとくしゃくしゃの笑顔でいうので、そりゃよかったと応じる。恋愛の機会は少ないと言われたとのこと。たしかあと二回か三回という話ではなかったか。元彼とは四年間付き合っていたというので、人数は少ないかもしれないけどひとりひとりとは長く付き合う傾向があるということなんでしょうと受ける。わたしにもし彼氏がいたら先生とこんなふうに散歩していませんといって笑うので、だったらはやく彼氏を作りなさいというと、いまは(…)が一番です、わたしは結婚せずに(…)を介護して生活しますという。それから翻訳アプリを確認したのち、先生わたしはめんどうくさい女ですか? といった。まあまあめんどうくさい女の子だねと笑って応じる。
  • 后街でもセブンイレブンでも結局食べ物はなにも買わなかった。ただ散歩して手相占いをしただけだ。ふたたび女子寮にたどりつく。しかし外国人寮までこちらを送っていくという。その必要はないといったが、寮に帰りたくないのだという。門限ぎりぎりまでねばりたいのだろう。まあキャンパス内であれば23時前だろうとひとり歩きしても問題ないかというわけで希望を受け入れる。テンションのあがった(…)さんがリズム感のないスキップみたいなわけのわからない歩き方をする。きみいますごいバカみたいだよ、やっぱりトイレの水を飲む犬の飼い主だけあるねというと、(…)さんはケラケラ笑った。躁転してんじゃないだろうなと内心ひそかにいぶかしんだ。
  • 寮の前で別れる。階段を五階までのぼる。途中で呪術師のババアとその夫? 彼氏? のふたりを追い抜く。暗がりのなかでという条件付きであるが、ついに騒音夫妻と接触したわけだ。ババアはけっこう肥えていた。男になにやら話しかけるその息が切れまくっていたし、なかなかあがらない足をあげるために一歩一歩がどしん! どしん! とまるで力士の四股みたいになるのだった。男のほうはスマートだが、身長はこちらよりも低い。暗がりでは夫婦やカップルというよりも母子のようにみえる。なにも言わずにふたりのそばを通り抜けて先にいくこちらについて、中国人じゃない、たぶん外国人だ、ここは外国人の寮だから、と男が女のほうにささやくのがききとれた。男の声はババアとちがってかなりおだやかだ。
  • 帰宅。(…)くんからN1の問題についていくつか解説してほしいという依頼が届いていたが、いま帰宅したところなのでまた後日解説しますと返信。(…)さんからはご迷惑おかけしましたのメッセージが届く。今学期先生の邪魔をするのは今日が最後ですみたいなことをしおらしく付言していたが、絶対にそうはならないと思う、以前も似たようなメッセージをよこしたばかりだ。
  • シャワーを浴びる。今日づけの記事の続きをひとまずメモ書きして残す。