20241012

  • 朝、教室に移動する前にいつもの売店に立ち寄ってミネラルウォーターを買ったのだが、店の女性がめずらしく白いスーツのようなフォーマルなよそおいだったので、今天衣服好看と伝えた。女性は白い服はあんまり好きじゃないんだみたいなことを言った。
  • 教室近くの廊下でK.KさんとS.Sさんのふたりが待ち伏せ。朝から卒論の件でK先生と面談、その結果きのううちから持っていった本を部分訳するという内容でオーケーが出たとのこと。K.Kさんからチョコをふたつもらった。
  • 10時から二年生2班の日語会話(三)。调休の補講。「(…)」を行う。時間が余るのではないかという懸念があったが、実際にやってみたら問題なかった。学生同士の関係がよろしく明るいクラスであるのでかなり盛りあがった。ただ、男子学生の半数はやはり授業態度が悪く、特に最近ではR.EくんとT.TくんとT.Sくんがひどく、机の上に堂々とスマホを出してゲームをしている有様であったので、監査もあることであるしこれでなにかあったらこのクラスの担任をしているK先生にも迷惑をかけてしまうなというあたまもあったので、はじめて近づいていって注意した。「ずっとゲームしてるだろ、今日だけじゃないぞ、先学期からずっとだぞおまえら」と普段と口調を一変させていうと、叱られた犬みたいに目を泳がせていた。そんなにビビんのやったら最初から横着かますなアホ!
  • 授業後、O.Iさんが手作りのコーヒーコースターをくれた。白と青と緑の三色の毛色で編んだもの。こういうのをもらえるうちが華やな。授業中スピーチコンテストの話を少ししたのだが、K.KさんとT.Eさんのふたりがわりと興味津々だった。来年のコンテストはひとつ上の学年がいるからどうなるかわからないが、再来年であれば十分選ばれる可能性がある。発音だけでいえば、2班はこのふたりとC.Eさんの三人がトップだろう(C.Eさんは英語の発音もすばらしいので、英語学科の学生を差し置いて今年英語のスピーチコンテストに代表として出場する)。1班はY.Tさん。順当にいけば、現二年生のトップ4はこの四人ではないかという気がするのだが(とはいえ文法の理解度やボキャブラリーについては不明)、Y.Tさんはルームメイトらが遊び人だらけという点で、周囲のペースに巻き込まれるのではないかとちょっと心配(というあたまがあったからこそ、先日わざわざ彼女の発音を褒め、このままいけばいずれスピーチコンテストの代表に呼ばれる可能性も高いと思うと予告しておいたわけだが)。
  • 帰路、(…)三年生の男子三人組から「M先生!」と呼びかけられた。スクーターに3ケツしていたので、鬼火少年みたいだな! と茶化した。(…)三年生といえば、昨日だったか一昨日だったか、寮にもどる途中自転車にのったS.Sくんともばったり遭遇したのだった。S.Sくんは(…)三年生のなかでもっとも能力が高く、またやる気もある学生として印象にのこっていたので、N1は受けたのかとたずねると、N2は受けて合格した、N1はこの12月に受験する予定だという返事があり、また大学院受験についてもすでに準備をはじめており、(…)大学を受けるつもりでいるといった。(…)大学はかなりむずかしいというので、きみとおなじ(…)院の先輩で(…)大学の大学院に合格した女子学生もいる、だからがんばりなさいとはげました。
  • 帰宅後、兰州拉面と酸萝卜を食し、30分ほど昼寝。きのうづけの記事の続きを書いて投稿し、ウェブ各所を巡回し、1年前と10年前の記事を読み返し、今日づけの記事もここまで書いた。
  • 16時半から図書館近くにあるホールでスピーチ練習。外国語学院の教員が参加する必要のあるらしい太極拳の練習と時間がかぶっているとR.U先生がグループチャットで言い出した。練習にはR.U先生だけ参加すればいい、あとでその内容をじぶんに教えてくれとC.N先生は受けたが、R.U先生はいっしょに行こうと言ってゆずらない。それでふたりは練習に遅れてくることになった。学生らとはこちらの寮の手前で合流したが、すぐに全員が口をそろえてR.U先生に対する不満を言った。どうして初回となる模擬練習よりも太極拳の練習などを優先するのか、仮にそちらに行くにしてもじぶんひとりだけが行けばいいものをなぜC.N先生を巻き込むのか、と。まったくもってそのとおりだ。女子学生三人は全員本番同様の衣装を身につけており、ふだん化粧をしないK.KさんやR.Sさんもうっすらと化粧していた。
  • ホールには英語学科の学生と教員が先着している。二年生のC.Eさんの姿は見当たらなかった。C.Kさんがかつてのクラスメイトがいるとこちらの耳元でささやく。S.Uさんだ。途中で日本語学科から英語学科に「転籍」した学生だ。英語学科の学生が舞台に立ってスタンドマイクを使ってのスピーチ練習をしているあいだ、学生四人は外に出てテーマスピーチの練習をはじめた。こちらもついていって軽く発音指導をする。
  • 日本語学科の順番がまわってくる。まずは声量の確認。S.Sくんはまったく問題ない。声量もあるし声もよく通る。C.Kさんも同様。K.KさんとR.Sさんのふたりにはマイクとキスするくらいの距離で話すようにと指導する。こんなに大きな声でする必要があるのかというので、例年一等賞をとる学生はとにかく声が大きい、声が小さいというだけで表現力が弱いということになって点数が低くなるのだと伝える。指導するこちらのほうを英語学科の女子学生らがものめずらしげにながめている。英語学科は外教がスピーチコンテストの指導を担当していない。英語学科は優秀な教師が多数そろっているので、わざわざJをひきずりだす必要がないのだ(そして実際、Jなしでも毎年上位入賞という結果を出している)。
  • テーマスピーチを順番におこなう。途中で英語学科の学生らが退出し、R.U先生とC.N先生がやってくる。テーマスピーチはまずまず。K.KさんとC.Kさんのふたりはどうしても発音がまずい。それにくわえてK.Kさんは声量もとぼしく、また声を張りあげようとすると怒って聞こえるという問題点もある。だからテーマスピーチで最低点をとるのは、実は日本語学習歴のもっとも長い彼女なのではないかという懸念がこちらにはある。R.Sさんは完璧。上位入賞できるレベル。S.Sくんは感情表現にとぼしいのがネック。録音どおりにやってくれといっているのだが、なかなかそれもむずかしいらしい。R.U先生とC.N先生からはジェスチャーは指導していないのかとたずねられたので、数年前までは審査員に原稿が配られていなかった、だから審査員はみんな壇上の学生のようすをながめていた、しかし数年前から審査員に原稿が配られることになった、その結果審査員は壇上を見ず手元の原稿をながめながらスピーチを聞くようになった、結果としてジェスチャーはほぼ無用になったと、そのように事情を説明したが、たぶんこの説明すらR.U先生は聞きとれていなかったと思う。
  • その後、即興スピーチ。C.N先生が「社会主義の核心的価値とその理解」というテーマを出す。事前に用意してあった原稿「中国の青年の使命」の導入と結語だけいじれば対処できるパターンであるが、それができていたのはK.Kさんだけだった。R.SさんもS.Sくんもなぜか原稿「中国の文化」で対処した。「社会主義の核心的価値」のひとつに「愛国」があるとしたうえで、わたしは祖国を愛している、なかでも中華文化を愛しているというふうにつなげたわけであるが、やっぱりちょっとテーマとずれてしまっているよなという印象。それでも即興の持ち時間である2分間、いちども中断せずにスピーチを続けることができただけでも上出来か。C.Kさんは今回もどもりどもりだった。彼女は即興スピーチをいちども中断せずに続けることができたことがまだ一度もない。夏休み明けの時点では彼女がもっともしっかり暗記できているという印象をもったのだが、その後どうも伸び悩んでいる。のちほど今日の練習中に撮影した動画を学生ら全員に送ったのだが、そのときに彼女は、じぶんひとりで練習しているときはうまくできる、でも本番のつもりでやってみるとどうしても途中で停止してしまう、たぶん本番で失敗することをとてもおそれているからだと思う、そのことを思って緊張するとどうしても詰まってしまうのだというようなメッセージがとどいた。スピーチ本番までは残り二週間である、そのあいだテーマスピーチだけでなく即興スピーチも毎日かならず暗唱するようにしなさい、そのとき途中で詰まってしまったらもういちど原稿をあたまから暗唱するというルールを課して行ったほうがいいと返信。
  • 最後にもういちどテーマスピーチをおこなった。R.U先生はスピーチを終えた学生ひとりひとりを呼びつけてなにやら長々と指導していたが、その指導内容が例によってまったくもって見当はずれで意味のないものだったのだろう、学生らはにやにやしながら横目でこちらに意味深な目配せをよこした。あとで確認してみたところ、やはりいまさらわかりきっていることをくどくどとくりかえしているだけだったらしい。こちらは練習後、スーツを買うS.Sくんに対する付き添いとして万达に行く必要があったわけだが、マジでクソどうでもいいことを長々としゃべりつづけるものだから途中で腹が立ってきて(無能な教員ほどその無能さを隠そうとするかのように話が長い!)、ぼくこのあとSくんとスーツ買いにいくんでもういいですかね? とぶったぎってやった。
  • それで練習は終わった。時刻は18時半前だった。マジであのひといらねーわ、邪魔なだけだわ、と学生らと愚痴を漏らしながら会場をあとにした。それからS.Sくんとふたりで北門に移動し、そこからタクシーに乗って万达に移動した。驚いたことに、これからスーツを買いにいくという話をきいたR.U先生は、じぶんもついていったほうがいいだろうかと口にしていたらしい。S.Sくんはそれだけは絶対に嫌だったのでうまく断ったようすであるが、いや、あのババアがきたところでなにになんねんという話だ。もともと万达にはR.Sさんもついてくるという話だったらしいのだが、ほかの女子ふたりは同行しないときいて、結局彼女も大学に残ることに決めたようす。ま、残り時間もわずかであるわけだし、なるべく練習したほうがいいと思う——と思ったらSくんから、明日はスピーチメンバーでカラオケに行く予定だときいて、ひざから力が抜けそうになった。打ち上げは本番が終わってからでいいんじゃないか、今日の模擬練習で反省すべき材料はたくさんあっただろうに。
  • 万达のH&Mユニクロでスーツを買うつもりだったのだが、どちらもスーツは扱っていなかった。二階に移動したが、店は全部レディース。三階にはメンズもちらほらあったが、スーツを扱っている店は高級店ばかりで、ジャケットだけで2000元ほどする。S.Sくんの予算はセットアップで1200元ほど。一件目で試着した店がジャケットだけで799元、デザインも悪くなく彼自身も気に入っていたが、それでもパンツも合わせて買うとなるとかなりきつい。こりゃあ日をあらためて步行街か(…)まで出かけなければならんパターンかなと思っていたのだが、最後に入った店が割引セール中で、セットアップで最安499元だった。スーツの専門店ではなく、カジュアルな普段着を扱っている店の一画でスーツもあつかっているというかたちだったが、S.Sくんがもともと求めていた無地の真っ黒なスーツもあり、しかも背の低い彼にサイズもぴったりだった。で、即決。S.Sくんはこの日私服として黒シャツを着用していたのだが、それをそのまま中に着て全身真っ黒のコーデでも全然オッケーだった。ベルトは友人に借りる。ネクタイはつけるかどうかわからないが、R.U先生がためしに旦那さんのものを二本持ってきてくれるとのこと。革靴は店に売っているものは全部おじさんくさくて嫌だという。そもそも革靴自体が好きではないので、後日淘宝で安いものを買うとのこと。スーツには赤い薔薇のアクセサリーみたいなのがついていた。襟元に留めるブローチみたいなやつだったが、正直かなりダサい。しかしS.Sくんは全身真っ黒のコーデだったらこの派手なアクセサリーがあるのもいいといった。
  • 両親に写真を送りたいというので、彼のスマホを借りて全身の写真を撮ってあげた。すぐに父親から着信があった。父君はよく似合っていると言ってくれたという。通話するS.Sくんはバリバリの方言だった。マジでひとこともわからなかったんだけどと通話を終えた彼にむけていうと、同郷のR.Kくんですらじぶんと両親の会話はまったく理解できないと笑った。
  • 夕飯は香港料理。香港料理と広州料理と広東料理はどうちがうのかとたずねると、よく似ている、じぶんでも違いをうまく説明することができないという返事。S.Sくんは中学の途中まで広州で生活していたので甘い料理も大好き。今日食ったメシはどれもこれも最高にうまかった。たぶん女子三人も同行していたらこの店で食うことはなかったと思う。東北人のK.Kさんはともかく、R.SさんとC.Kさんのふたりはこんなあまったるい料理ぜったいに許せないはず。
  • 万达の広場にはまたしてもステージが仮設されていた。ステージではのどじまん大会みたいなのが開催されていたが、どうやら抖音で生中継されているらしく、ステージ中央に設置された巨大モニターに、ステージ上で熱唱するおじさんふたりの姿とその背景の観衆の姿、それにリアルタイムで投稿されるコメントが映し出されていたので、Sくん! ぼくちょっと行ってくるわ! と言い残し、ステージ最前列に押しかけて画面に映りこもうとしている幼子らにまじって両手をふったりぴょんぴょん飛び跳ねたりした(もちろんそうしたふるまいに出るこちらの背後には冷静な大人たちが百人近く突っ立っている!)。Sくんのところにもどった。Sくんは爆笑していた。抖音の生中継に映りこんだこちらの姿をスクショしたというので、あとでそれを送ってもらってモーメンツに投稿した。以下がその画像である。画面を拡大して左端に注目してください。

 
(…)
 

  • (…)公园を歩いて大学にもどる。S.Sくんとの会話、マジで途切れることがない。この子ほんまペラペラやなとあらためてびっくりした。こちらとふたりきりの状況をまったく気まずく思っていないのだ。(…)省に越してきたのは中学二年生のときだとS.Sくんは言った。中学の編入試験で300点満点中60点しかとれなかったという。広東省と(…)省では使用している教科書が異なるからという事情があるらしかったが、いずれにせよその点数では編入することができない。ただ、別の中学に遠戚が副校長かなにかそういう偉い立場で勤めていたので、その关系でぎりぎり編入できたという。高校もすごくバカなところだったらしい。先輩たちはだれひとりとして大学に進学していない。S.Sくんらの学年は多少マシで、600人中40人ちょっとが大学(芸術学科含む)に進学したというのだが、S.Sくんは上から二番目の好成績、一番目とは1点差だったという。ちなみに一番目の学生も(…)学院に進学したらしい(政治学部とのこと)。Sくんもなかなかすごいところからはいあがってきたんだなとシンパシーをおぼえた。