2014-01-01から1年間の記事一覧

20140320

自分自身に対する、欠くべからざる、絶対的な信頼に関して、セヴィニェ夫人の言葉――「私自身の言うことにだけ耳を傾けるとき、私は驚異的なことをなす。」 (ロベール・ブレッソン/松浦寿輝・訳『シネマトグラフ覚書』) 11時起床。雨降りの起きぬけで少し肌…

20140319

事物を習慣の外へ引きずり出すこと、事物を麻酔から醒めさせること。 (ロベール・ブレッソン/松浦寿輝・訳『シネマトグラフ覚書』) 裸に剥けば、美しくないものはすべて猥褻だ。 (ロベール・ブレッソン/松浦寿輝・訳『シネマトグラフ覚書』) 12時起床。…

20140318

芸術に対する敵意、それはまた、新たなもの、予期せざるをえないものに対する敵意でもある。 (ロベール・ブレッソン/松浦寿輝・訳『シネマトグラフ覚書』) まず、行動すること。 ロンドンの或る宝石店の金庫をギャングの一味が破って、真珠のネックレスや…

検索の神々に再会の祈りをこめて

このブログに引っ越してくるまでは、だいたい一年間好き勝手に気分のおもむくままのスタイルで記事を更新するだけしてよそのブログに引っ越す、というのをずっとくりかえしてきたので、飛び飛びではあるしじっさいによそのブログやプライベートな「日記」に…

20140317

たまたま僥倖によってうまく行った物事は、何という力を持っていることだろう! (ロベール・ブレッソン/松浦寿輝・訳『シネマトグラフ覚書』) 目的が明確であるがゆえに、様々の暗中模索を余儀なくされる。ドビュッシー――「或る和音を取るか、それとも別の…

日刊「きのう生まれたわけじゃない」編集長代理より本誌廃刊のおしらせ

表題にあるとおり、まことに唐突ではありますが、本日をもちまして、日刊「きのう生まれたわけじゃない」を廃刊とさせていただきます。本来ならば、本誌編集長であるMが、読者の皆様方にたいし、廃刊にいたった経緯について誠意を尽くして説明すべきところで…

20140316

感動への抵抗によって獲得される感動の創出。 (ロベール・ブレッソン/松浦寿輝・訳『シネマトグラフ覚書』) 撮影に嫌気がさし、疲労その極に達し、かくも多くの困難を前に手を拱いたまま過ごすこれらおぞましい日々――それは私の仕事の方法の一部をなすもの…

20140315

節約。ラシーヌ(息子のルイに)――私は君の筆跡をよく知っているから、君はわざわざ名前を署名するには及ばない。 (ロベール・ブレッソン/松浦寿輝・訳『シネマトグラフ覚書』) 夜鶯(ナイチンゲール)があれほどまでに讃えられるのは、この鳥がいつも同じ…

20140314

撮影する、それは出会いへと赴くことだ。思いがけない出来事の中には、君が密かに待ち受けていなかったものは一つもない。 (ロベール・ブレッソン/松浦寿輝・訳『シネマトグラフ覚書』) 鉄のごとき掟を鋳造して自分に課すこと。たとえそれに従うためであれ…

20140313

原因は結果の後に来るべきであり、それに伴行したりそれに先んじたりするべきではない。 (ロベール・ブレッソン/松浦寿輝・訳『シネマトグラフ覚書』) 先日、私はノートル・ダム寺院の公園を横切る途中で一人の男とすれ違ったのだが、そのとき、私の背後に…

20140312

予期せざる出来事を挑発すること。それを待ち受けること。 (ロベール・ブレッソン/松浦寿輝・訳『シネマトグラフ覚書』) 11時過ぎに起床した。前日と同様やはりHくんの呼びかけによって目覚めたような気がする。おきぬけのぼんやりとした頭で歯磨きしてい…

20140311

圧縮による表現。物書きが十ページにもわたってだらだらと書く内容を一つの映像の中に盛りこむこと。 (ロベール・ブレッソン/松浦寿輝・訳『シネマトグラフ覚書』) 創造は、足し算によってではなく引き算によってなされる。発展させるというのはまた別のこ…

20140310

真実とは模倣不可能なものであり、虚偽とは変形不可能なものである。 (ロベール・ブレッソン/松浦寿輝・訳『シネマトグラフ覚書』) 美しい写真はいらない、美しい映像もいらない。必要欠くべからざる映像と写真があればよい。 (ロベール・ブレッソン/松浦…

20140309

心理学はいらない(自分が説明できるものしか発見しない心理学は)。 (ロベール・ブレッソン/松浦寿輝・訳『シネマトグラフ覚書』) 自分が何をやっているのか君自身にもわからず、かつ君のしているそのことこそが最善のことである場合、まさにそれだ、霊感…

20140308

運動するものの光景は人を幸福にする――馬、運動選手、鳥。 (ロベール・ブレッソン/松浦寿輝・訳『シネマトグラフ覚書』) 相似、差異。 より多くの差異を得るために、より多くの相似を与えること。生活の均質性と統一性は、個々の兵士たちの本性や性格を浮…

20140307

平衡を失わせること、新たな平衡を得るために。 (ロベール・ブレッソン/松浦寿輝・訳『シネマトグラフ覚書』) トーキー映画は沈黙を発明した。 (ロベール・ブレッソン/松浦寿輝・訳『シネマトグラフ覚書』) 10時半起床。めざましは9時半にセットしたはず…

20140306

Xはナポレオンを模倣する、だが模倣はナポレオンの本性ではなかった。 (ロベール・ブレッソン/松浦寿輝・訳『シネマトグラフ覚書』) いかなる芸術においても、その芸術それ自体に逆らって作用し、それを解体させる方向に働く悪魔的な原理が存在する。同様…

20140305

4日(火) 7時過ぎに起きた。たっぷり11時間も眠った。過眠時特有の頭痛がかすかにあった。トースト二枚の朝食をとったのちここ数日のブログを昼前まで居間で黙々と書き続けた。実母の逝去により二日間の休日を得た父とこの日たまたま休日に当たっていた母の…

20140304

1日(土) 3月だぜ! 7時前起床。前夜の暴飲暴食を考慮してバナナ一本の控えめな朝食。 8時より12時間の奴隷労働。忙しい一日だった。どうも今週に入ってからじわじわ客足が伸びはじめているらしい。一年のうちでもっともヒマだといわれているのが2月であり…

20140228

われわれの動作はその九割までが習慣や自動現象に従っている。それらを意志や思考に従属させるのは、反=自然的なことだ。 (ロベール・ブレッソン/松浦寿輝・訳『シネマトグラフ覚書』) モデルたちが自動的に動くようになり(すべてを計測し、重さを量り、…

20140227

真実と虚偽の混淆においては、真実は虚偽を際立たせ、虚偽は真実を信じることを妨げる。本物の嵐で難破した本物の船の甲板に立って、遭難の恐怖を演じてみせている一人の俳優。われわれは俳優も、船も、嵐も信じない。 (ロベール・ブレッソン/松浦寿輝・訳…

20140226

つなぎ目の部分で起きていること。「大きな戦闘が行なわれるのは」、とM将軍が言っていた――「ほとんどつねに、複数の参謀本部地図どうしの交点においてである」と。 (ロベール・ブレッソン/松浦寿輝・訳『シネマトグラフ覚書』) 10時起床。きのうの外出が…

20140225

成功が偉大であればあるほど、それは失敗すれすれに接近する(ちょうど絵の傑作とは、一歩間違えれば俗悪な看板絵と化すものであるように)。 (ロベール・ブレッソン/松浦寿輝・訳『シネマトグラフ覚書』) 10時起床。ぽかぽか陽気。歯を磨き、ストレッチを…

20140224

自分の手段を十全に活用する能力は、手段の数が増えれば増えるほど減じてゆく。 (ロベール・ブレッソン/松浦寿輝・訳『シネマトグラフ覚書』) 11時過ぎ起床。煙草のにおいがいまだに霧散しきれぬ煙となってたちこめているようであったのでひとまず香を焚い…

20140223

十九日同地海軍水上機基地部隊生存者約四十八名ガ合流。数日後ブララカオ川口ニ破損碇泊中ノ機帆船ヲ修理シテルソン島ニ渡ルト称シ、全員山ヲ下ッタガ、ゲリラニ襲ワレ、指揮官石崎少尉以下十名ノ犠牲ヲ出シテ再ビ山ニ戻ッタ。我隊ヨリ分与セル食糧モ同時ニ…

20140222

下士官一、兵四ガカミナウエ分哨ニ行ク途中デアッタ。衛生兵ハ衛生材料ニツキ海軍部隊ト交渉ノタメ便乗シタ。中間ノ小駅デ不意ニ本線ヲハズレテ引込線ニ入ッタ。運転シテイタ兵士ガ下車シテ調ベルト、転轍部ニ小石ガ挿ンデアル。危険ヲ直感シテ顧ミルト、線…

20140221

ミンダナオの三人の病人中二人が死んだ。水葬が行われるそうで、有志は後甲板に集合と廻状が来た。 祖国を三日の先に見ながら死んだ人達は確かに気の毒であった。しかし、彼等が気の毒なのは戦闘によって死んだ人達が気の毒なのと正確に同じである。私とても…

20140220

沖へ出てだんだん筏は孤独になった。我々は曳船の進む方向によって乗るのはどの船かと探している。曳船を操縦しているのは二人の比島人である。訊いてみると、 「ダット・オーベルデア That overthere」(比島語に th の発音はない)といって、あまり遠くな…

20140219

その他外業先で海軍用語で「銀蝿」、つまり盗んで来た品物が沢山ある。スウェーター、手袋、靴、その他俘虜規格外の品物がふんだんに有る。俘虜もさすがにこれだけは米軍の検査官の前に出す勇気がない。 米軍もこの種の品物の存在を知っていた。中隊付きの米…

20140218

一体美人とは何だろうか。無論美しい女にきまっているが、我々は何によって或る女を美しく、他の女を醜いと思うのだろう。美学者は無論鼻の高さとか、額と頬の釣合とかについて、シンメトリーや黄金分割の法則を提示するだろうが、もし我々が全くそういう法…